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第8回目「KOGEI Art Fair Kanazawa 2024」が開催(レポート)

アイエム[インターネットミュージアム]

暮らしの中にアートと工芸が息づいている街、石川県の金沢。工芸の新しい美意識や価値観を世界に発信する国内唯一の工芸に特化したアートフェア「KOGEI Art Fair Kanazawa 2024」が、今年も開催されました。

会場は、金沢駅西口前の「ハイアット セントリック 金沢」。2F、5F、6Fの3つのフロアで、過去最多となる国内外40ギャラリー、211名のアーティストが参加しています。


ハイアット セントリック 金沢


2階のフロアに現れた巨大な円柱。前回に続いて開催された茶会ですが、今回は木工職人の中川周士による桶を使った「木桶の茶室」が登場しました。

いわゆる“桶”としてのイメージを超え、ワインクーラーや建築など様々な制作を作っている中川。国内外のデザイナーやアーテイストと作品をコラボし、木桶の新しい可能性を見い出しています。会場では、にじり口もなく角もない丸い空間で“桶の中に入って楽しむ茶会”が行なわれました。

秋元雄史(東京藝術大学名誉教授)総合監修、裏千家今日庵業躰の奈良宗久が席主を務める「MUFJ茶会」は、2日間開催。茶会での参加費は、令和6年能登半島地震災害義援金へ寄付されます。


中川周士「木桶の茶室」


(左から)中川周士、奈良宗久、秋元雄史


隣のブースでは伝統的な工芸文化や技術など、ものづくりを応援している「MUFG工芸プロジェクト」の関連作品を展示。雑誌「Forbes JAPAN」で世界を変える30歳未満の日本人を表彰する「30 UNDER 30」の工芸部門で取り上げられた作家の作品も並んでいます。


「MUFG工芸プロジェクト」作品


今回のアートフェアでは、金沢のほかに、東京、岐阜、京都、大阪など13の地域のギャラリーが出展。ホテルの部屋を活かしてベッドやテーブル、バスルームに並んだ作品を、各ギャラリーの部屋毎に楽しむことができます。


galleria PONTE ガレリアポンテ│石川


atelier&gallery creava│石川


8回目の開催となった「KOGEI Art Fair Kanazawa」。今回が初出展となった金沢のギャラリー「As baku B」では、ギャラリー独自の目線でセレクトした 2組のアーティスト、金沢市内で活動するペロリーヌ(戸出雅彦と真釦)と愛知県瀬戸市で制作する森正響一の挑戦的かつ斬新な陶芸作品を展示しています。


As baku B│石川


若手アーティストの支援とプラットフォーム作りを目的に活動する「TRI-FOLD OSAKA」は、大阪市内で活動するアトリエ三月・サロンモザイク・gekilin.の3つのギャラリーから成るアートディレクションユニットです。

アートのジャンルや領域に固執せず、アーティストの発表の場の創出や多様なイベントを開催し、次世代への可能性を追求しています。今回は各ギャラリーから2名ずつ、6名のアーティストの作品が飾られています。


TRI-FOLD OSAKA│大阪 バスルームに展示された作品


TRI-FOLD OSAKA│大阪


2017年から「KOGEI Art Fair Kanazawa」に参加している韓国の「Gallery LVS & CRAFT」は、今回唯一の海外ギャラリーとなりました。


Gallery LVS & CRAFT | 韓国


11月29日には、高橋隆史により「アート購入の意味 - その楽しみから悩みまで -」をテーマにしたトークイベントも開催されました。

「アート鑑賞は、脳が喜びドーパミンの分泌される、共感力が上がるといった良さがある。しかし、“アートを買う人の世界”には、それ以上の価値がある。身銭を切ることで、解像度が上がり、勉強にもなり、アートをより好きになる。アーティストの応援だけでなく、新たな美の展開が生まれる」と、日常生活にアートを取り入れることの意味を語られました。


トークイベント「アート購入の意味 - その楽しみから悩みまで -」


その他にも、国立工芸館と連携した特別体験プログラムやアーティストの工房見学、古美術探訪や「KOGEI ART FAIR KANAZAWA 2024 特別解説」も実施。今後も広がっていく工芸の展開に期待が高まります。

[ 取材・撮影・文:坂入 美彩子 / 2024年11月29日 ]

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