<キビシすぎる義父>「挨拶は?」「食べなさい」昭和イズム全開の義父におびえる息子【まんが】
私はマナ。4歳の息子ヒロトを育てています。ヒロトは少し繊細な性格ではありますが、今はすっかり幼稚園にも慣れて毎日楽しそうに通っています。夫のカズヤと一緒に息子の成長を見守りながら、私たち家族は幸せな日々を過ごしていました。夫の実家は自宅から車で2時間ほどの場所にあります。もともとあまり頻繁に会う機会もなく、夫の仕事の都合もあってここ半年くらいは顔を出せていませんでした。先日、夫の休暇と幼稚園のお休みに合わせ、私たちが久しぶりに義実家へ行ったときのこと……。
久しぶりに会った祖父母を見て、ヒロトは緊張している様子。私にしがみついて隠れるようにしています。義父がしつけに厳しいのは知っていたし、このときはまだ私も「すみません、恥ずかしがりやなので」と苦笑いでやりすごしました。そしてお昼をいただくことになり……。
義母は買ってきたお寿司や手作りのおかずで私たちをもてなしてくれます。酢飯が苦手なヒロトには、お子さま弁当を用意してくれていました。しかし緊張で食欲がないヒロトを、義父は叱りつけます。「……食べないのか? 寿司はダメだって言うから、わざわざ用意したんだぞ?」
確かに義父には昔カタギな雰囲気を感じていましたが、これまでは私も特に気にしていませんでした。しかし今回ヒロトがご飯を食べなかったことで、義父の頑固な面があらわになります。まだ4歳のヒロトにむかって、執拗に「食べろ」と迫る義父。慣れない場で緊張してご飯を食べられない子どもが、そんなに受け入れがたいのでしょうか。 食べ物を無駄にしてはいけない、もてなしに感謝して残さず食べるべき、という考えもよくわかるのですが……。にらみ合う夫と義父を前に、私はハラハラしていました。
夫がかばうも「好き嫌い許さん!」食事を強要された息子が……!
義父ににらまれ、ヒロトはおびえていました。さすがに私もやんわり止めに入ります。しかし義母がお子さま弁当を下げようとすると、義父が「待て!」と制止しました。そして弁当を取り上げると、ドンッとヒロトの前に置きます。青ざめるヒロト。そのとき、異変が起きました。
なおも続けようとする義父を、制止しなければと思った私。自分でもびっくりするくらいの大声が出ました。「いいえ、もうここまでです!」「なっ……」まったく話が通じない義父に、夫も言い放ちました。「母さん、悪いけど……俺たち帰るよ。もう無理だ」
慣れない義実家で緊張したヒロトは、用意されたお弁当をあまり食べられませんでした。すると義父が無理矢理食べさせようとして、ヒロトに異変が。少しだけ口にしていた食事をいきなり吐き戻してしまったのです。義父のことは夫に任せようと口を挟まないようにしていた私ですが、さすがに止めなければと思いました。 私と夫はヒロトを抱えてすぐに車に乗り込み、義実家をあとにしたのです。優しい義母の悲しそうな顔には心が痛みましたが、これ以上義父に責められるヒロトを黙って見ていられませんでした。 怖い思いをしたヒロトが早く今日のことを忘れてくれるといいな……。今はそんなふうに思っています。
「おじいちゃん怖い!」恐怖で食事ができなくなってしまった息子
翌朝私はいつもどおりの朝食を用意して、起きてきたヒロトを迎えました。昨日は義実家で食事を吐いてしまったあと、夜ご飯も食べなかったヒロト。お腹はすいているはずなのですが……。牛乳をすすめると一口飲んではみたものの、すぐに「げぽっ」と吐き戻してしまいました。
お腹の調子が悪いのかと心配し、「気持ち悪いの?」と聞いてもヒロトは首を振ります。「食べたくない」「いらない」と言って椅子からおりると、その後は元気に遊びはじめるのです。別に病気にかかっているわけでもないようでした。
義父にご飯を食べるように強要されたことは、ヒロトにとってよほどショックな出来事だったようです。昨日は帰宅してから何も食べていないし、朝も口にした牛乳を吐き出してしまいました。それ以降もゼリーやあめくらいしか食べてくれなくて……。義父からヒロトを守れなかったことを痛感し、私は落ち込みます。 幸い水分は取れていますし「食事をとれない」以外は普段と変わらず元気な様子ですが、このままではだんだん弱っていくかもしれません。お願いだから少しでも何か食べて……! 私はヒロトの心と体が心配でたまりませんでした。
食べない息子「幼稚園の給食なら食べてくれるかも!?」母の願い
給食なら気分が変わって食べてくれるかもしれないという期待も少しありました。幼稚園でいつもどおり楽しく過ごせば、怖い気持ちも薄れるかもしれないと思ったのです。私は落胆しつつ、ヒロトを連れて幼稚園から出ました。途中で寄った公園で、遊ぶヒロトを眺めながら考えを巡らせます。
しばらく経つと、ママ友のコトネさんが娘のノノカちゃんをつれて公園に現れました。同じクラスの子どもたちはさっそく一緒に遊びはじめます。その楽しそうな様子をコトネさんと眺めながら、私は事情を説明します。落ち込む私に、コトネさんはあたたかい言葉をかけてくれました。
ヒロトがご飯を食べられなくなったのは、義父に叱られたことがショックだったからでしょう。だったらせめて幼稚園で楽しく過ごして、少しでも心を癒してほしいと思ったのですが……。期待もむなしく、ヒロトは給食をほとんど食べなかったようです。 幼稚園の帰り道に寄った公園で会ったママ友のコトネさんは、ベンチの隣に座って私の話を聞いてくれました。そして義実家での出来事を打ち明けると、「マナさん、頑張ったと思うよ?」と言ってくれたのです。 一緒に解決方法を考えてくれようとするコトネさんのあたたかさに、自分を責めて落ち込んでいた私は思わず泣きそうになりました。
食事の「楽しい雰囲気」思い出して!ママ友の助言で解決なるか?
コトネさんがポンと肩を叩いてくれて、私は少し元気が出てきました。ヒロトにとっては義父に叱られ、大人たちが言い争う義実家での食事の雰囲気はさぞ怖かったことでしょう。話をすると夫も賛同してくれたので、さっそく家族3人でファストフード店に行くことにしました。
最初ヒロトはおもちゃに夢中で、食べものには興味を持っていませんでした。けれどしばらくおもちゃで遊び、満足したところで……自然とポテトに手が伸び、食べはじめたのです。カズヤが思わず心配して「大丈夫なのか」と声をかけようとしたので、私はすかさず止めました。
その後ヒロトは美味しそうにナゲットも食べはじめ、私はようやくホッとしました。ヒロトはその日、お子さまセットをぺろりと完食。それからはすっかり元にもどり、普段どおり食べてくれるようになりました。しばらくして義母から電話があり、義父は「ヒロトを怖がらせてしまって申し訳なかった」と反省していると聞かされました。 ヒロトが食べられなくなったときは動揺してしまいましたが、食事の楽しさを思い出してもらえてよかったと思っています。ヒロトの食欲のなさは、私や夫が深刻になって心配しすぎていたことも影響していたのかもしれません。解決のヒントをくれたコトネさんには本当に感謝です。 これからも「食事は楽しいもの」と思ってもらえるように、ヒロトの心に寄り添っていきたいと思います。