道路に並ぶ警告看板が「合戦の幟旗に見えてくる」と話題 なぜ大量?理由は道路の〝カタチ〟にあった
今にも法螺貝の音が聞こえてきそうーーそんな道路が、X上で注目されている。
「ここまで多いと合戦の幟旗に見えてくる」
2025年3月30日、Xユーザーのなげこみ(@ngkm_wtl5)さんがそんな呟きと共に投稿したのは、山間の道路の風景。
道路の分岐点付近の一帯、その両端には、赤地に白い文字が書かれた細長い看板が、たくさん設置されている。それはもう、たくさん。
頑張ってチマチマ数えてみたところ、片側に16個はある。それがズラズラと並ぶ様子は確かに戦国時代を彷彿とさせるような......。
その大量の〝幟〟に書かれているのは「×逆走×」。何故、こんな光景が生まれてしまったのだろう?
なんだこの道路...!?
4月3日、Jタウンネット記者の取材に応じた投稿者・なげこみさんによると、大量の看板を見つけたのは島根県太田市の山陰道大田朝山IC付近。
写真は、3月30日の午後12時半ごろ、近くの歩道からズームして撮影したという。
なぜここまで大量の注意喚起看板が? この道路では、逆走が頻発しているということだろうか。
8日、国土交通省・松江国道事務所にも取材したところ、職員が応じた。
「×逆走×」の看板たちは2018年、大田朝山ICのランプ部(坂道部分)に設置されたものだという。
この年の3月、大田朝山ICには日本初の「ツインラウンドアバウト」が導入された。「ラウンドアバウト」とは環状交差点のこと。道が輪っかの形になっていて、時計回りに通行する交差点だ。ツインラウンドアバウトは、文字通りそれが〝ツイン〟。二つの環状交差点が連結されている。
導入前に期待されていた効果として「重大事故の減少」「逆走防止」などがあったのだが、残念ながら6月4日には、逆走事故が発生してしまった。
同職員はラウンドアバウトという仕組みについて、「構造的に速度を落として侵入することになるので事故が起こりにくい」、「通常の環状交差点と比べてドライバーが自分の進行方向を把握しやすい」、「信号が無い状態でも交通制御ができるため災害時などに重宝する」、といった特徴がある便利な交差点だと説明する。
「ただ、国内ではまだ設置個所が少なく、そもそも島根県内には高齢のドライバーも比較的多いこともあって、信号のないオフランプの交差点に不慣れな方が逆走してしまう懸念はありました」(同職員)
そこで、松江国道事務所でその対策についての検討委員会を設置。有識者の意見も参考にし、表記内容・設置区間・設置間隔などを決定した末に「目立つものを」との考えで設置されたのが、「×逆走×」の看板たちだった。
様々なメリットがある画期的な交差点である一方、まだまだ不慣れなドライバーによる事故が起こる可能性もある。その対策としての、インパクトのある注意喚起看板だったというわけだ。
遠目に見たら、近くに戦場でもあるのかと妄想してしまいそうなほど目立つ注意喚起看板たちに、X上では3万3000件以上のいいね(4日昼時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「この区域に入ると何処からとも無く法螺貝の音が」 「関ヶ原に立てたら逆走軍の本陣跡なりそう!笑」 「道路分け目の......」 「ゲシュタルト崩壊で文字として認識できない」