「観たら号泣!」「今すぐ会いたくなる!!」82歳女優が好演『秋が来るとき』ほか感動の“おばあちゃん映画”3選
2024年サン・セバスティアン国際映画祭にて脚本・助演俳優賞を受賞、横浜フランス映画祭2025で上映され絶賛されたフランソワ・オゾン監督最新作『秋が来るとき』が、5月30日(金)より全国公開となる。
じつは今年の5~6月は、70代から90代までシニア女優の素晴らしい活躍が際立っている。ということで『秋が来るとき』を筆頭に、『テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ』、『おばあちゃんと僕の約束』の3作品を、この初夏に必見の<おばあちゃん映画>として紹介したい。
観ればおばあちゃんに会いたくなる、号泣必至の感動作をぜひチェックしよう。
『秋が来るとき』
5月30日(金)より全国公開
『焼け石に水』『8人の女たち』 『スイミング・プール』など、カンヌ、ベルリン映画祭の常連、フランス映画の巨匠フランソワ・オゾンの新作は、自然豊かなフランス・ブルゴーニュの秋を舞台にした人生ドラマ。
主人公ミシェルを演じたのは、映画、舞台でも活躍するベテラン女優エレーヌ・ヴァンサン。エレーヌはフランスの田舎町で自然に囲まれながら穏やかに暮らす主人公を繊細かつ気品の溢れる演技で表現し、フランソワ・オゾン監督も「役に完全に入り込んでいた」と絶賛するほど。
そしてミシェルの親友役にジョジアーヌ・バラスコ、その息子役にサン・セバスティアン国際映画祭で助演俳優賞を受賞したピエール・ロタン。日本でも大ヒットを記録した『スイミング・プール』のリュディヴィーヌ・サニエも2003年以来、約22年ぶりに出演。新旧のオゾン・ファミリーが一堂に会し、熟練した演技を魅せる。
最後の人生を生き抜くために必要なのは、愛と抱擁、ちょっとした秘密――
ミシェルは自然豊かで静かな田舎での一人暮らし。休暇で訪れる孫と会うことを楽しみに、家庭菜園で採れたにんじんをスープにし、デザートは自作のケーキ、そして秋の気配が色づく森の中を親友とおしゃべりしながら散歩する。後ろめたい過去を抱えつつも80歳の女性ミシェルが人生の最後を自分のため、家族のため、友人のため、ある秘密を受け入れる。
美しいブルゴーニュの景観の中、人生の秋から冬を迎える女性のドラマを繊細に、時にドラマティックに描き出す。さらにサスペンス的な要素も垣間見える本作は、初期のオゾンの作風を彷彿させ、成熟した大人や映画ファンに静かな感動をもたらすだろう。ミシェルが孫のルカと森を散歩したり、料理を作ったり、何気ない日常を過ごすシーンの尊さは必見だ。
『秋が来るとき』は5月30日(金)より新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
『テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ』
6月6日(金)より全国公開
『テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ』の主演は、なんと現在95歳で、撮影当時はタイトルの年齢である93歳で撮影に挑んだジューン・スキッブ。彼女は舞台でキャリアを積み、60歳にしてウディ・アレン監督『アリス』で映画初出演を果たした逸材だ。
そんなジューンが演じるテルマは、孫が事故を起こしたと嘘をつかれてオレオレ詐欺に引っ掛かったことにより、大奮闘を繰り広げるおばあちゃん。アクションにも参加し、孫を甘やかし、のんびり暮らしていたおばあちゃんからは想像もできない行動力を見せる。その力強さに元気をもらえること間違いなしだ。
『おばあちゃんと僕の約束』
6月13日(金)より全国公開
タイ発の『おばあちゃんと僕の約束』は、おばあちゃん役のウサー・セームカムが78歳にして俳優デビューを果たすという、驚きと夢に満ちた作品。本国では観客が号泣する様子がSNSでバズり大きく話題を呼んだが、日本版の予告編を観るだけでも涙腺が決壊しそうになるので要注意だ。
ステージ4のガンを患うメンジュは、最初はとある思惑から近づいてきた孫エムと過ごす時間の中、その懸命さで孫の考えを変えていく。メンジュ役を演じたウサーは、テスト撮影で孫役のプッティポン・アッサラッタナグンととてもいいコンビネーションをみせ、抜擢されたそう。記憶が刻まれたしわのある手や、少し小さくなった背中が、どこか自分自身のおばあちゃんと重なり目頭が熱くなる。
――どの作品も、シニア女優の圧倒的存在感と深みのある演技力に感嘆するばかり。共通しておばあちゃんと孫が描かれているので、おばあちゃんが大好きな人、最近あまり会えていないという人はぜひ、劇場に行ってみてはどうだろうか。