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漆喰と藍で世界を描く守谷玲太の選ぶ、“つくり手の温度”を感じるギフト

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漆喰と藍で世界を描く守谷玲太の選ぶ、“つくり手の温度”を感じるギフト

クリスマスをはじめ、家族やパートナーへのちょっとしたお礼、忘年会などの集まりに持っていく手土産など──。この季節、ギフト選びに悩む人も多いはず。今回は、独自の個性と感性が光る“あの人たち”に、モノ選びのこだわりや、もらって嬉しかった贈り物、ギフトに込める想いや哲学について聞いた。キーワードは「センス」と「らしさ」。

1人目は、日本伝統の藍と現代左官を世界で初めて融合させた「藍左師」の守谷玲太さん。独自の技法でインテリアデザインやアート制作を手掛け、生まれ育った藤沢の地から世界に向けて“ジャパンブルー”とも呼ばれる藍色を発信している。数々のアート作品を精力的に生み出し続け、アウトドア、アパレルブランドなどと数々のプロジェクトも手掛ける守谷さんに、自身が大切にしていることや、モノ選びのこだわり、最近の活動などについて話してもらった。

遠い記憶のなかにある、奥深い藍の魅力を追求

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藍左師/守谷玲太さん

——自然にあるものを大切にし、海や空をテーマにした作品を多く手掛けている守谷さんですが、モノを選ぶ際に大事にしていることはなんですか?

服など身につけるものは、あまり買わないですね。わざわざどこかへ行って、必要以上にモノを買うことが昔から苦手で。今日着ているTシャツも、着古したものを自分で藍染めして、ずっと着ています。あとは、縁のある方々から頂いたものを身につけることが多いです。

どんなモノでも、やはり“背景”が大事だと思うんです。誰が、どんな想いで、どんなふうにつくっているのか。つくり手がしっかりと哲学を持ってつくっているものは、やはり手にした時に感じるものが違う。モノそのものにつくり手の思考や温度が宿っている気がします。ギフトも同じで、そうした背景を感じられるものを選びたいですね。

アトリエに置かれた守谷さんの作品たち。守谷さんの頭のなかにある海や空をイメージし、藍と左官技術を融合させた独自の手法により生み出されている。

——守谷さんの作品にも通じるところがありそうですね

そうですね。僕自身、どこか土着的というか、自分の目の届く範囲で、身の回りにある素材を使ってつくりたいという思いが根っこにあります。藤沢の畑で藍を育て、自分で加工しているのもそのためです。画材屋で材料を買ってきて絵を描くことは誰でもできるけど、農業からやる人はなかなかいない。でも、そこからしか見えない“本質”があると思うんです。

——藍の魅力ってどんなところだと思いますか?

一言で表現するのは難しいですが、やっぱり僕たちが感じる“空”や“海”の色を表現できることですね。ブルーと似ているようで違う、もっと繊細で、どこか遠い記憶のなかにあるような色。自然由来だからこその深みがあると思います。

藤沢の呉服屋さんで150年前から使われていたという甕に入れられた藍。藤沢の畑で育て、自身で手間暇をかけて色素を抽出している。

アトリエも藍色であふれていますが、植物由来の自然な色味だからか、不思議と落ち着くんですよ。一面藍に囲まれていても、うるさく感じず、日常に溶け込む。あと、僕は藍の色素を含まない茎の部分はお茶にして飲んでいるんですが、これが本当に美味しい(笑)。多分僕のつくる藍のお茶は日本一だと思います。衣・食・住、そしてアートにも使える藍は、無駄がなく、循環しながら生活を彩ってくれる。そんなところにも引かれますね。

つくり手の顔が見えるものを

——身につけるもののこだわりを教えてください

特に毎日のように身につけるジュエリーは、つくり手の顔が見えるものしか着けません。今日のビーズブレスレットとバングルは、Staytham(ステイサム)というブランドのもの。日本の文化や技術を取り入れながら、どこか懐かしさもあり、日常になじむ雰囲気が気に入っています。

ペンダントは、お世話になっている方がインディアン居住区から直接貰ってきたヴィンテージのビーズをいただいたので、それをStaythamにネックレスにしてもらいました。トップは僕が海で拾った貝をつけました。お金では買えないものだからこそ、一生大切にしていきたいですね。

この指輪は、ジュエリーアーティストの〈TAIGA OKUYAMA〉とコラボしてつくったリングです。「藍×ジュエリー」というコンセプトで、藍を取り入れたジュエリーはおそらく世界初。アトリエで展示販売会を開いたときは、用意した数十点がすぐに完売して驚きました。TAIGA OKUYAMAの作品は繊細で大胆。男女問わずおすすめですし、クリスマスギフトにもぴったりだと思います。

——最近、贈られて嬉しかったものはありますか?

tamaki niime(タマキニイメ)のデニムです。以前、僕がつくったお皿をプレゼントしたことがあるのですが、そのお返しとしていただいたもの。何が凄いって、これ純国産なんですよ。コットンから自社で栽培し、紡績、染め、製織まで全てを国内で手がけています。

このブランドは昔から知っているのですが、モノづくりに1点の曇りもない、まさにモノづくりのプロ集団。「ここがつくるものだったら間違いない」という信頼感があります。このデニムは僕には丈が長いのですが、裾上げするのももったいなくてロールアップして穿いています(笑)。間違いなく一生モノですよね。

——年末のギフトにおすすめのアイテムがあれば教えてください

〈muuet(ミュエット)〉というブランドのアイテムは、とても好きなブランドで、男女共にオススメ。僕の奥さんも大好きで、これをあげたら絶対喜んでくれます。僕の工房に藍染を学んでいる方が手掛けているブランドですが、藍の本質を理解したうえで、自由な発想で表現しています。

藍染ってどうしても地味になりがちなんですが、枠にとらわれない絶妙なバランスで再構築しているのでモダンな雰囲気を纏っている。シルエットや生地選びまでこだわりがあり、毎日のように身につけたくなるアイテムが揃っています。

藤沢から世界へ向けて藍の魅力を発信したい

——最後に、今後の目標、展望を教えてください

最近は海外の方に興味を持ってもらえることも増えているのですが、今後は海外で展示会をやりたいですね。藍染めは結構世界的に知られていますが、それだけではない藍の魅力もぜひ海外の人たちにも知ってほしいです。藤沢の地に根を張りながら、これからも柔軟にさまざまなことをやっていければと思います。

【“あの人”のギフトも要チェック!】

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