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グラス片手に認知症知る スナックが交流の場?

タウンニュース

理学療法士が奏でるギターに合わせて熱唱する来客者たち

酒を飲みながら認知症の理解を深めるユニークなイベントが先月26日、藤沢駅南口の一角に店を構える「イノベーションスナックみらぼ」で行われた。その名も「オレンジスナック未楽歩」。認知症の有無に関わらず、「未来を楽しく歩きたい」を掲げた催しは、盛況のうちに幕を閉じた。

南藤沢に事業所を置く不動産業の(株)セットが2022年7月、レンタルオフィス1階部分に開設した同店。さまざまな職種の人材が「日替わりママ」として、来客者たちの話し相手になる。

その一人が、鵠沼海岸在住の原島隆行さん。コロナ禍をきっかけに、横浜市で福祉業界に携わってきた自身の経験を地域住民に広く知ってもらおうと、1年半ほど前からカウンターに立つ。

原島さんは、普段の仕事の中で違和感を覚えていた。外出促進や他人との会話を通じ、認知症の進行を遅らせるために設ける認知症カフェは、一般的に昼間に行われることが多く、足を運ぶ人の大半は女性。男性は少なく、カフェになじみのない層に参加してもらうことが課題だった。

そこで認知症の当事者や家族たちが情報交換や交流を深める場になればと、9月の「認知症月間」に合わせ、今回の企画を考案した。認知症啓発テーマカラーであるオレンジの風船やぬいぐるみを店内に装飾。そろいのジャケットを着た協力者が、客を出迎えた。

午後7時の開店と同時に、うわさを聞きつけた介護関係者や市職員、大学生らで満席に。原島さんによる認知症の座談会の後、理学療法士が弾くギターに合わせ、皆が懐かしい曲を歌った。来店した認知症地域支援推進員は「行政ができることは限られている。影響力のある新たな取り組み」と期待感をにじませた。

原島さんは「認知症支援の当たり前に一石を投じ、認知症の人が気軽に訪れる場にしたい」と今後も定期的に開催していきたい意向を示した。

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