【東京ダービー回顧】ナチュラルライズが二冠達成 横山武史騎手「『馬が強い』という一言」
2:03.8の好タイムで逃げ切る
3歳ダート路線の頂点をかけた一戦、東京ダービー(JpnⅠ・ダート2000m)は横山武史騎手騎乗で単勝1.5倍と断然の人気を集めたナチュラルライズが勝利。二冠を達成した。
「能力は疑う余地がないと思っていたので、この馬の能力を出し切ることだけを考えていました。ただ難しい馬なので不安もありました」と鞍上が振り返ったように、スタートから200mを通過したあたりから難しさを露呈、頭を上げて折り合いを欠く仕草が見られた。
それでも、大事なのは馬のリズム、結果的にハナになってもいいということを管理する伊藤圭三調教師と打ち合わせており、作戦の範囲内で臨機応変に対応した。
後続に5馬身ほどのリードをつけ、600mまでは12.4-11.5-12.3(36.2)というラップになったが、2角から向正面に入るところで徐々に折り合いがついて13.2-13.3と一気にペースは落ち着いた。
ペースが緩んだところで、2番手以下のスマイルマンボやシーソーゲームも前へ接近して1000mを通過する。一気にリードがなくなったが、そこから12.1-11.9と一気に再加速。ここまで急激な差があるラップになると、振り回された後続勢は必然的に脚を使わされる展開となり、そのままナチュラルライズが手応え良く先頭で直線へ。
最後も右にモタれ、必死に矯正しながら追われたが、後続との差は離れていく一方。粗削りな面はこれまでと変わっていないものの、ペース配分しかりまさに独壇場で2馬身半という着差以上の完勝だった。
レースの時間には雨が上がっていたが、午後には一時的に激しく降る時間もあるなど馬場発表は不良。かなり水分を含んだ状態だったこともあるが、勝ちタイム2:03.8はレースレコードであり、大井がいわゆる“白い砂”に変わってから最も速い決着だった昨年のジャパンダートクラシック(2:04.1)をも上回る好タイムが記録された。
横山武史騎手が語った「馬が強いという一言です」。まさしく、これ以上に当てはまる言葉はないのではないかというレースぶりだった。
この後は北海道に放牧に出るとのこと。『3歳ダート三冠競走』新設2年目にして初の三冠馬誕生となるか、秋には偉業達成の瞬間が見られることを楽しみにしたい。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
2着、3着に別路線組
2着クレーキングは昨秋のカトレアS(OP)でナチュラルライズと0.1秒差の2着。その後、中山の3歳1勝クラス戦では後続に8馬身差をつけて楽勝、前走のユニコーンS(GⅢ)では中団追走から早めに動くも、カナルビーグルには0.1秒及ばず2着という臨戦で挑んだ。
大外16番ゲートからのスタートとなり、終始外を回る形で5番手を追走。直線はジリジリと前に迫って2着と地力の高さは見せたものの、勝ち馬が強すぎた。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
3着シーソーゲームはもともとJRAでデビュー勝ちを果たした馬で、中央で3戦した後に大井へと移籍。転入初戦で勝利も続くクラシックチャレンジでは勝ち馬から6馬身差の2着に敗れ、前走は盛岡に遠征。重賞のダイヤモンドCを制してここに臨んだ。
相手関係が一気に強化されたなか、レース序盤は3番手の外を追走。ペースが落ちたところで、ナチュラルライズに楽をさせまいと積極的に前を追った。2番手で直線へ向き、最後は差してきた2着馬にも2馬身半の差をつけられたが、鞍上の御神本訓史騎手は馬の能力を全て出し切る騎乗したと言えるだろう。
羽田盃でナチュラルライズの2着だったナイトオブファイアは4番手のインを追走。直線に向いてからもしぶとく粘っていたが、最後は失速して3着から2馬身遅れた4着。別路線からきた2、3着馬に先着される形となった。
ユニコーンSの勝ち馬カナルビーグルは、5番手追走のクレーキングから2馬身ほど後ろ、7番手の外から運んだ。1000mを通過してペースが一気に上がったところで反応できず、鞍上の吉村誠之助騎手も左右にムチを入れながら促していた。最後は4着馬に迫ったものの、クビ差及ばず5着に終わった。
《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。
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記事:三木俊幸