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猫の『しこり』は危険?考えられる3つの病気 日頃チェックすべき体の部位は?

ねこちゃんホンポ

1.乳腺腫瘍

「しこり」の原因として考えられる病気のひとつに、「乳腺腫瘍」があります。猫の場合、割合で言うと80%以上が悪性のがんである可能性が高いと言われていて、非常に深刻な病気です。

ごくまれに雄猫でも発症しますが、雌猫がほとんど。主に10~12歳のシニア期にかかりやすいのが特徴となっています。

「乳腺腫瘍」で厄介なのは、見つかった時点で病状がかなり悪化していることです。目安としては、腫瘍が2cm以上になると生存率が極端に下がり、3cm以上では、たとえ手術しても、一年以内に亡くなってしまうことも珍しくありません。

初期段階では際立った自覚症状がなく、進行するにつれ、赤い腫れや炎症、食欲不振などの症状が目立つようになります。腫瘍が大きくなったり増殖するスピードの高い悪性の高いものの場合、リンパ節や他の臓器に転移する可能性もあるので要注意です。

身体をチェックする範囲は、脇の下から足の付け根にかけての乳頭です。やさしく撫でながら、「しこり」がないかどうか確認します。愛猫のリラックス時、あるいは、安眠時を見計らってやるのがコツです。

治療のメインは外科手術で、術後は抗がん剤で対応することもあります。「乳腺腫瘍」は、ホルモンとの関わりが深いため、予防対策として避妊手術が効果的です。生後一年以内に避妊手術すると、発症リスクが大幅に抑えられます。

具体的に言うと、生後6ヵ月齢では91%も低下。ちなみに、生後24ヵ月齢以降では、予防効果がさらに低くなる、というデータも出ているそうです。

2.リンパ腫

「血液のがん」と言われる「リンパ腫」もまた、「しこり」の可能性を含んだ病気です。

発生場所の違いで5つのタイプに分かれますが、多いのは、縦隔型と消化器型。以下、どんな場所にできるか、簡単に挙げておきます。

✔縦隔型:胸線や縦隔(左右の肺の間にある)のリンパ節
✔消化器型:肝臓や小腸などの内臓

縦隔型の症状が進むと、呼吸器系に問題が生じ、最悪の場合、呼吸困難に陥ります。

一方、消化器型は、シニア猫がかかりやすく、下痢や嘔吐の症状があらわれ、内臓ゆえに表面的にはわかりにくいのが特徴です。

猫の「リンパ腫」については、実は明確な原因がまだわかっていません。可能性としては、猫白血病や猫エイズなどのウィルス感染(縦隔型に多い)、加齢、免疫力の低下、遺伝、さらにタバコの副流煙などが考えられています。

チェックすべき身体の箇所は、あごの下や脇の下、膝の裏などです。見た目的には変化がわかりづらく、下痢や嘔吐、食欲不振など、よくある症状の裏ですでに病状が進行している場合もあります。

定期的な動物病院の受診によるリンパ節の触診や血液検査による健康診断により早期発見が可能な場合があります。家庭でも愛猫を触ることのできる関係性をつくることや、動物病院に行くことが大きなストレスになりづらいような習慣を作れると良いでしょう。

治療方法は抗がん剤の投与が基本。ただし、副作用の問題もあるので、主治医と相談しながら詳細を決めることが大事です。完治が難しい病気ですが、寛解の状態で収まることもあります。

3.肥満細胞腫

「肥満細胞腫」は悪性のがんのひとつで、免疫細胞の肥満細胞が「がん」に転じてしまう病気です。大きく分けて、皮膚型、内臓型、2つのタイプがあります。

皮膚型は、頭部や耳などに小さなできもの(複数発生の場合も)としてあらわれます。約90%が良性。外科手術で除去すれば、術後の経過は比較的良好だと言われています。

注意したいのは、外部の変化としてあらわれにくい内臓型です。膵臓や肝臓、腸管などの臓器に発生し、食欲不振や体重の減少、嘔吐などの症状を引き起こします。

また、他の臓器に転移するのも特徴的で、手遅れになれば最悪の結果も避けられません。

「リンパ腫」と同様に、この「肥満細胞腫」もまた、原因の特定までには至っていないのが実状です。傾向的にシニア猫がかかりやすいと言われています。

治療法は、皮膚型、内臓型、ともに外科手術による切除、摘出がメインです。

まとめ

猫の「しこり」は何らかの病気と結びついています。今回、関連するものとして、「乳腺腫瘍」「リンパ腫」「肥満細胞腫」の3つを取り上げました。

できやすい場所はありますが、その場所にできたからと言って、外見上何の腫瘍ができているかを判断することは難しく、腫瘍の種類や悪性度を調べるために、組織検査や細胞診と呼ばれる針で腫瘍細胞を採取する検査が必要な可能性が高いです。

飼い主さんの判断ではなく、必ず受診をすることが大切です。

また、どれも命に関わる病気で、早期発見が大切です。日頃から愛猫の身体を触る機会が多いと、異変にも気づきやすくなります。

もし「しこり」を発見した場合は、迷わずに動物病院で診てもらってください。


(獣医師監修:葛野莉奈)

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