【Pick Up】100年以上ウイスキー業界を支える蒸留機器メーカー「フォーサイス」
スコッチウイスキー文化の中心地・スペイサイドにあるForsyths社(フォーサイス社)。100年以上にわたりウイスキー業界を支えてきた蒸留機器メーカーです。通常は非公開のフォーサイス社工場ですが、期間限定で数日間だけ一般公開され、ポットスチル製造の工程を見学できます。チャード・フォーサイス会長直々に工場を案内していただいたDear WHISKY。今回は、その様子をダイジェストでお届けします!
Forsyths社(フォーサイス社)について
1890年にアレクサンダー・フォーサイスさんによって設立され、4世代にわたる家族経営を行ってきました。同社の幅広いサービスと製品は、単なる設備の製造に留まらず、設計から建設まで蒸溜所開設の全てを網羅しています。
現在会長であるリチャードさんは、12歳から父親の工場を手伝い始め、16歳で学校を卒業後にフォーサイス社へ正式入社。60年近くフォーサイス社で働いています。
ポットスチル製造工程
「ポットスチル」とは、日本語で「単式蒸留器」のことで、もろみを蒸留するための銅釜のことです。
フォーサイス社では現在、5,000Lのポットスチルから、最大50,000Lのポットスチルまで、大きさにより4〜12人掛かりで8〜20週間もの時間をかけて製造を行っています。図面制作、原材料の準備から完成までは約10の工程を含み、あらゆるプロセスを職人の手作業で行い、ミリ単位での調整が可能になっているといいます。
仕入れ
材料には柔軟性の高い銅を使用し、銅の仕入れは大部分がドイツの工場からです。また、使用する銅はすべて純度99.9%の銅であるため、ポットスチルとして使用後は、ほとんどがリサイクルされており、環境にも配慮した製造となっています。
成形
プレート状で仕入れた銅は、図面通り切り出され、叩いて成形していきます。ハンマリング用の機械はあるものの、ハンマーで叩く作業の多くは依然として手作業で行われています。その後、部品同士を溶接し、必要によってはもう一度ハンマーで叩き美しい形に仕上げていきます。
出荷
出荷前には洗浄を行い、洗浄後に特殊な薬剤を使用して酸化を防ぎ、本来の色を維持できるような状態にしてから出荷します。
ポットスチルを製造するだけで終わることはなく、メンテナンスプログラムも行っているフォーサイス社。その一環として、毎年すべての顧客を訪問し、ポットスチルの厚さをテストしています。元の厚さの半分になったら、交換の検討が必要なタイミングです。