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「京成松戸線」初日に密着! 京成ミニヒストリーもお届けします(千葉県習志野市)

鉄道チャンネル

記念ヘッドマーク列車に出発合図を送る3駅長と久野さん(筆者撮影)

年度替わりの2025年4月1日、戦後とともに歴史を刻んできた千葉県の準大手私鉄・新京成電鉄が親会社の京成電鉄に吸収合併され、新京成線が「京成松戸線」として再スタートを切りました。

記念セレモニーはJR総武線(津田沼駅)と接続する千葉県習志野市の新津田沼駅で。新目和雄(新津田沼)、湯浅賢治(松戸)、佐々木啓友(京成津田沼)の3駅長(所属はいずれも京成鉄道本部運輸部です)によるテープカットと出発合図で記念ヘッドマークを付けた松戸行き列車を送り出しました。

ダイヤや運賃、駅名などは変わらないものの、ジェントルピンクが基調の車両の外装色や駅の掲示類は順次、京成の他路線にそろえた配色に変更されます。本コラムは京成松戸線の旅立ちを祝して、松戸線最初の1日を京成のミニヒストリーとともにお届けします。

ヘッドマークや掲示類のロゴマーク。青色は「4.1」の〝誕生日〟を表します。記念ヘッドマークは2025年5月31日まで。京成本線などの3000系1編成にも掲出します(資料:京成電鉄)

堅調な今、将来の経営基盤強化

最初に、あらためた新京成吸収合併の狙い。セレモニー会場の新津田沼駅ホームで、三沢建吾経営統括部長にうかがいました。

本サイトでも紹介の通り、若干手薄だった千葉県東葛部の事業基盤強化と地域振興への貢献、経営資源統合の相乗効果による競争力強化と事業規模拡大、スケールメリットを生かした効率的経営などが並びます。

コロナ禍収束を受けた人の動きの再活発化や好調なインバウンドで、全体としては鉄道会社の経営は堅調です。しかし、本格化する人口減少社会や少子高齢化を受けた通学生の減少などで、楽観視は禁物。京成は吸収合併の布石として、2022年に新京成を完全子会社化しています。

新鎌ヶ谷駅前再開発に力

三沢部長が、近未来の成長株として期待したのが鎌ケ谷市の新鎌ヶ谷駅周辺。2019年12月に連続立体交差化され、地上の線路跡地をはじめとする再開発が可能になりました。

新鎌ヶ谷は京成松戸線のほか、北総鉄道と東武アーバンパークラインの鉄道3線が接続する千葉県東葛部の交通の要衝。東京都心(北総線、京成、都営地下鉄)、成田空港(北総線・成田スカイアクセス)、津田沼、松戸(京成松戸線)、船橋、柏(アーバンパークライン)に直行できます。

ジェントルピンク最後のシャッターチャンス!?

資料をもとに変わる点、変わらない点をまとめ、初日の模様をウォッチングしました。

松戸線の車両や駅掲示類のデザインは京成バージョンに変わるとされます。確かに、券売機まわりなどのデザインは一変。京成カラーの青に統一されていました。

ジェントルピンクの車両は新京成時代と同じですが、順次デザインを更新します。初日時点で新京成マークは消されていました。撮り鉄の皆さま、今がジェントルピンク最後のシャッターチャンスかもしれませんね。

鉄道ファン目線では、特別な組織改正はなく、新京成の鉄道部門は原則として京成の鉄道本部運輸部に移管されます。運輸指令や車両検修は当面、従来の体制を継続します。

ブルー一色に変身した券売機まわり。上部の路線図は松戸線も他線と同色のブルー表示されます。横方向のオレンジ線は北総線(筆者撮影)
京成津田沼~新津田沼間で初日の松戸線を撮り鉄。JR総武線と、隣接する道路をまたぐ写真の陸橋は旧陸軍鉄道連隊による建設当時の施設が現在も一部使用されます(筆者撮影)

「聞こえるのは電車の音」(太宰治)

ここから超短縮版ですが、京成のミニヒストリー。京成が成田山新勝寺への参詣客を当て込んで社名にしたのは、皆さまご存じでしょう。

しかし、いきなりの全通は資金難でムリ。そこで、最初はフーテンの寅さんでおなじみ(映画「男はつらいよシリーズ」)の柴又帝釈天をターゲットにしました。

最初の開業は、帝釈人車軌道(人力軌道)を買収する形での1912年4月の曲金(現・京成高砂)~金町間。成田到達は大正末期の1926年の成田花咲町(仮駅)で。1930年に現位置に京成成田駅を開業しました。

東京側は1933年に日暮里~上野公園(現・京成上野)間が開業。現在につながる京成上野~京成成田の本線が誕生しました。

戦前のエピソードを一点、1935年から約1年余にわたり船橋で療養生活を送った作家の太宰治。船橋の歴史書によると、知人への手紙に、「船橋は静か過ぎます。虫の音と電車の音」と記したそうです。

松戸市に初登場

京成松戸線の話題をもう少々。路線は、起点の京成津田沼側から習志野、船橋、鎌ケ谷、松戸の4市にまたがります。習志野、船橋の両市は本線(習志野は千葉線も)、鎌ケ谷市は成田スカイアクセスが通るので、京成電鉄の路線としては初めて松戸市に登場したことになります。

京成津田沼~松戸間は26.5キロ。京成全線では、スカイアクセスを含め178.8キロ、91駅のネットワークに広がりました。

車両数762両。一般車両では本サイトで詳報された3200形がニューフェイス。松戸線にもデビューがうわさされます。

【参考】京成電鉄の新型車両「3200形」報道公開 フレキシブルな仕様や車両デザイン、運用についてお伝えします
https://tetsudo-ch.com/12995325.html

京成高砂~京成津田沼~松戸、金町~京成高砂のルートで乗車すると、〝京成大三角形(?)〟が描けます、もっとも松戸~金町は路線がないので、JR常磐線を利用しなければなりませんが……。

「ジェントルピンクに追憶」(久野さん)

新津田沼駅にセレモニーを実況します。女子鉄アナウンサー・久野知美さんのMCで3駅長がテープカット。3駅長への花束贈呈に続き、久野さんも交えた出発合図で、復刻デザインのN800形に送り出しました。

久野さんに京成松戸線にエールを送ってもらうと、「ジェントルピングの電車とか、くぬぎ山のたぬき(1978年にデビューした8000形電車の愛称)とか、新京成は女子鉄にも人気の鉄道でした。京成移管でカラーも変わると聞いてちょっぴり寂しく感じましたが、これからも皆に愛される鉄道であり続けてほしいと願っています」とナイスコメント。

セレモニー当日は平日午前中、雨天、極寒と最悪のコンディションでしたが、ホームには20人ほどの鉄道ファン。松戸市在住の男性は、「松戸線は京成のいい点を取り入れて、ますます身近な鉄道になってほしい」と、こちらもナイスコメントでした。

3駅長によるあいさつに続くテープカット。後方で見守る〝リトルファン〟にもご注目(筆者撮影)

関西では南海と泉北高速が経営統合

最後に関連情報をワンポイント。関西圏でも、南海電気鉄道が2025年4月1日、完全子会社の泉北高速鉄道と経営統合しました。

南海泉北線(旧泉北高速鉄道線)は中百舌鳥~和泉中央14.3キロ。統合理由は、泉北線沿線の堺、泉北エリアの「暮らす・働く・訪れる」価値を向上や南海グループのまちづくり深化。京成松戸線に重なります。

京成、南海はユーザーやファンにフレンドリーな鉄道会社。これからもそうしたセールスポイントをますます磨きをかけてほしいとのエールで、本コラムを締めくくります。

南海は泉北線誕生をアピールするラッピング電車(泉北5000系、8両1編成)を運行中。スポンサー契約する女子プロゴルファー高木萌衣選手や、泉北高速のイメージキャラクターをデザインします(画像:南海電気鉄道)

記事:上里夏生

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