愛車を雨から守るためのガソリンスタンドを敷地に立てちゃった家。
ここは奈良県のとある場所。アメリカンな雰囲気満点の日本とは思えない光景が広がる。アメリカンな住宅を手がけるオーナーが理想を追求した自宅は、まるででアメリカ!そんな自宅脇に新たに完成したのは、なんとガソリンスタンド!
まるでアメリカのような毎日が楽しい我が家。
この光景を見ただけではまるでどこかアメリカの片田舎にあるガソリンスタンドのようだが、実はこれ、日本国内にある個人宅だ。所有しているのは、奈良県を中心にアメリカンな家を施工しているJUNさんことホットビルド代表の成田さん。彼の自宅はこれまで自身が見てきたアメリカっぽいスタイルを存分に詰め込んでいる。
今から8年ほど前に完成した自宅は、自身が考えるアメリカっぽさを追求した家となっている。当時はまだアメリカンハウスを施工する業者も少なく、作り方に正解はなかった。そこでJUNさんはアメリカの住宅地を回って研究を重ね、屋根の勾配を一般的な日本家屋より緩くしたり、リビングの床をできるだけ低い位置にするなど、さまざまな試行錯誤を繰り返し今のスタイルを確立したそうだ。
そんなJUNさんの家に新たに誕生したスポットがガソリンスタンド風のカーポートだ。
「アメリカには基本的にカーポートってないでしょ。でも愛車を雨から守りたい。で考えたのがこれです。中央には実際に古いポンプを置くことでまるでガソリンスタンドですが、基本的には愛車の駐車スペースとして使ってます」
今ではこの光景を見た人が自分の家にもガソリンスタンドを作りたいと問い合わせが殺到しているそうだ。
中央に設置した2本の柱に屋根を乗せ、柱の間にヴィンテージのガスポンプを設置することで、まるでガソリンスタンド! 大きな灯具もこの雰囲気にぴったりマッチしている。ちなみに自宅壁面のMARATHONはアメリカでは比較的メジャーなガスステーションの名称だ。
駐車スペース背面には旧い板を使った壁を設置し、余った窓を嵌め込むことで、まるで板張りの建物の手前にあるかのような雰囲気となっている。
庭に置かれたベンチは2×4材を組み合わせて作るベンチのキットで、背もたれは旧いシボレーピックアップのリアゲートを流用している。
中央に設置したのは、’60〜’70年代のユノカルのガスポンプで、実際にアメリカで稼働していたもの。’50年代のガスライトが乗る丸いガスポンプはポピュラーだが、こういった年代のポンプはリアルで愛車の雰囲気ともマッチしている。
自宅の屋根は傾斜角が緩く、ガレージスペースまで長く、低く伸びているのが特徴。家全体の構造も、できる限り屋根を低くするためにさまざまな工夫が施されているという。
ガレージの奥はかつて仕事の事務所として使っていた書斎スペースがある。またガレージ内にトイレと手洗いを設置することで、来客者は家に上がらずともトイレに行くことができる仕組み。
大きなオーバースライダードアを持つビルトインガレージは、元々クルマ用ではなく、バイクなどを収納するスペースとして作ったもの。そのため奥行きはクルマ用ほど確保されていない。
オーバースライダードアを閉めると、その上は断熱材を吹きつけたままの屋根となる。いかに屋根が低いかがわかるだろうか?
常識を覆すアイディア満載の自宅はほぼアメリカ!
自宅リビングは、壁面を見ればわかる通り、基礎のコンクリートよりも低い位置に床面を設置。屋外ともほとんど高さに差はない。これによって実際のリビングは天井の低さを感じさせない開放感のある空間だ。リビングのキモとなっている巨大なスピーカーはBAG END製。
リビングの天井から吊り下げられた照明は屋外用の大きなもので、ガラスカバー部分にあえてスニーカーを入れてあるのもオシャレな演出。
ダイニングテーブルとして使っているのは、アメリカ軍で使用された折りたたみ可能なテーブルとチェアのセット。座面にペルシャ絨毯を使ったマットを設置している。
JUNさんは古材を使った額の制作も得意としていて、自宅にもたくさんの写真を自身で額装して飾っている。これもアメリカっぽい雰囲気にひと役買っている。
横にあるガレージと屋根は繋がっているものの壁がなく風が通る構造となっていて、そこに玄関ドアを設置している。
(出典/「Lightning 2025年8月号 Vol.376」)
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