【静岡の高校サッカー戦後史Vol.71】1995年度の清水商業(現清水桜が丘)1年生の小野伸二を擁し全日本ユース3連覇
【清水商⑯】輝き戻りユース3連覇
※2011年3月〜11月に「静岡の高校サッカー 戦後の球跡」のタイトルで静岡新聞に掲載した連載を再掲しています。年齢等も掲載当時のままです。静岡サッカー応援アプリ「シズサカ」でまとめてご覧いただけます。
1994年(平成6年)度の選手権初戦で敗れ、93年度の全日本ユースから続けていた全国大会連続制覇は4で途絶えた。しかし、全国の頂点を目指す、清水商の挑戦は続いた。
95年度の目標は全国Vだった。主将を務めた松原忠明(南大門代表)は「勝ちたい―ではなく、勝つのは宿命と思っていた」と、当時抱き続けた、高校日本一への強いこだわりを口にする。
全国総体まさかの初戦敗退
ところが、鳥取県で開かれた全国総体で、厳しい現実に直面する。市船橋(千葉)と対戦した初戦(2回戦)。前評判では上回りながら、ペースをつかめず、前半12分に右サイドを突かれ先制点を奪われた。GKの小林弘記(J熊本スタッフ)が「今でも鮮明に覚えている」という失点に泣き、0−1で早々と姿を消した。
総体での初戦敗退は初めてで、その悔しさを全日本ユースにぶつけた。1回戦で松本深志(長野)に10−0、2回戦で横浜Fユースに7−1と、ともに一方勝ち。準決勝は再び対戦した市船橋を4−2で下し、総体の借りを返した。
横浜Mユースに完勝
決勝はクラブの代表格である横浜Mユースと顔を合わせた。「勝って自信を取り戻したかった」(松原)といい、立ち上がりから主導権を握った。前半5分に小林久晃(元J清水)が決めて先制、9分には藤元大輔(佐川急便)が2点目を奪った。その後も、攻撃の手を緩めず、5−0と圧勝した。
U-17日本代表に選ばれ、総体は不在だった2年の小林久と1年の小野伸二(J清水)も戦列に戻り、“常勝清商”が復活。その答えが3年連続4度目の全日本ユース優勝だった。
選手権予選で清水東に…
取り戻した輝きだったが、光彩を放ち続けることはできなかった。
選手権県予選は決勝トーナメントに進出した。といっても、リーグ戦はブロック2位通過で、全日本ユースでみせた快進撃にかげりが見え始めていたことが伺える。
そして迎えた決勝トーナメント1回戦。清水東を相手に、前半28分、小野のFKを松原が頭で合わせて先手を取った。だが、相手の鋭い出足に徐々に圧倒されて、1−3で逆転負けし、全国への道を断たれた。
ゴールを守る小林弘は試合前、守備陣の思いを代表するように声を上げた。「後ろは大丈夫。絶対に抑えるから、1点取ってくれ」と。結果は3失点。「悔しくて。家に帰って泣いた」と当時を思い起こす。(敬称略)
1995年度全日本ユース先発メンバー
GK
小林弘記
DF
柴田英吾
谷池洋平
松原忠明
大石玲
MF
早川知伸
小野伸二
小林久晃
FW
藤元大輔
漆畑司
新田純也