「アメリカの傘が破れかけている」日本の安全保障のリスクは高まる?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、12月12日の放送にキヤノングローバル戦略研究所主任研究員・峯村健司が出演。10年後に向けて世界の外交、安全保障がどうなっていくか、アジアを中心に語った。
長野智子「(10年後の世界の外交、安全保障について)気になるのはやはり安全保障上のリスク。日本が高まるのかどうか、というところです」
峯村健司「残念ながら私、どちらかというと悲観論者なんです(笑)。10年後のリスクは高まるかな、と見ざるを得ない。逆にいうと日本はこれまでがちょっと異常だったんです」
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「はい」
峯村「本当に平和で安定が続いていたと。冷戦のときも戦争しているように見えましたけど、結果として米ソの対立の中でなんとなくうまく生き残ってきた、というところがある。ソ連が崩壊したのもアメリカがある意味、覇権を維持しているなかの傘の下でぬくぬくとこられた。ところが今回、トランプさんもそうで『アメリカファーストでいくんだ』『ほかの国は知らない、同盟国も例外ない』というところで、傘が破れかけている」
長野「はい」
峯村「10年後にはもっと傘が破れているかもしれない。守ってくれる人がいない、厳しい状況に追い込まれるかな、というところはありますね」
長野「どことのリスクが高い、というのはありますか?」
峯村「やはり中国でしょうね。いま中国は社会主義現代化計画、というのをしていまして。2035年までにすばらしい国をつくるんだ、と習近平氏が言っている。そのとおりにいったらアメリカも余裕で抜いてナンバーワンの国になると。日本は10位以下に落ちている、となると中国の影響下に入らないといけなくなるかな、と思っていましたけど」
長野「はい」
峯村「最近、中国の経済がちょっとスローダウンしていますので、アメリカにまた2035の3、4年後に再逆転されるのでは、という話もある。どっちになるか微妙ですが、いずれも中国が日本の命運を握っていることは変わらないかなと」
長野「10年後というと習近平国家主席が……」
峯村「82歳になります。じつは毛沢東が亡くなった年齢なんですね。2035年って突然、習近平氏が言い出した。これまで『目標は2049年』と言っていたんです。中国ができて100年なので、これはわかりやすい。なぜ2035年かと中国共産党の幹部に聞いたら『簡単だ。毛沢東が亡くなった歳だから、そのときまでに習近平氏は自分の国をつくる』と。『それまで続けるつもり?』と聞いたら『もちろんそうだ』という答えが返ってきました」
長野「10年後、その可能性がすごく高いと。その10年で習近平国家主席は何をする、ということで。日本人として心配になるのは台湾」
峯村「台湾に関していうと、少なくとも自分の任期のうちになんとかする、と言っています。2035までやるつもりだとすると、そのときまでには併合したうえで統治する、というところまで行う、という可能性はあるのかなと」
長野「この辺のリアリズムってアメリカ側とかはどう考えているんですか?」
峯村「アメリカは軍やCIAの長官、バーンズさんも含めて2027年までには台湾に有事が起こるのでは、というのがほぼ統一見解になっています。2027年は習近平氏の3期目の任期が終わる、それまでに起こる、というのはほぼ一致しています」