念願かない絵本出版 4歳の女の子の物語 名張の小西さん
三重県名張市桔梗が丘西のパート従業員、小西理恵子さんが、キュンとする淡いタッチの絵本「こはるちゃんのしゃぼん玉」を出版した。
ずっと温めていた物語を文章にまとめ、東京の出版社「文芸社」が主催する絵本大賞に投稿したのが5年前。大賞には選ばれなかったが、担当者から自費出版の誘いがあった。ただ、当時は「とんでもない」と断ったという。
2年前、同社から再び出版の打診があった。コロナ禍を経験して心境に変化があったこともあり、「国立図書館で永久に保管されると言うし、自分の生きた証になるかも」と家族に相談し、出版を決めた。
イラストレーターの石黒しろうさんには作品のイメージを細かく伝え、A4サイズ15ページの絵本が完成。昨年3月、完成品が手元に届いた時は「グッとくるものがあった」という。
絵本の内容は、実話に基づくファンタジー。昭和のレトロ感を背景に、4歳の女の子「こはるちゃん」が、大好きなお母さんの誕生日プレゼントを考える物語で、「娘から母へ、母から娘へ。お互いの愛情を強く感じられる作品」と高評価を得た。小西さんの同年代からは共感を得、若い世代からは新鮮に映っているそうだ。
全国に流通し、「どこかで知らない誰かが読んでくれているんだ、と想像すると、感極まるものがある」と語る小西さんは「絵本作家になりたかったわけではない。自分にとって亡き母との大切な思い出を何か形にして残したかった」という。
昨夏、孫が絵本を読んで宿題の読書感想文を書いたそうで、「それもまたうれしかった」とほほ笑む。「多くの人に届けられたら」と願う小西さんの絵本は、アマゾンと楽天ブックスで流通しており、書店でも注文すれば購入できる。販売価格は1冊1210円(税込み)。