アイスブレイクとは? 商談で使えるネタ・面接での答え方などを解説
ビジネスにおけるさまざまな場面で、参加者の緊張をほぐして場を和ませるために役立つアイスブレイク。特に、会議や商談の冒頭でアイスブレイクがうまくできると、進行がスムーズになり、相手との関係性が深まるきっかけになります。
今回は、アイスブレイクの意味やメリットをはじめ、ビジネスシーンで使えるネタ・ゲームの例、実践にあたっての注意点、上達のコツを紹介します。
<INDEX>
アイスブレイクとは?
アイスブレイクが役立つ場面
アイスブレイクのメリット
アイスブレイクのトークテーマ例
アイスブレイクのネタ・ゲーム例
アイスブレイクの注意点
商談を成功に導くアイスブレイクとは?
アイスブレイクをうまく活用して、コミュニケーションを円滑に
アイスブレイクとは?
アイスブレイクとは、そのまま訳すと「氷を壊す」という意味。緊張感で氷のように固くなった雰囲気を和ませるために行うコミュニケーション方法を指します。ビジネスシーンでは、ミーティングや会議、商談の冒頭で仕事と関係のないトーク(雑談)をする、研修やセミナーの開始前に簡単なゲームを行うといった形で取り入れられています。
アイスブレイクが役立つ場面
アイスブレイクは、一般的に、初対面の人同士が会話を交わす場面や、複数名の関係者が集まる場面で行われます。主にアイスブレイクが活用されるのは次のような場面でしょう。それぞれの場面におけるアイスブレイクに期待する効果もみておきましょう。
■ミーティングや会議
役職、部署の違う参加者がいるケースでは特に、意見が出しやすい雰囲気をつくっておきたい。
■商談
相手の心をこちらに向け、商談に興味を持って応じてもらえる雰囲気をつくりたい。
■研修
役職や年齢差のある研修でグループワークを挟む場合などは特に、お互いに協力したり会話がしやすい雰囲気をつくっておきたい。
■採用面接
応募者の緊張をほぐし、できるだけ本音が引き出せる雰囲気をつくりたい。
■セミナー
講師と受講者、受講者同士の距離感を縮め、双方向の意見交換ができる雰囲気をつくりたい。
アイスブレイクのメリット
続いて、アイスブレイクを行うことで得られる主なメリットを紹介します。
緊張がほぐれる
参加者同士が初対面の場では、緊張のせいで雰囲気が固くなりがちです。ミーティングや会議では、言葉足らずになったり、会話が噛み合わなかったりして、話し合いがスムーズに進まないこともあります。そんな時、本題に入る前にアイスブレイクを取り入れると、参加者の緊張がほぐれ、和やかに話を進めやすい空気になるでしょう。
特に、オンラインの会議やミーティングでは、アイスブレイクは有効です。オンラインミーティングは、参加者の表情や反応が読み取りにくい場合があります。アイスブレイクによって緊張感が和らぐと、参加者の表情がより豊かになり、反応も増えるため、意思の疎通がしやすくなります。
積極的な発言を引き出す
複数人が集まるビジネスシーンでは、テーマや目的に応じて、参加者が活発に意見やアイデアを出し合って、話を発展させていく必要があります。場の雰囲気が固いままだと、遠慮して意見やアイデアを言い出せない人もいるでしょう。また、せっかく誰かが意見を出しても、ほかの参加者からの反応が薄いと、盛り上がりに欠けたり、結論に辿りつかなかったりもします。アイスブレイクで和やかなムードになれば、積極的に発言する人が増え、有意義な意見交換ができます。
参加者の紹介ができる
部署や専門分野、階層が異なる人たちが参加するミーティングや研修では、参加者同士が互いに理解し合うことが大切です。このようなケースでは、アイスブレイクに参加者一人ひとりの自己紹介を組み込むと、ほかの参加者の人柄や価値観を自然な形で知ることができ、互いに理解を深められるでしょう。
参加者同士のつながりをつくる
アイスブレイクで場が和やかになると、参加者同士がコミュニケーションをとりやすくなるのも大きなメリットといえます。例えば、研修やセミナーの休憩時間や終了後に、これまであまり関わりがなかった社員同士で言葉を交わすようになる場合もあるでしょう。同じ研修に参加したことがきっかけで社員同士につながりができれば、チームワークが向上し、業務の効率化などにも好影響を与えることがあります。
顧客の警戒心を解き、成果につなげる(商談の場合)
商談の冒頭で、営業職が顧客の興味に合わせたトーク(雑談)をすると、顧客の警戒心を解くことができます。それによって、商談をスムーズに進められるというメリットがあります。アイスブレイクで顧客の心をつかめば、信頼関係の構築にもつながります。
応募者をリラックスさせる(採用面接の場合)
採用面接においても、面接官がアイスブレイクとして、趣味や気候などに関する気軽な質問を投げかけてくる場合があります。このような採用面接でのアイスブレイクには、応募者をリラックスさせて質問に答えやすくするというメリットがあります。
■面接でのアイスブレイクにはどう答えればいい?
面接官のアイスブレイクは応募者の緊張をほぐそうとする目的で行われるのが一般的ですが、受け答え方によってはコミュニケーションスキルをアピールするチャンスにもなります。
採用面接で面接官にアイスブレイクと思われる質問をされた時、「はい」「そうですね」だけで終わらせてしまっては、せっかくのアピールチャンスが潰れてしまいます。コミュニケーションスキルが十分にあることを印象付けるには、話題を広げる言葉やさりげなく自分をアピールする言葉を付け加えることが大切です。
例えば「弊社まで迷わずに来られましたか?」と聞かれたら、「はい。3日ほど前に下見で一度来ておりましたので、迷わずに来ることができました」と答えると、事前リサーチをしていることをアピールでき採用担当者に好印象を与えられます。
ただし、ダラダラと長くて何が言いたいのか分からない受け答えをすると、かえってコミュニケーションスキルが低いとみなされてしまうため、短く簡潔に答えましょう。
アイスブレイクのトークテーマ例
アイスブレイクの中でも最も一般的で気軽に取り入れやすいのが、仕事以外の話題で緊張をほぐす、トーク(雑談)によるアイスブレイクです。比較的少人数のミーティングや商談、採用面接などに適しています。
話題が思いつかない場合は、下記のテーマの中から選ぶとよいでしょう。
■季節・気候
季節や気候の話題は、どんな相手にも気軽に使えます。特に初対面の相手に対しては、気候の話から入って、相手の答えに合わせて話を広げるとよいでしょう。
トーク例「来週にはもう桜が開花するそうですよ。1年早いですね。」
■趣味
プライベートの楽しみや趣味の話題は、話が盛り上がりやすいです。話の中で自分との共通点を見つければ、更に関係性を深められるでしょう。
トーク例「〇〇さんは映画鑑賞がお好きだと聞きました。私は先日、〇〇を観に行ったのですが……」
■ニュース(時事ネタや業界のトレンド)
特に、相手の事業や業界に関するニュースを話題にすると、話が発展しやすいです。加えて、「業界の動向に詳しい人」という印象を与えることもできます。
トーク例「御社の新サービスのニュースを新聞で拝見しました。若い世代に注目されているようですね」
■旅
旅行や出張での自分の体験談を話すほか、夏休みや連休の旅行の予定を相手に聞くのもよいです。
■天気
今日や明日の天気を話題にすると、話が広がるきっかけになります。
「今日は大雨でしたけど、大丈夫でしたか?」など相手を気遣う言葉を交えるとよいでしょう。
■仕事
相手の趣味や興味があることをよく知らない場合は、仕事の忙しさや苦労話などを話題にするのも一つの手です。
■衣類
相手のスーツやバッグなどを「素敵ですね」と褒めると、相手を喜ばせて好印象につなげることができます。
■食べ物
食べ物の話題も、幅広い相手に通じる無難な話題です。流行りの食べ物や自分が好きな食べ物を話題にするほか、おすすめの飲食店を聞いてみるのもよいでしょう。
アイスブレイクのネタ・ゲーム例
トークのほかに、簡単なゲームをして緊張をほぐす方法もあります。ゲーム系のアイスブレイクは、初対面の人が多い研修やセミナーに適しています。続いては、アイスブレイクに取り入れやすいネタ・ゲームを紹介します。
自己紹介
参加者が一人ひとり自己紹介することで、参加者の名前と顔を覚えることができます。下記のように、ゲーム的な要素を取り入れると盛り上がりながらお互いの理解が進みます。
■積み木式自己紹介
「〇〇さんの隣の△△です」「〇〇さん、△△さんの隣の××です」……と、自分の前に自己紹介した人の名前をすべて言ってから自己紹介をします。
■くじ引き式自己紹介
キーワードを書いたくじを用意し、参加者に引いてもらいます。参加者は引き当てたキーワードをテーマに自己紹介をします。
他己紹介
参加者同士でペアをつくり、ペアになった者同士でお互いの情報を聞き出した後、参加者全員の前で相手のことを紹介します。
ヒーローインタビュー
他己紹介のように参加者同士でペアになり、一人がヒーロー、一人がインタビュアーという設定で成功体験や活躍した体験についてインタビューします。コミュニケーションや相互理解の促進につながります。
Good & News
参加者が一人ひとり、最近あったよかったことや発見したことを発表します。
5W1Hゲーム
数名が1グループになり、それぞれが「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」のいずれかの言葉を考えます。その後、それぞれの言葉を組み合わせて読み上げます。支離滅裂な文章ができあがるので笑いが起こり、場が和やかになります。
アイスブレイクの注意点
続いて、ビジネスシーンでアイスブレイクを行うときに気を付けたいポイントを紹介します。
時間の上限を決めておく
アイスブレイクはあくまで、会議やセミナーをスムーズに進め、内容を充実させるために行うものです。アイスブレイクが必要以上に長引くと、本来の目的である話し合いや学びの時間が不足する恐れがあります。
アイスブレイクの時間をつくるのであれば、あらかじめ時間を決めておきましょう。ケースバイケースですが、大人数の集まりでゲームを行う場合は10~30分程度、商談や採用面接でのトークなら2~3分程度が一般的です。
参加者や議題に合わせる
せっかくアイスブレイクを取り入れても、参加者にとって興味のないネタであったり、会議の議題にふさわしくなかったりすると、思うような効果は得られません。適したアイスブレイクのネタやゲームは、参加者の興味関心や議題のほか、参加者がどの程度お互いを知っているかによっても変わってきます。
例えば全員が初対面の集まりであれば、自己紹介の要素を取り入れるとよいでしょう。同じ部署のメンバー同士の会議なら、参加者の共通の趣味の話題や全員が楽しめそうなゲームを選ぶと、距離が縮まります。
目的を伝えておく
参加者の中には、仕事と関係のない雑談やゲームをすることに対して、「何の意味があるの?」「時間を無駄にしたくない」と疑問や不満を感じる人もいるかもしれません。アイスブレイクを行う目的を明確にしたうえで、実施前に参加者に向けて「初対面の人が多いので、緊張をほぐすために行います」というように、簡潔に説明しましょう。
人を選ぶトークテーマは避ける
アイスブレイクでは、参加者が不快になる心配がない無難な話題やネタを選ぶことが鉄則です。人によって意見が分かれるテーマや対立の原因になりかねないテーマ、本人の意思では変えられない属性や人によっては触れられたくないと感じるテーマは避けましょう。
■避けたいテーマの例
政治・宗教・学歴・スポーツ・芸能・家族・健康・出身
商談を成功に導くアイスブレイクとは?
商談で契約を成立させるためには、会話テクニックで相手の緊張をほぐして心を許してもらうことが大事です。アイスブレイクのトークがはずむかどうかが成否を分けることもあります。ここからは、商談を成功させるためのアイスブレイクのコツを解説します。
顧客や業界に関するリサーチを徹底する
営業活動では、クライアント企業やその業界へのリサーチが欠かせません。顧客を知ることで、適したアイスブレイクの話題もおのずと見えてくるはずです。取引先の担当者とすでに打ち解けていて、相手の人柄や趣味などを知っている場合は、相手が興味を持ちそうな情報をリサーチしておくのもよいでしょう。
「話す」より「聞く」ことに重点を置く
実は、デキる営業職の多くは、話し上手というより聞き上手です。商談を有利に運ぶには、相手に合わせた話題を振ることで「あなたに興味があります」というメッセージを伝え、相手から言葉を引き出すことが大切です。アイスブレイクのトーク全体のうち、「話す」のが3割、「聞く」のが7割になるように心掛けるとよいでしょう。
普段から情報収集しておく
業種にもよりますが、商談では、幅広い年代の顧客と接する機会があります。また、取引先の担当者が変わることもあるため、ネタの引き出しが多いに越したことはありません。普段からメディアや社内外の人との会話を通して、アイスブレイクに使えそうな業界のニュースやトレンド情報などを集めておくことをおすすめします。
アイスブレイクをうまく活用して、コミュニケーションを円滑に
アイスブレイクには場の雰囲気が良くなる、参加者から積極的な発言を引き出せるといった効果があり、商談やミーティング、研修などに取り入れると、本来の目的を達成しやすくなります。また、オンライン会議やテレワークの普及によるコミュニケーション不足を改善する効果も期待できます。
今回は、基本的なトーク例やネタ・ゲームを紹介しましたが、アイスブレイクに厳密なルールはありません。まずは相手や参加者、場の雰囲気に合わせて、実践しやすい例を試してみましょう。経験を重ねるうちに、得意なネタや自分らしいやり方が見つかるはずです。