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GlobeXplore Pro、高精度なバーチャルロケハンを手軽に実現! [Reviews]Vol.89

DRONE

空撮前のロケハン、もう失敗しない!「GlobeXplore Pro」は、Google Earth等の3Dデータを活用し、まるで現地にいるかのようなバーチャルロケハンを実現するプロ向けツール。時間とコストを大幅カット、プロの現場を変える新ツールをレビュー

空撮をするには手続きや許可取りをしなくてはならないことも多く、実際に空撮してみたらイメージと違った…となると、その時間的・コスト的損害は大きなものです。

そして、そのイメージの違いがクライアント側に起きていたとしたら…。それはもはやトラブルにもなりかねません。

今回ご紹介する「GlobeXplore Pro」は、その場でドローンをフライトさせなくても、Google Earthなどのデータを活用してバーチャルロケハンができるプロ向けツールです。

GlobeXplore Proの特徴

GlobeXplore Proは、業務用ドローンシミュレーションソフトウェアです。Google EarthやPLATEAUといった3Dモデルはもちろんのこと、CADデータやフォトグラメトリも読み込ませて画面上で高精度な現場再現=バーチャルロケハンをすることができます。

また、実在する機体を想定したレンズ選択や、日時(太陽の場所や影の出方も含む)の指定、天気の指定などもできるようになっており、本当にその場でドローンをフライトさせて撮影しているかのような画角を作ることができるのも特徴です。

筆者も空撮前には Google Earthを使ってバーチャルロケハン(のようなこと)をしていたのですが、Google Earthではちょっと上空からの景色を見ることはできるものの実際にドローンで空撮したような画角を見ることができず、結局は現場に行ってロケハンする前の“ロケハン準備”のレベルでした。

Google Earthアプリで見た富津岬(千葉県)。3D表示で立体的ではあるものの、高度を指定した画角で見ることはできない

GlobeXplore Proでは、実際に飛行する場所や高度から実際に使う(焦点距離の異なる)レンズ、撮影する日時と天気を指定することで、その条件で撮影できる画角を忠実に再現できるのです。3DデータはGoogle Earthなどになるので、その限界を超えた解像度やリアル感では見ることはできませんが、下記の画像にある通り、バーチャルロケハンとしては問題ないレベルのリアル感で画角を確認することができます。

GlobeXplore Proで見た富津岬。高度を変化させたり場所を自由に移動できるのはもちろんのこと、レンズの変更や日時指定による日の傾き、天気までも再現できる

GlobeXplore Proの実際の操作

(1)バーチャルロケハンをする場所を指定する

画面右下の「ロケーション」欄に座標を入れるとその場所に移動することができます。座標はGoogle Map で行きたい場所を右クリックすると表示されますので、それをコピーすると便利です。

画面いちばん右の「ロケーション」欄に座標を入力、「移動」をクリックするとその場所に移動することができる

(2)日時と天気を指定する

バーチャルロケハンしたい場所へ移動したら、画面左下から日時と天気を指定します。日時を指定すると、その時間の太陽の位置がシミュレートされ、画面の3Dモデルにも太陽の位置や高さに応じた影が落ちます。

天気は「AUTO」にするとそのときの実際の天気(未来の指定では天気予報を参照)がシミュレートされますが、晴れや曇りも決め打ちで指定できますので撮影したい映像に合わせて設定します。

画面いちばん左側に日時や天候を選択するパネルがある

さきほどのバーチャルロケハン環境に対して時間を日の入り前に設定したもの。夕焼けに色づいてモニュメントの影も長くなっている

さきほどのバーチャルロケハン環境に対して天候を「雨」に設定したもの。雨での空撮はあまりないかもしれないが、曇り空も含めてバーチャルロケハンできるのは空撮時のイメージを掴みやすい

(3)「機体とレンズを指定する

機体は「M3 Pro cine」「I3」「Matrix 300」「FPV」から選択でき、画面表示の方法も一人称視点と第三者視点を選ぶことができます。また、レンズは主要な焦点距離のものはプリセットで入ってるほか、手動で焦点距離を調整することもできます。バーチャルロケハンで画角を確認したいのであれば、一人称視点でレンズを実在のものに設定して画角を見るのがよいでしょう。

左から「I3」「Matrix 300」「M3 Pro cine」。一人称視点を選択すれば完全にプロポのモニターに投影される映像と同じ画角のものを確認することができる

(4)空撮したい場所や高度へ移動する

機体はもちろん、動かすこともできます。パソコンのキーボードであれば、

W…上昇S…下降A…左ラダーD…右ラダー↑…前進↓…後進←…左エルロン→…右エルロン

と、なっています。想定している場所や高度へ移動し、そこから見える映像を確認してみましょう。

富津岬での空撮時に利用してみた

実際にバーチャルロケハンとしてGlobeXplore Proを使用し、富津岬で空撮をしてきた際の使用感をレポートしたいと思います。

富津岬には「明治百年記念展望塔」という複雑な積層構造の展望タワーが岬の先端にあり、今回はこの展望塔を画角に入れながら展望塔の先の海に沈む夕日を撮りたいと思ってバーチャルロケハンを実施しました。

GlobeXplore Proでの画角(上)とDJI Mavic 3 Pro での画角(下)の比較。ほぼ同じ画角で撮ることができた

まずは富津岬の座標を入力し、GlobeXplore Pro上で「明治百年記念展望塔」を画角に入れながら沈む夕陽を撮れる場所と高さを探りました。決め打ちの場所だけでなく、バーチャル空間を移動しながらイメージに合う画角を探れるのが便利です。

当日は日中は快晴だったものの少しモヤが多く、夕陽が見れるか不安だったのですが、結果は上記の通りとてもエモい夕陽を撮ることができました。GlobeXplore Proでシミュレーションした夕陽のほうが明るく、実際は少し暗い夕陽となりましたが自分としては満足です。

まとめ:ロケハン利用だけでなく企画プレゼンやクライアントコミュニケーションにも

GlobeXplore Proを利用して感じたことは、バーチャルロケハンはもちろんのこと、クライアントへの提案やコミュニケーションの中でもとても便利なツールとなることです。人は何よりも見たものを信じます。100の言葉を並べるよりも、一度見てもらったほうがその魅力は伝わるものです。企画のプレゼンやラフ映像の中への取り込みなどにGlobeXplore Proは利用できることでしょう。

また、富津岬の陸地中央付近はドローンの飛行が原則禁止となっているのですが、GlobeXplore Proではもちろん空撮画角を確認でき、とても魅力的な画角であることもわかりました。

手続きをして空撮ができるならば、(実際に飛行できるかわかりませんが)その手間と時間をかけても撮ってみたいと思える景色です。GlobeXplore Proでは、そういった実際に飛行して確認することができない場所でも画角を確認できるため、手続きをして空撮してみたけれど大した画角ではなかった…というロスを防ぐこともできそうです。

今回は試せませんでしたが、コントローラーをPCに接続すればドローンをいつも操縦している感覚でバーチャル空間を飛行することもできます。

今後は、WeyPoint のように飛行経路を再現する機能も搭載を調整しているとのこと。GlobeXplore Proをご自身の空撮ワークに取り入れてみてはいかがでしょうか?

GlobeXplore Pro
URL:https://gxpro.app/
月額利用料:49,500円〜

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