E-1選手権で清水エスパルスから代表入りする有力候補を探る
【サッカージャーナリスト・河治良幸】
清水エスパルスは3年ぶりとなるJ1で19試合を戦って勝ち点25を獲得。9位とまずまずの位置に付けている。5月25日にはアイスタで、リーグ2連覇中のヴィッセル神戸に3−2と競り勝った。チームの成績とともに気になるのが、7月に韓国で行われるE-1選手権で、誰が日本代表に選ばれるかだ。
すでに来年の北中米W杯に出場を決めている日本は6月に最終予選の残り2試合を戦う。デンマークのブレンビーから、ドイツ1部のフライブルクに加入が決まった元清水の鈴木唯人(フライブルク)が1年ぶりにメンバー入りしたが、清水からの招集は無かった。しかし、国内組がベースになると見られるE-1選手権で”森保ジャパン”に名を連ねる可能性がある選手は多くいる。
本命は清水のエース北川航也だ。ここまで日本人トップとなる8得点を記録するなど、清水の攻撃を牽引。J1で13得点を記録した2018年に初招集された北川は2019年のアジアカップにも選ばれたが、今回招集されれば5年半ぶりの代表となるが、当時に比べてメンタル面の成長に疑いの余地はない。現在は清水でキャプテンも担う北川が、代表でのリベンジを成し遂げるか。
高木践も実力、ここまでのパフォーマンスからE-1選手権で代表に初招集される可能性は十分にある。173cmというサイズは国際基準のセンターバックとして不安に見られやすいが、抜群の身体能力でカバーできる。現在”森保ジャパン”のベースとなっている3バックなら、高木の前向きな守備を生かしやすいだろう。4バックの時は左右のサイドバックをこなせることもアドバンテージになる。神戸戦で2得点を記録したように、セットプレーの決定力も魅力だ。
ボランチの宇野禅斗も、元JFA技術委員長である反町康治GMが高く評価しているだけあり、ここからの厚役次第で、E-1選手権のボランチ争いに食い込む期待はある。ボールを奪う能力が高く、”ボックス・トゥ・ボックス”と呼ばれる上下動も代表級のポテンシャルがある。キックの正確性も備えるだけに、第2節の新潟戦で松崎快のミドル弾をアシストしたように、ゴールに直結するような仕事が増えてくれば、森保一監督の目にも留まりやすい。
その松崎もここまで4得点3アシストと、サイドタッカーとして目に見える結果を残しており、攻撃面で存在感あるパフォーマンスを続けている。水戸時代の恩師でもある秋葉忠宏監督が、エースの北川、大黒柱の乾貴士と並ぶ前線のファーストセットして認めるほど。前所属の浦和レッズ時代にやや欠けていた自信が、清水では強く感じられる。左足キッカーとしても優秀で、久保建英(レアル・ソシエダ)など、欧州組の主力が参加しないと見られるE-1選手権で、重要なキッカーになっていける可能性はある。
ここまで候補にあげてきた北川、高木、宇野のポジション以上に、松崎が得意とする2列目にはJリーグにも多くの有力候補が潜めいていることも確かだ。大卒ルーキーの中村草太(サンフレッチェ広島)やACLエリートでブレイクした伊藤達哉(川崎フロンターレ)、ここまで5得点を記録している俊足の山下諒也(ガンバ大阪)、”古都のネイマール”の異名を持つ奥川雅也(京都サンガ)など、シャドーの候補は多いが、J1で見せているパフォーマンスは松崎も引けを取らない。さらに活躍を続けていけば楽しみだ。
本来の実力を考えれば山原怜音も有力だが、第5節のガンバ大阪戦で前半15分に負傷交代、リーグ戦6試合の欠場を強いられた。その後も、終盤の投入が続いていたが、鹿島戦、神戸戦とここ2試合でフル出場している。右利きだが左右どちらでも、長短の正確なキックを蹴ることができ、3バックであれば、主に左のウイングバックとして攻守両面で躍動的な働きが期待できる。ここ最近はリーダーシップの面でも成長を感じ取れるが、復帰後のアピール時間の短さが、選考にどう影響するか。
リーグ戦は6月1日のセレッソ大阪戦で一旦区切りとなり、代表ウィークの中断期間を挟んで6月15日のガンバ大阪戦を迎えるが、11日には天皇杯の松本山雅戦もある。6月終わりと見られるE-1選手権のメンバー発表まで、清水の勝利を追い求めながら、いかに個人としてもアピールしていけるか。選手たちのパフォーマンスに期待していきたい。