90年にわたる美術を9つの部屋でたどる、「開館30周年記念 MOTコレクション 9つのプロフィール 1935→2025」が7月21日まで『東京都現代美術館』で開催中
「開館30周年記念 MOTコレクション 9つのプロフィール 1935→2025」が2025年7月21日(月・祝)まで、東京都江東区の『東京都現代美術館』で開催されている。1935年を起点とし、戦前・戦中期の所蔵品から戦後美術へのつながりとともに、2025年までのコレクションを通して紹介する。TOP画像=鶴岡政男《リズム》1935 (1954)。
開館30年を経てさらに充実した所蔵作品を多角的に紹介
2025年で開館30周年を迎えた『東京都現代美術館』。『東京都美術館』から引き継いだ作品を含む約3500点で開館した常設展示は、コレクションの中から第二次世界大戦後の日本の前衛美術を始点に、国際的な視野から「現代美術の流れをわかりやすく示す」ことに注力してきた。
その後、作品の収蔵を続けることで新たな視点が加わり、2005年以降は「MOTコレクション」展として個々の作家に焦点をあてたり、横断的なテーマでメディアや制作年代の異なる作品を対比。多角的な切り口を設けて所蔵作品を紹介している。
広報担当者は「所蔵作品は現在約6000点になります。常に更新されるコレクションは、どこに焦点を当てるかによって、さまざまなプロフィールが都度生まれていきます。90年にわたる美術を10年ごとに区切った9つの部屋でめぐり、過去から現在へとつながるわたしたちの時代の美術について、改めて考える契機となる展覧会です」と見どころを語る。
全9室による90年間の現代美術の流れを体感
1935年から10年ごとに区切られた9つの各部屋では、その10年間に制作された作品がある視点に拠って選択され、展示されている。そうすることで、その時代の美術の様相のみならず、『東京都現代美術館』のコレクションの特徴を浮かび上がらせるように試みる。美術動向を満遍なく時代順に列挙するのではなく、作品から導き出された複数の多角的な視点で構成された内容が、観る者に新しい視点を与えてくれるはずだ。
また、開館当初は約3500点だった所蔵作品数は、現在では約6000点になっている。30年間の収集活動で充実してきた、戦前・戦中期の作品やコレクションを代表する作家——鶴岡政男、菊畑茂久馬、高松次郎、草間彌生、辰野登恵子ほか——の作品が展示されるのも大きな見どころだ。
開催概要
「開館30周年記念 MOTコレクション 9つのプロフィール 1935→2025」
開催期間:2025年4月29日(火・祝)~7月21日(月・祝)
開催時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし5月5日・7月21日は開館。月が祝・休の場合は開館、翌休)、5月7日(水)
会場:東京都現代美術館 コレクション展示室(東京都江東区三好4-1-1)
アクセス:地下鉄半蔵門線清澄白河駅から徒歩9分・地下鉄大江戸線清澄白河駅から徒歩13分
入場料:一般500円、大学生400円、高校生・65歳以上250円
※中学生以下無料。
【問い合わせ先】
東京都現代美術館☏03-5245-4111(代表)
公式HP https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot-collection-250429/
取材・文=前田真紀 画像提供=東京都現代美術館
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。