レオナルド×ミケランジェロ展
トリノ王立図書館やカーサ・ブオナローティの所蔵品を中心とした本展。なんと会場に入るといきなり、最大の見ものである2点が登場します。 ミケランジェロの素描の中で特に重要とされる《〈レダと白鳥》〉の頭部のための習作》。モデルは男性ですが、左下の素描はまつ毛が長く女性らしい顔つきです。 対するレオナルドの《少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作》は、著名な美術史家のバーナード・ベレンソンが「世界一美しい素描」と評した作品。肩越しに振り返る表情が実に魅力的です。
展覧会は8章構成、1章は「顔貌」です。レオナルドは目や鼻の比率などを正確に計算し、真正面を描いた素描もありますが、ミケランジェロは斜めからの視点が多く、動的な印象を受けます。 2章は「絵画と彫刻のパラゴーネ(イタリア語で「比較」)」。絵画の優位性を説いたレオナルドに対し、ミケランジェロは彫刻家の自負を持ちながらも「(絵画と争うのではなく)仲直りをして大げさな議論は止めにしたい」と主張しました。 3章は「人体表現」。骨格、関節、筋肉といった人体の構造について、両者ともに実際の解剖を通して習熟していました。 4章は「馬と建築」。馬への関心が高かったレオナルドは、脚などを繰り返し描写。ミケランジェロも僅かですが、馬の素描があります。逆に建築は、レオナルドで残っているものはありませんが、ミケランジェロは重要な建築物を数多く手がけています。
5章は「レダと白鳥」。追随者によって伝わるふたつの「レダと白鳥」(オリジナル絵画はともに失われました)。ミケランジェロは横たわるレダ、レオナルドは立ち姿のレダです。 6章は「手稿」。膨大な手稿を残したレオナルド。天文学、言語学、解剖学などジャンルも極めて多彩です。《大鎌を装備した戦車の二つの案》は、敵兵をバラバラに切り裂く武器の提案です。 7章は「書簡と詩歌」。レオナルドの手稿に私生活の記述はありませんが、ミケランジェロの書簡には個人的な想いも綴られています。 8章は「肖像」。レオナルドによる《月桂樹の冠をかぶった男性の横顔》は、特徴的な風貌から、特定の人物を描いた肖像とみなされています。
なお、開幕間際になってビッグニュースが入りました。ミケランジェロ・ブオナローティ(未完成品、17世紀の彫刻家の手で完成)《十字架を持つキリスト(ジュスティニアーニのキリスト)》が7月11日(火)から9月24日(日)まで出展される事となりました。 キリスト像だけで2010mmという大きさで、ミケランジェロの大理石彫刻でここまで大型の作品が来日するのは初めて。彫刻が来る前に来館する方にも、彫刻の展示室に再入場できるチケットが配布されます。 [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年6月16日 ]
レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ (おはなし名画シリーズ)
辻 茂 (著) 川滝 かおり (著) 西村 和子 (編集)
博雅堂出版
¥ 3145
■レオナルド×ミケランジェロ展 に関するツイート
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