自民党新総裁・石破茂氏の経済対策とは?経済評論家・佐藤治彦氏が解説
9月27日(金)、ニュースキャスター・長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・15時30分~17時)が放送。午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーで、経済評論家・佐藤治彦氏に自民党新総裁・石破茂氏の経済対策について話を伺った。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「いま日経新聞の速報では、3円を超える円高・ドル安が進んだということで、石破氏は円安に伴う物価上昇を問題視する姿勢を示していたこともあり、日銀の金融正常化路線が維持されるとの見方があります」
佐藤治彦「そこなんですよ。日銀の金融正常化路線は植田総裁になってから、ゆっくりですけれどもしてくれているんですよ。これは安倍政権になってからずっとできなかったこと。つまり黒田前総裁とアベノミクスっていうのは一体化していました。アベノミクスを具現化するために、金融政策で金融緩和をして株価を上げてっていうのが基本的な路線でしたから。岸田さんになってからは『でもそれは異様だよね、もう少しまともに普通の経済に戻そうよ』って言って。でも岸田さんはべつに表立って『アベノミクスはダメだ!』なんて言いませんよ?党内の基盤とか色々ありますから。ですけれど、私などの経済評論家から見ていると、やっぱりじわりと確実に一歩一歩、安倍的な経済政策から変わってきたなという部分があったわけです。で、いま石破さんが言われたことは『岸田さんが始められたこの経済路線を引き継ぎます』と。ハッキリ言いました」
長野智子「言ってた」
佐藤「他の候補者の中で、そんなこと言った方はいらっしゃいませんでした。で、それは一体どういうことなのかというと、まず一つ目は石破さんというと地方創生ですよ。石破さんの経済対策で第一にくるのが地方創生。日本の地方がダメであったらば、たとえば農業がダメ、漁業がダメ、林業がダメだったらば日本は一体どうなってしまうのだと。これは経済対策でもあるんですけど、実はそれ以外の災害対策だったり少子化対策だったり全部に繋がっていくんですけど、地方創生をしようと。そのためにお金を使おう、っていうのがまず石破さんの一つの大きなポイントです。そういう点で言うと、これから地方に対して非常に注目されていくっていうふうに思います。二つ目に挙げるべきことは、金融に対する税制ですよね。株式で非常に利益を得た方には課税をしようじゃないか、っていうような話をされた。また、石破さんがこの選挙中の討論会などで言われたのは、税制に関して『法人税は引き上げる余地がある、税負担をする能力がある法人はある、そういうところにはもう少し負担をお願いしたい』と。何が言いたいかというと、アベノミクス的なものっていうのは、いま流行りのMMTにも通じる『とにかく国債を発行して、お金をどんどん使っていこうよ』っていうMMT的なものと、一方で、そんなことをしていると、日本経済の仕組みそのものに対して、国際的にNOを突き詰められてしまって、わかりやすく言うと財政破綻国家のようになってしまう可能性もあるから、一方的に財政を拡大していくのではなくて、やっぱりある程度のバランスがとれた、ちゃんとした税負担、財源もきちんと考えていこう、っていうのが石破さんなんですね」
長野「はい」
佐藤「で、その時に出てきている石破さんの考え方が『法人税は引き上げる余地がある、それから株式で非常に利益を上げた方には、もう少し負担してもらったほうがいいんじゃないか』って。これ実は、いま問題になっていることがあるんですよ。1億円とか2億円とか収入のある方って、いま実は税負担って、賢くやってる人は2割だけなんです。それはなぜかというと、お給料という形で貰わないで、証券、たとえば株っていう形で貰う、配当金っていう形で貰う、そうすると税負担は20%で済んじゃうんです。ですから、これって不公平だよねと。で、石破さんが言われたのは『ズル賢い人が得する、そういったものは穴を埋めなきゃいけないね』っていう意味合いの発言なんですよ。それはこれから日本の経済を考えていくとき、とっても大切だなって思います」