阪神・佐藤輝明が絶好調の要因をデータ分析、ようやく目覚めた“アレンパ”のキーマン
オールスター明け9試合で打率.513、3本塁打
阪神の佐藤輝明が絶好調だ。5月には不振で二軍落ちしたスラッガーが、7月17日の巨人戦から13試合連続安打、7月28日の中日戦から7試合連続マルチ安打をマーク。オールスター明けの後半戦9試合で39打数20安打の打率.513、3本塁打、11打点と猛威を振るっている。
近畿大から2020年ドラフト1位で入団し、3年連続20発。しかし、今季は本塁打のペースが上がらず、6月終了時点でわずか3本塁打だった。
それが7月以降で5発。しかも、最近は確実性を増しており、打率もリーグ8位の.275まで上昇している。
ファーストストライクのスイング率はセ・リーグトップ
佐藤の特長と言えば、積極的な打撃。ファーストストライクのスイング率をランキングにしたのが下の表だ。
佐藤は、スイング率64.3%の森友哉(オリックス)に次ぐ60.3%で2位。3位以下も山川穂高(ソフトバンク)、ソト(ロッテ)、万波中正(日本ハム)、浅村栄斗(楽天)らパワーヒッターが並んでいる。比較的甘いコースに来る確率が高いファーストストライクから積極的に打ちに行くからこそ本塁打を量産できるのだ。
タイプの違う小園海斗(広島)が55.7%で4位に入っているのは意外だが、コンタクト率も91.7%と高い。小園も今季は4番を任されることが多く、どんなタイプでも主軸は簡単に勝負してもらえないため、積極的な姿勢が必要ということだろう。
初球のボール球に手を出さない後半戦
佐藤は2023年もファーストストライクのスイング率60.7%で、今季とほとんど同じ。積極的に打ちに行く「姿勢」に関しては大きな変化は見られない。
ただ、佐藤の場合は積極的な姿勢が時としてボール球を空振りすることにつながる。相手投手の術中にハマると簡単に追い込まれたり、凡打すると淡泊な印象を与えたり、批判される一因にもなるのだ。
実際、今季前半戦は浅いカウントのボール球を空振りするシーンが目立った。元々、三振が多いタイプとはいえ、ボール球の見極めが課題なのは誰の目にも明らかだった。
そこでオールスター前後のボールゾーンとストライクゾーンのスイング率を調べてみた。
オールスター前はボールゾーンのスイング率37.2%、ストライクゾーンは同72.2%だったのに対し、オールスター後はボールゾーンが38.3%、ストライクゾーンが74.2%。ほとんど変わっていないどころか、オールスター後はボール球のスイング率が上がっている。にもかかわらず、今の好調ぶりはなぜなのか。
そこで、さらに深堀りして初球限定のスイング率も調べてみた。
オールスター前の初球ボールゾーンはスイング率26.4%、ストライクゾーンは同57.9%だったが、オールスター後はボールゾーンが19.0%、ストライクゾーンが65.0%と良化している。
初球に限ってはボールに手を出さず、ストライクを振るというシンプルな見極めができるようになっているのだ。
岡田彰布監督も認めているように、力まず楽に振っていることが打席での余裕を生むのだろう。結果が伴ってくれば、より一層「打ちたい」という気持ちが先走ることもなく、初球は我慢してボールの見極めを可能にしているわけだ。
前半戦は貧打に泣く試合も少なくなかったが、後半戦は1試合平均5.67得点と見違えるように点が入る阪神。佐藤とともに森下翔太も調子を上げており、得点力がアップすれば、元々投手力には定評のあるチームだけに混戦から抜け出す可能性も十分だ。“アレンパ”に向け、ようやく眠りから覚めた佐藤のバットに期待がかかる。
※成績は2024年8月4日終了時点
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記事:SPAIA編集部