西宮『菓一條 栄久堂吉宗』で味わう、和菓子の技が光る“かき氷” 西宮市
猛暑が続く今夏、かき氷の中でも“別格”と評される一杯が西宮にあると聞き、取材に向かいました。目指すのは、地元で長く愛されてきた和菓子店『菓一條 栄久堂吉宗(かいちじょう えいきゅうどうよしむね)』。ここで出会えるのは、和菓子職人が粒あんを主役に仕立てた「黒糖金時かき氷」。氷の冷たさとあんこの奥深い味わいが溶け合い、夏の暑さを忘れさせてくれる特別な甘味です。
この一杯の主役は、氷の上にこんもりと盛られた大納言金時の粒あん。かき氷専用に炊き上げられ、豆の煮加減から甘みのバランスまで綿密に調整されています。
氷と合わせても甘さがぼやけず、かといって主張しすぎない絶妙な仕上がり。スプーンを入れた瞬間、そのやわらかさと艶やかさに職人の丁寧な仕事ぶりが感じられました。なお、好みに応じて、なめらかな口当たりのこしあんを選ぶこともできます。
ひと口含めば、粒はほろりとほどけ、豆の香りと黒糖のまろやかさがふわりと広がる。白玉のもちもち感と、きなこの香ばしさが加われば、まるで一皿の和菓子を食べているような満足感が訪れる。きなこは別添えで提供され、好みのタイミングで“追いきなこ”できるのも嬉しい♪
たっぷりのボリュームですが、氷の軽やかさで最後まで食べ進められます。そして、この一杯には湯気の立つ温かい緑茶が添えられるので、冷たいかき氷と熱いお茶を交互に味わうと、口の中がリセットされ、あんこの甘みと香りがいっそう際立ちます。猛暑の中で身体を涼ませながらも、ほっと和む時間が流れていきます。
この粒あんを作っているのが、「菓一條」二代目の店主。かき氷だけでなく、トースト用、ぜんざい用、みつまめ用など、用途に合わせて10種類以上のあんを炊き分けています。使う豆や砂糖、炊き方はすべて異なり、それぞれのお菓子メニューに最も合う仕上がりを追求しています。
抹茶をベースにした風味豊かなかき氷や、国産いちごを贅沢に使った季節限定のかき氷も大人気です。いちごシロップは、普通のシロップの枠を超えて、大量のいちごを砂糖に漬け込み、時間をかけてこして、果汁だけを抽出して作られています。口に含めば、果実そのものの香りと甘みが広がる、贅沢な味わいに間違いない。シロップがなくなったら終了なので、次はこれを食べにいきたい~。
あんの魅力は店内だけにとどまらず、持ち帰り用として販売している『パンに合う粒あん』は、北海道産大納言小豆100%を使用しており、名古屋出身のスタッフからの発案で生まれ、パンに合う甘さと硬さを計算して炊き上げた瓶詰のあんです。
有塩バターを塗ったトーストにのせれば、甘みと塩気が引き立て合い、贅沢な朝のひとときを演出してくれますよ。
氷菓という枠を超え、和菓子職人の技とこだわりが詰まった「黒糖金時かき氷」。西宮で味わえるこの贅沢な一杯は、暑い季節にこそ足を運びたくなる特別な和菓子のかき氷です。
場所
菓一條 栄久堂吉宗
(西宮市羽衣町7-26 ミズキアルペジオ夙川 1F)
営業時間
9:00~18:00
定休日
木曜日