シャンパーニュの名門「フィリポナ」、パリの殿堂「ホテル・ド・クリヨン」で新作お披露目
500年の伝統を持つ名門「シャンパーニュ・フィリポナ」はこのほど、パリの「ホテル・ド・クリオン」でシャルル・フィリポナ社長が出席して新しいミレジムとキュヴェの紹介を行った。
今回発表されたのはフィリポナのポートフォーリオを代表する『クロ・デ・ゴワス2015 』(Clos des Goisses 2015)と『クロ・デ・ゴワスL.V.1999』(Clos des Goisses L.V. 1999)二つのミレジム。そして、『ブラン・ド・ノワール2018』(Blanc de Noirs 2018)と『グラン・ブラン』(2016Grand Blanc 2016)、さらに単一区画のキュヴェ、『ラ・レミソンヌ2015』(La Rémissonne 2015)と『ル・レオン2015』(Le Léon 2015)という、豪華なラインナップである。シャルル・フィリポナ社長は冒頭「今年は特に多くの新しいミレジームをお披露目できることを嬉しく思います」と語った。
発表会はホテル・ド・クリオンのレストラン「ラ・カーヴ」で開催され、ミシュランの星付きシェフ、ボリス・カンパネラ氏が特別に考案したメニューとともに試飲を楽しんだ。ワインを担当したのは、2022年度フランスベストソムリエでありフランス最優秀職人(M.O.F.)の称号も持つグザヴィエ・テュイザ氏。
『ロワイヤル・レゼルヴ・ブリュット』
(Royale Réserve Brut)
ノン・ヴィンテージの『ロワイヤル・レゼルヴ・ブリュット』は、2020年をベースとしたもので、デゴルジュマンは2024年3月。
ピノ・ノワール65パーセント、シャルドネ32パーセント、ムニエ3パーセント。リザーブワイン比率39パーセント、マロラクティック発酵なしのワイン比率23パーセント、ドサージュ8g/l。
『ロワイヤル・レゼルヴ・ロゼ・ブリュット』
(Royale Réserve Rosé Brut)
ベースの収穫年が2019年でデゴルジュマンが2024年2月。
シャルドネ29パーセント、ピノ・ノワール69パーセント、ムニエ2パーセント。リザーブワイン比率27パーセント、マロラクティック発酵なしのワイン比率23パーセント、ドサージュ9g/l。
注目すべきは、近年で最も暑かった2015年のミレジムから生まれた三つのキュヴェだ。特に注目を集めたのは、『クロ・デ・ゴワス2015』。2015年の春は比較的涼しく、収穫は例年通り9月第3週からと予想されていたが、夏は数十年来で最も乾燥し、日照も記録的なものとなった。しかし、9月初旬に適度な雨が降り、ブドウの成熟を後押しした。同社の南向き斜面の畑では収量は控えめながら、凝縮感のある理想的なブドウが収穫できた。
『クロ・デ・ゴワス 2015年』
この2015年ヴィンテージの『クロ・デ・ゴワス』は、ピノ・ノワール78パーセント、シャルドネ22パーセントのブレンドで、生産本数は18,285本。
マロラクティック発酵を行わず、100パーセント樽発酵というフィリポナならではの個性を持っている。ドサージュは4.5g/l、pH3.08という完璧なバランスで、2024年3月にデゴルジュマンを行った。
『レミソンヌ2015年』『ル・レオン2015年』
さらに、今回リリースされた単一区画もの2種も素晴らしい。
アイのプルミエ・クリュ、レミソンヌの畑から作られた『レミソンヌ2015年』(2,710本生産)と、アイのグラン・クリュ、ル・レオンの畑から作られた『ル・レオン2015年』(3,732本生産)である。いずれもピノ・ノワール100パーセントで、マロラクティック発酵を行わない同社独自のスタイルを貫いている。
『ブラン・ド・ノワール2018年』『グラン・ブラン2016年』
また『ブラン・ド・ノワール2018年』と『グラン・ブラン2016年』も発表された。『ブラン・ド・ノワール2018年』は、アヴネイ、マルイユ・シュール・アイ、マイイ、エキュイユ、ヴェルテュという5つの村のピノ・ノワール100パーセントから造られている。
2018年は記録的な乾燥した夏となり、6月中旬から収穫期までほとんど雨が降らなかった。収穫は8月27日に始まり、9月8日に終了。品質は全体的に満足のいくものとなり、収量はヘクタール当たり12,000kgを超えることもあった。
『グラン・ブラン2016年』
グローヴ、シュイイ、トレパイユ、オジェ、ヴェルテュという五つの村のシャルドネ100パーセントから造られている。2016年は4月の霜の被害に見舞われたが、8月以降は温暖で日照に恵まれ、土壌が乾燥し、ブドウの成熟が順調に進んだ。収穫時のブドウの状態は極めて良好で、白い花や柑橘類の香り、ミネラル感があり、フレッシュさが際立っている
『クロ・デ・ゴワスL.V.1999年』
そして特別なキュヴェとして、『クロ・デ・ゴワスL.V.1999年』が紹介された。「L.V.」は「ロング・ヴィエイスモン(長期熟成)」の略。25年の長期熟成を経て、2024年3月にデゴルジュマンを行った。
フィリポナ社長は「500年までは遡りませんが、25年前の素敵な思い出に心を馳せて楽しんでください」と語った
1999年は気象条件に恵まれ、暖かい冬から始まり、湿潤な春を経て、暑く乾燥した夏を迎えた。9月17日から10月2日にかけて、雨の脅威の中で収穫が行われたが、素晴らしい夏の恩恵により、清らかで純粋な特徴を持つワインとなった。ピノ・ノワール59パーセント、シャルドネ41パーセントのアッサンブラージュで、当初のデゴルジュマンで31,885本のボトルと2,055本のマグナムが生産され、残りが今回、後期デゴルジュマンの特別キュヴェ『L.V.1999』として1537本のボトルと60本のマグナムが作られリリースされた。
試飲に合わせたメニューは、野菜のアペリティフに始まり、アントレとして「プロヴァンス産アーティチョークのタルト」と「熟成コンテチーズ」、魚料理として「エルキー産のルージェとブロッコリーニ」、肉料理として「仔牛のリードヴォーとセップ茸」、そしてデザートに「フランボワーズのガヴォット(薄いクレープ)」という趣向を凝らした構成。そして、前菜には2020年ベースの『ロワイヤル・レゼルヴ・ブリュット』と同『ノン・ドゼ』が、魚料理には『ラ・レミソンヌ2015年』と『ル・レオン2015年』が、メインの仔牛料理には『クロ・デ・ゴワスの2015年』と同『1999年』が供された。