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矢井田 瞳が地元大阪で届けた25年分の「ありがとう」

WWSチャンネル

矢井田 瞳(C)スエヨシリョウタ

シンガーソングライターの矢井田 瞳が、デビュー25周年を記念した東阪ワンマンツアー「矢井田 瞳 25th Anniversary Live Tour『25』(ツーファイブ)」最終公演を、8月16日に大阪・大阪サンケイホールブリーゼで開催した。

同ツアーは、約8カ月間にわたる「矢井田 瞳 弾き語りツアー ~GUITAR TO UTA 24-25~」に続き、アニバーサリー企画の第2弾としてファン投票によるリクエストライブ形式で行われ、8月3日の東京・ヒューリックホール東京公演を経て、ファイナルはヤイコ(=矢井田 瞳)の地元大阪へ。開演時間ジャストに西川 進(Gt)、鶴谷 崇(Key)、FIRE(Ba)、水野 雅昭(Dr)、田辺 晋一(Per)ら気心知れたバンドメンバーが登場。西川のひずんだギターを合図にネオンイエローの鮮やかな衣装を身にまとったヤイコがさっそうと現れ、満員の観客が大きな拍手で出迎える。1曲目の「Buzzstyle」からいきなり総立ちの絶景に思わず顔がほころんだヤイコは、水野の軽快なドラミングから突入した「アンダンテ」でもエネルギッシュにステージを横断。「今日はめちゃめちゃ楽しみにしてきました! これからスペシャルで最高な時間をみんなと一緒に作れたら」とあいさつ後も、田辺のパーカッションが映えるエキゾチックな「I'm here saying nothing」、FIREの幽玄かつタイトなビートでも魅せた「贅沢な世界」と駆け抜けていく。


「ただいま~! 今日は皆さんから事前にリクエストを募った参加型ライブです。25年間の集大成のようなライブをお届けしようと思っています!」と、アコースティックギターを手に気持ち良さそうに歌い上げた「Ring my bell」に続いて、「2000年5月、この曲でインディーズデビューして、私の音楽人生の全てが始まりました」と「How?」を。25年の旅路で巡り会った多くのファンを前に、原点の地で改めてキャリアの出発点となった楽曲が歌われた光景は何とも感慨深い。その心地良い余韻のまま、「i can fly」が壮大なスケールでホールに広がっていく。

「皆さんがリクエストしてくれた曲はありました? バラードが上位に入っていたのが意外で驚くと同時に、いろんなタイプの曲を大切に聴いてくれているんだなと思って、とってもうれしかったです。次の曲は大学時代からの友達だった当時のマネージャーが、きっと勇気も責任も必要だっただろうに、「この曲は絶対にみんなの思い出に重なるから……!」と推してくれて、シングルになった思い出があります」

矢井田 瞳の一時代を支えたスタッフの熱いエピソードも飛び出した「初恋」は、彼女の音楽に導かれたさまざまな人生の機微を連想させる。鶴谷の美しいピアノとヤイコのはかない歌声がいざなった「Over The Distance」では一気に神聖な空気に包まれ、「HIKA:Re」でもブルーの光の下で聴きほれてしまう優しい時間が続いていく。

「25年も音楽を続けられると思わなかったし、何度も立ち止まりそうになったけど、そのたびに皆さんの声で立ち上がって前に進むことができました。長く一つのことを続けるのは大変なこともあるけど、愛情と呪いが混在する背中合わせの世の中をたくましく生き抜いていきたい。そんな願いを込めた曲を聴いてください」

8月20日(水)にリリースを控えるニューアルバム『DOORS』に収録される「アイノロイ」は、TVドラマ『ゆりあ先生の赤い糸』主題歌としても話題となったメッセージソング。その後も、「会いたい人」や「月のなみだ」のドラマチックな旋律×ズシリと重たいグルーヴで圧倒しつつ、ここで「いろんな曲をカバーしてきましたけど、今回のリクエストでも特に人気の高かった曲を」と、トレイシー・チャップマンの名曲に訳詞を付けた「fast car」を。極上のメランコリーに揺れながら、お次はダークでディープな「未完成のメロディ」へ。リクエストによって引き出されたセットリストには、ヒット曲のみならず矢井田 瞳の多彩な音楽遍歴や果敢なトライアルがにじみ出る。「MOON」ではバンドサウンドのダイナミズムを存分に感じさせ、シアトリカルな「Not Still Over」では、曲間で「ここにいる誰一人欠けても、こんなに豊かな音楽人生は過ごせなかった」と粋なメンバー紹介も。その熱量を背負ったワイルドな「馬と人参」でも、天井知らずのボルテージでとことん盛り上げる!

後半戦は、冒頭の荘厳なオルガンから瞬く間に見渡す限りの手が挙がった「B'coz I Love You」に、「最高やで大阪!」とヤイコも感激しきり。特大のシンガロングが発生した「Look Back Again」ではアウトロの壮絶なドラムソロでも沸かせ、そのまま「My Sweet Darlin'」へ。出し惜しみなしのキラーチューンの連発にオーディエンスも大興奮で、ヤイコも「めっちゃ楽しいよ、ありがとう!」と満面の笑み。ラストは、得票数の上位2曲をカウントダウン。生命力溢れるミドルナンバー「手と涙」に、「最後の曲になりました。私も「えー!」よ(笑)。この曲は、リリースした後はみんなが曲を育ててくれるという感覚を初めて私に教えてくれました」と、「Life’s like a love song」を。そこにいる全ての人が手を振り歌った幸福な景色を、ヤイコも、そして全国から集った人々も、決して忘れることはないだろう。

アンコールでは、「『DOORS』はサウンド面でもいろんな挑戦ができたし、みんなの日常の扉を少しでも開けられる一枚になってほしい。アンコールでは私の未来を感じて帰ってもらいたいな」と、アルバムのリード曲「嘘」や収録曲「Heaven」をいち早く披露。矢井田 瞳の過去・現在・未来を、全25曲2時間半に集約した記念碑的な一夜は、彼女をこれからも前進させる礎になったに違いない。

なお、今後の矢井田 瞳は、8月20日(水)に約3年ぶり13枚目のアルバム『DOORS』をリリース。さらには、この日のライブの模様が映像作品となることが本人の口から伝えられた。これからも続々とアニバーサリー企画を実施予定の矢井田 瞳に注目してほしい。

Text by 奥ボウイ昌史
Photo by スエヨシリョウタ

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