座間市佐藤市長 「困難を突破する」 年頭会見で抱負語る
座間市の佐藤弥斗市長が9日、年頭の記者会見を開き、2025年の抱負として『突破』の二文字を披露した。2期目最初で自身としては5度目となる予算編成の状況も説明し、「就任以来最も厳しい予算編成」と現状を語った。
過去に『共創』、『邁進』、『共育』としたためた書初めの二文字に、今年は『突破』を選んだ。「20枚以上書いた」という書を掲げた佐藤市長は、「困難を突破して変革をとげて成長していく」と、思いを語った。25年度予算編成の財源不足や待機児童の解消、公共施設の大規模改修や再編、中学校給食の全員喫食に向けた調整などを「困難」にあげた。
査定が大詰めを迎えている予算編成では、現時点で15億7千万円の財源不足が生じており、1月7日に市長を本部長とする健全財政戦略本部を設置。副市長以下の部局長に既存事業の廃止も含めたスクラップ・アンド・ビルドやデジタル化による経費削減のほか、特定財源の確保なども指示した。同本部の設置は6年ぶりで、佐藤市政では初。財政担当者は「人件費や扶助費、建設費の増加で収支不足が膨らんでいる」とした。
こうしたなか4月からの新年度には、子育て支援では産後ケア事業の拡充(宿泊含む拠点増)や、保育では小規模保育施設の新設(増設等含む)、教育では(仮称)学校再編計画の策定(25年度から2年がかり)、地球温暖化対策として再生可能エネルギーの導入促進、公共資産の管理では市保有施設を良質な状態で次世代へ引き継ぐ「ファシリティマネジメント」などに取り組むことを明らかにした。
いずれも既存重点事業の拡充だが、佐藤市長は「困難を乗り越えてさらに進化させるので市民の皆様の理解と協力をお願いしたい」と話した。25年度当初予算案は2月17日に発表する。
勝負の1年に
佐藤市長は昨秋の市長選で、自民系が推す元市議会議長をダブルスコアを超える大差で退け再選を果たした。
議会対応では引き続き不安要素を抱えるが、昨年12月には元市幹部の北川秀幸氏(65)を新たな副市長に起用するなど、2期目に向けて行政運営の基盤を固めた。
迎えた1月、これまでの年頭会見で佐藤市長は、行政運営の基本姿勢を書初めの文字に表現してきたが、今年の目標に選んだ文字は『突破』。
堂々と見える筆致で、止めや払いを強調する二文字からは、3万票超の得票で市民の負託を得た自信のようなものが発露していた。
一方で、2期目の市政運営では県内でも高水準といわれる職員の人件費や扶助費の増加、公共施設の老朽化対策、都市計画道路の整備など、行財政運営を取り巻く環境には複数の大きな課題を抱えている。
1期目には「結局は何もできていない」との厳しい評価もあった。こうしたなか、自ら標榜する「日本一元気で楽しいまち」を市民にどう実感してもらえるか。今年はそんなことも問われる1年になりそうだ。