横須賀市文化会館 60周年 文化の灯をつなぐ 60年の記憶、未来への光
横須賀の文化発信拠点として親しまれてきた横須賀市文化会館が今年で開館60周年を迎える。横須賀を見守る文化の灯台は、半世紀以上にわたり、市民に愛され、数々の名公演を生み出してきた。本特集では、開館からの歴史や著名人による公演、読者から募集した思い出エピソードなどを紹介する。
千人超を動員できる大ホールと250人規模の中ホールと、書道、絵画、写真、工芸品など、市民の芸術文化活動による創作品を展示する展示室、市民ギャラリーのほか、6つの会議室から成る。
開館は1965年。前年には東海道新幹線開業、東京五輪開催など、日本中が高度経済成長に沸く時代、地域文化の殿堂として市民サークルの活動や発表会、楽団による演奏会などが開かれ市民に親しまれてきた。
有名バンド公演、婚礼会場にも
本町に横須賀芸術劇場が開館(94年)するまで、大ホールは横須賀三浦地区随一の多目的ホールとして、市民活動の発表のほか著名アーティストの公演や人気番組の収録などにも使用されていた。
72年9月には、故・内田裕也氏がプロデューサーを務める「フラワー・トラヴェリン・バンド」が同館で公演。同バンドの最後のアルバム「MAKEUP」のうち5曲は同日のライブ音源が収録され、ジャケットには舞台上での集合写真が使用された(同作品は現在も購入可能)。そのほか、松任谷由実や浜田省吾といった人気アーティストもコンサートを実施するなど、市民にとって「非日常」を味わえる会場でもあった。
文化芸術の展示・公演だけでなく、婚礼会場としても盛んに利用されていた同館。83年から87年まで事務職として同館に勤務していた宮崎久美子さん(62)は「当時は月に2、3件程度だったが、70年代は仏滅の日でも予約が埋まっていたと先輩から聞いた」と話す。実際に71年には結婚式場として1166件の利用があったことが記録として残っている。結婚式、披露宴ともに3階の広間で行われ、宮崎さんら事務職員が司婚助手を務めることもあったという。
現在、市内での大型公演はより駅からのアクセスに優れた横須賀芸術劇場で開催されることが増えたが、近年では地元有志による新たなイベントも催されている。昨年4月に実施された古本市「ブックミュージアム」には市内のほか県外からも約400人を動員し、新たな文化の萌芽が見られた。三浦半島の学術・文化発信の拠点として、今後も市民とともに歩み続ける。
25年度内に集大成企画
同館は60周年にちなんだ記念事業を複数展開。昨年は周年記念のロゴマーク=写真下=の公募を行ったほか、同館周辺を見渡した鳥瞰(ちょうかん)図を作成。今後は60周年にちなんだ展示企画を検討しているほか、集大成として音楽・演劇・ダンス・俳句・食など様々なジャンルを楽しめる「よこすかフェスタ」を実施する予定だ。岡田典一館長は「支えてくれた地域に感謝。周辺町内会・商店会とともに、地域一体のカルチャーストリートとして盛り上げていきたい」と話した。
読者発文化会館思い出エピソード
・1978年、「8時だョ!全員集合」の収録を観に行きました。本物らしきパトカーが舞台上にセットしてありびっくり!どうやって搬入したのだろう…(平作在住男性68歳)
・1981年の2月、柳ジョージ&レイニーウッドのコンサートが私が初めて行ったライブでした。アンプを通したギター・ベースの音、体中に覆いかぶさる歌声には衝撃を受けました。(三春町在住女性58歳)
・1976年、TBS系「家族そろって歌合戦」の収録が行われ、妻と長女と一緒に出演。準優勝することが出来ました。司会のてんや・わんやさにゃ審査員の笠置シヅ子さん、高木東六さんらのサインが排他記念色紙は思い出の品です。(岩戸在住男性82歳)