「アース坂越の森」 環境省の自然共生サイト認定
アース製薬坂越工場の敷地内にある緑地が環境省の「自然共生サイト」に認定された。
同社の調査で絶滅危惧種を含む約420種の動植物を確認。「今後も社員一丸となって緑地内の生物多様性保全活動を実施していく」とし、将来的には社員だけでなく地域の住民や学校などを対象にした環境教育の場としての活用も検討している。
坂越工場は前身の木村製薬所が1910年に建設。「自然共生サイト」に認定された緑地部分は6・5ヘクタールの広さがあり、砂防のために造成した貯水池を除き、工場建設当時の状態がほぼそのまま残っているという。
同社は一昨年から里山保全に詳しい学術研究グループの協力を受け、緑地内の植生を調査。昆虫類などについては社員の専門知識を活かして同定を進めた。その結果、兵庫県レッドリストでBランクに該当するモリアオガエルやCランクのニホンアカガエルなど希少種の生息が確認できた。調査成果や今後の保全・管理計画などを策定し、「アース坂越の森」の名称で同省に提出。今年3月に自然共生サイトに認められた。
今後も年に複数回の生態調査や通年行う昆虫類や鳥類に対する目視確認などのモニタリングを継続するほか、森林の下草刈りや観察用通路の整備、植生を乱すおそれのある鹿やイノシシなどの活動を継続調査し必要に応じて対策をとるといった保全活動に取り組む。担当するCSRサステナビリティ推進部の森正宏係長(49)は「工場開設から100年以上経った今も生物種の宝庫と言える森林を壊さずに残してきたことを誇りに思う。この価値を全社員に周知し、保全に努めたい」と語った。
「自然共生サイト」は「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が認定する制度で2023年に制度が始まった。今年3月時点で国内184か所、兵庫県内12か所が認定を受け、赤穂市内では「アース坂越の森」が初めて認定された。