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【福岡・渡辺通り】古いビルの一室で “ここにしかない器”に出会う

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料理と切っても切れない関係の器。お気に入りの器があるだけで、料理をすることや誰かをもてなすことがより一層楽しくなるものです。作家ものや民芸、アンティーク、世界各国の器まで、収納場所に困るほど器を集めてしまうライターの森脇美奈さんが、こだわりのセレクトが光るお店を紹介していきます。

何度訪れても、何年経ってもその感性に惹かれてやまない存在がきっと誰にもあるはず。私にとってそれは渡辺通にあるギャラリー「望雲」です。ここでひとつずつ集めてきた器の数々は、時を経ても色あせることなくいまも私のお気に入りばかり。しばらくご無沙汰していましたが、器の楽しさを知った頃からよく足を運んできたビルの一室を久しぶりに訪れました。

住居として使われていた部屋を改装した店内。靴を脱いで上がる畳の部屋は誰かの家に遊びに来たようなほっと落ち着く雰囲気です。2002年に移動ギャラリーから始まった「望雲」は、この場所に店舗を構えて今年で20周年。オーナーの鶴田京子さんは器を含めたアート関連に造詣が深く、自分で発信できる場所を持ちたいという想いからギャラリーを始めました。

その最たるきっかけとなったのが山口県萩市の陶芸家・濱中史朗さんとの出会い。「それまでに見たことのなかった個性的でエッヂの効いた器に惹かれました」と鶴田さんは当時を振り返ります。濱中史朗さんの器に加え、濱中史朗さん主宰の「大屋窯」、妹の濱中孝子さんのジュエリーから始まり、オリジナル商品や新しい作家の取り扱いが少しずつ増えて現在の形になったそうです。

「男性のセレクトかと思った」と言われることも多いという商品は、シンプルでシックなものが中心。「使った時も飾った時も、佇まいのいいものを自然と選んでいる気がします」と鶴田さん。そこにあるだけで絵になるようなアート性のあるものばかりなのは、その審美眼で選ばれているからなのでしょう。オープン当初から店長を務める蓑毛恭子さんによる、新しいものと古いものが調和し、季節の植物が彩りを添えるディスプレイも素敵です。

器だけでなく、布ものやオブジェ、食品などの取り扱いもあります。古い型からおこした陶器のオブジェやだるま、布製品、和三盆など「望雲」オリジナル商品もあり、どれもセンスに溢れています。

「友達の家に来たようにゆっくりして欲しい」という想いから、お茶を淹れていただけることも。お湯のみなどの使い心地を試すことができるのもうれしいですね。また、さまざまな企画イベントも開催されていて、7/20(土)~8/4(日)は京都のおにぎり店「青おにぎり」の展示が開催されます。8/3(土)・4(日)はおにぎりの販売もあるので、「望雲」のホームページなどで詳細をチェックしてみてください。

それでは今回も気になったものを紹介します。「望雲」といえば、やはり濱中史朗さんの器は外せません。細部まで美しく緊張感のある造形でありながら使い心地もよく、手に取るたびに幸せを感じる濱中さんの器。モチーフや装飾に少しずつ変化がありながら、どの作品にも濱中さんらしさを感じられます。左2つの「プレート」(9350円)と「カップ」(5500円)はマットな質感とレースを用いた模様が素敵。錆び感のある「マグカップ」(9900円)も味わい深いですね。「望雲」20周年に合わせて、この秋に濱中史朗さんの個展を約5年ぶりに開催するそうです。初期のものから新しいものまでたくさんの作品が並ぶとのことなのでどちらも楽しみです。

こちらは多くのガラス作家を輩出している「富山ガラス造形研究所」の准教授をしている中神牧子さんの作品。「望雲」にお客さんとしていらしたことから交流が始まったそうです。左から「つまみ入れ」(7150円)、「ピッチャー」(8250円)、「コンポート」(8800円)。吹きガラスで制作する作品はいずれもシンプルで整った形のなかに手しごとの趣きを感じます。

東京・八王子市で作陶する加藤かずみさんの「オーバル耐熱グラタン皿」(4620円)や「ティーポット」(12100円)は釉薬の色合いや少し歪みのある形など、まるでアンティークのような表情。普段の暮らしにすっとなじみそうな佇まいが魅力です。

「どこにでもあるものではなく、ここならではのものを手に取って使うことが、その方の暮らしがかわるきっかけになればうれしいです」と鶴田さん。まさに私がそうであったように、これまでもこれからも「望雲」はたくさんの方のきっかけの場所であり続けることでしょう。

望雲
福岡市中央区渡辺通2-3-27 待鳥ビル507号室
092-733-1135

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