2年目初舞台は『銀牙 -流れ星 銀-』、神戸セーラーボーイズ10名全員と振り返る成長、新メンバー髙山晴澄の加入への思い
2023年4月の結成から1年間、そのフレッシュさとひたむきさで観客や先輩たちをメロメロにしてきた、神戸セーラーボーイズ。今年3月にはAiiA 2.5 Theater Kobeで行われた神戸セーラーボーイズ SF(セミフィクション)『Boys×Voice 403』をもって塚木芭琉(はる)がグループを卒業し、新メンバーの髙山晴澄(はると)が加入した。新体制後初の舞台として8月2日(金)〜11日(日・祝)には同劇場にて、定期公演vol.2 舞台『銀牙 -流れ星 銀-』が上演される。同公演は2019年と2020年に舞台化した際のスタッフ、脚本・演出の丸尾丸⼀郎(劇団鹿殺し)、振付の辻本知彦、音楽の伊 真吾(OVERCOME MUSIC)らが再集結し、上田堪大と北代高士がゲスト出演するとあって、前作ファンからの注目も受けている(※辻本知彦の<辻>は1点しんにょうが正式表記)。これまで彼らの動向を追いかけてきたSPICEでは同公演を前に、初めてメンバー10人でのインタビューを敢行。2代目の神戸セーラーボーイズはどんな雰囲気なのか? そして髙山はどんなキャラなのか? 2年目の展望や抱負を自由に語ってもらった。仲の良さが感じられる、わちゃわちゃインタビューをどうぞ!
環境に慣れる1年から、能力を磨く1年に
ーーこの1年を振り返って、今思うことはありますか?
明石侑成(ゆうせい):一瞬だったな。
細見奏仁(かなと):青かった。
中川月碧(るきあ):「濃く短く」という感じが強かったです。等身大の僕たちを演じる、僕たちならではのSF(セミフィクション)公演もあって、SFのキャラクターとしても個人としても成長できたので、楽しかったです。
明石:去年1年間はゼロから始まって、新しいことが立て続けにある状態だったので、学びがすごく多かったですね。
田中幸真(ゆうま):1年を経てさらに仲が深まって、お互い信頼しています。任せられるところは任せ合いながら、協力できています。
津山晄士朗(こうしろう):前の1年は環境に慣れる期間だったと思うけど、全体的に雰囲気が明るくなりました。これからの1年は、どう自分たちの能力を上げていくかという時間になるんじゃないかなと思います。
ーー初代神戸セーラーボーイズは、年長組のチームブラウンと年少組のチームブルーが半分ずつの割合でした。塚木くんが卒業して、細見くんと津山くん、田中くんが高校生になり、7:3でチームブラウンが多くなりましたね。
田中:なんだか、不思議な感じがします。
中川:見守り隊のハルくんが卒業してしまったので、全員がボケてますね。
細見:最近リーダーもボケるようになりました。舞台上の存在感としても身長183cmが抜けてしまったので、雰囲気が変わってきました。
ーー今1番背が高いのは誰ですか?
明石:僕ですね。174cmです。
崎元リスト:僕は入ったばかりの時は154cmとかだったんですよ。今167cmです。
髙橋龍ノ介(りゅうのすけ):僕は今165cmくらいです。
崎元:りゅうちゃん(髙橋)は最初僕より身長低かったのに、もう抜かされそう。
細見:僕は抜かされました。
津山:僕は166cmなので、リストには抜かれちゃいました。
ーー公演を重ねるごとに各々の個性が際立ってきましたが、最近は奥村くんが良いキャラを出していますよね。
奥村頼斗(らいと):まあ、え?
全員:ハハハ(笑)。
細見:意識してないタイプやもんな。まじで面白い。
奥村:やりたい自分を出しつつあるんですけど、るきあとチームの状況を見ながら、最年長のしっかりした部分とはまた違う、大人の立ち位置にも少しずついけたらと思ってます。素を出しながら、ハルくんの代わりにもなれるように、環境に応じて臨機応変に動けたらいいなと。
津山:らいとくんには明るくいてほしい。
奥村:SFの時みたいなおちゃらけキャラになってる時は記憶があまりなくて。いい感じに変わってしまうので、後で「ああそうやったんや」って。
ーーもしかして天然ですか。
田中:ゆえとくんだけじゃなくて、らいとくんも天然です。
石原月斗(ゆえと):僕、天然なん?
奥村:ゆえとくんは天然。
石原:らいと、人のこと言える(笑)?
新メンバー・髙山晴澄は、礼儀正しくて面白い!?
ーーでは新メンバーの髙山くんにお話を伺っていこうと思います。まずは自己紹介をしてもらってもいいですか?
髙山:はい。ロイヤルヤングスター、髙山晴澄(はると)です。
全員:わ〜!(拍手)。
ーーロイヤルヤングスターの由来は?
髙山:なんか、降ってきました。
田中:英語ができるのもあると思います。
ーー好きな言葉が「All the best」だそうですね。
髙山:僕サッカーをやってて、2つのスクールに通ってたんです。そのうちの1つが英語でやっていたので、コーチが絶対試合前に「All the best」と言ってて、そこから好きになりました。
ーー中学3年生ということで、崎元くんと髙橋くんは髙山くんと同い年ですよね。
髙橋:稽古が始まって数日の時、まだはるとは全員に敬語だったんです。帰り道に「敬語外して」と言って、呼び方も「ハルティーヤとりゅうちゃんでいきましょう」と決めて。そこからずっと敬語なしで喋ってます。
ーーオーディションを受けたキッカケは?
髙山:マネージャーさんから「受けてみぃへん?」と勧められて、皆カッコ良いなと思って受けました。
崎元:僕たち、実はオーディションの時にちょっとすれ違ってるんですよね。去年の11月の定期公演vol.1『ロミオとジュリアス』『Water me! ~我らが水を求めて~』の時に、楽屋で僕とゆうせいくんが「サメシャーク!」と言いながらサメの真似をしていて、恥ずかしくなって楽屋を出た瞬間にはるとがその前をスーッと通っていって。「ええ、神戸セーラーボーイズのメンバー?」みたいな顔されてたよな。
明石:それがはるととの初対面やった。
ーー皆さんから見た髙山くんの印象は?
細見:最初はめっちゃ良い子やなと思ったんですよ。最年少やけど落ち着いてて、大人な印象。でもリストにいじられまくった結果、今ではもうすごい崩れてきてて(笑)。多分素が出てきてるので嬉しいんですけど、ほんとに面白いんですよ。ボケまくります。
ーー崎元くんがキャラを引き出すんですね。
崎元:そう。僕、らいとくんも覚醒させちゃったんで、前科持ち。
中川:今のところ全員リストに覚醒されています(笑)。
崎元:はるとは最初真面目な印象があって、僕とは性格的に真逆かなと思ってたけどそんなことなくて、自分の良さの引き出し方をわかってる。はるとに「素を出していってよ」と言ったら、「僕が素を出したら神戸セラボ崩れますよ」って自覚してて。
髙山:それは置いといてもらって(笑)。でもだいぶ皆と仲が深まってきてる気がします。
田中:最初に会ったのが2月のバレンタインライブで、サプライズで挨拶しに来てくれたんですけど、めっちゃ礼儀正しかったんです。僕は帰り道が一緒で、帰りの電車も喋ってくれて。すごく面白いけど根が礼儀正しいので、そういう面では安心できる。信頼してるメンバーです。
細見:最初は稽古もついていくので必死じゃないですか。でも積極的に皆に質問してくれて、俺らも信頼されてるねんなと感じられました。あと考え方が大人で、周りが見えてて先のことを考えられる。前にメンバー皆で出かけたとき、たまたまはるとの地元が近くて。わざわざ地元の美味しいお菓子を皆の分買ってきてくれたんです。尊敬です。
髙山:なかなか僕の地元で会えないですからね。
あたたかく迎え入れてくださって、安心したのと同時に嬉しかった(髙山)
ーー髙山くんの初舞台は、3月公演『Boys×Voice 403』で披露されたオリジナル楽曲「キズナ=ツナグ」でのサプライズ登場でした。初めてお客さんの前に出た時は、どんな気持ちでしたか?
髙山:めちゃくちゃ緊張してました。ファンの人に受け入れてもらえるかなという気持ちもあって。いざ舞台に立ってみたら、ほんまにあたたかく迎え入れてくださって、めっちゃ安心したのと同時に嬉しかったです。
細見:はると登場の演出がめっちゃカッコ良くて、皆で「羨ましい〜!」って言うてた。
髙橋:逆光の中の登場でね。
ーー緊張を解くためにやってることはありますか?
髙山:舞台に出る前に、るきあくんが「大丈夫やで」と声をかけてくれて。
中川:僕も緊張しいなので、気持ちがすごくわかるんです。多分お客様の目とかは気になるだろうなと思ってたので、「俺たちはウェルカムだよ」と伝えられるよう意識しました。生き生きパフォーマンスしてる方が絶対によく見えるし、笑顔がすごく素敵なので、存分に出してほしいなと。
細見:ガチガチやったのは覚えてるけど、ファンの方が上げてくださった「キズナ=ツナグ」の動画(この曲のみ撮影OKだった)を見て感動したもん。
田中:すぐ馴染んでたし、良い顔してました。
髙山:自分の中ではやっぱり、早く皆に1歩でも近づきたいという気持ちが1番強かったです。
ーー髙山くんを迎え入れる側で、皆さんが意識したことは?
中川:最初は結構心配やったよな。皆関西ノリで、ボケまくってガヤガヤしてるところにポンと入ったら怖いやろうなと思ったので、自分から声をかけたり、舞台ならではの決まり事や意識することを教えてあげたり。でもはるとからも僕たちに向かって来てくれたので、すぐに大丈夫だなと思いました。
細見:向上心の塊やと思う。
中川:はるとが入ってきた時点で、オリジナル曲が数曲あったんですけど、4月の『第51回神戸まつり』でカバー曲と合わせて披露するとなった時に、稽古期間の2週間で4曲一気に覚えて。稽古場でもずっと練習してて、休憩時間も振りの確認をして、わからなかったら誰かに聞いていました。真面目で努力家です。
髙山:全員優しく教えてくれてありがたかったです。
フレッシュな10人でひとつの新しいものを見せていきたい
ーー2年目に入って、最近の大きなイベントとしては6月8日(土)〜24日(月)にAiiA 2.5 Yell Cafeとのコラボで行われた『明石田店長の日常』でした。明石くんは期間中、カフェの店長代行としてメインで稼働されましたね。
明石:これまで自分はトークやMCの時、ずっと待ってる側の立ち位置にいて、あまり自分からトークを回す経験をしたことがなかったけど、カフェを通して少しだけMCの気持ちがわかりました。今後はもっと前に出ていこうと思います。
ーーそして8月には定期公演vol.2 舞台『銀牙 -流れ星 銀-』が上演されます。今回、主人公の銀を演じるのが津山くんです。
津山:メインの役が初めてなので、皆を全体的に引っ張っていけたらいいなと思ってます。
ーー『銀牙 -流れ星 銀-』は、犬たちが巨大な敵と戦う、高橋よしひろ先生原作の名作漫画ですね。
崎元:はるとくんは犬を飼っているということで、犬についての豆知識をどうぞ。散歩の時の歩き方。
髙山:犬って普通に歩くと思うやん。でもこう(足を交差させる)やねん。皆もこれ舞台で意識して。
ーー前回の定期公演vol.1でも、ぐんと表現の幅が広がったと思うので、楽しみですね。
中川:去年の定期公演は、僕たちの中でもターニングポイントになったと思っていて、役者としての幅が広がった公演でした。前回は一幕・二幕で出演メンバーが変わったんですけど、今回は10人で1つの舞台を作り上げるので、また新しい経験ができるんじゃないかなとワクワクしています。
石原:マジで初めての経験なので、違う僕たちを見せていけたらと。
ーー敵と戦うシーンでは、石原くんの得意なアクロバットも活かせそうですよね。
石原:めっちゃやりたいです。俺がいる以上、アクロバットの舞台にする!
崎元:うえ〜い!!
中川:原作や前作の舞台のファンの方がいらっしゃると思うんですけど、僕たちの『銀牙』も良いなと思ってもらえるようにしたいので、原作や前作の舞台をリスペクトしながら、僕たちならではの良さを出したり、僕たちにしかできない要素を入れてたりして、フレッシュな10人で新しいものを見せていきたいです。
2年目の神戸セーラーボーイズで叶えていきたいこと
ーー8月公演も迫ってきていますが、今後神戸セラボで叶えたいことはありますか?
髙山:僕自身、ダンスも歌も未経験なので、早く皆に1歩でも追いつけるように、この1年努力して頑張りたいと思います。あと皆とゴルフに行きたいです。YouTube企画で旅行にも行きたいな。
全員:行きたい!
細見:いつかゆうせいくんが車でドライブ企画を開いてくれるよ。
髙山:ありがとうございます!
明石:僕、運転免許を取りまして。一足先に大人の世界に足を踏み入れました。
石原:僕も18歳になったので、そろそろ取りに行こうと思ってます。
ーーどこに旅行に行きたいですか?
髙山:モルディブです。
明石:外国っすか!?
髙山:モルディブで運転してもらって。
明石:いきなり海外は怖いっすねー。
ーー初代の皆さんも、今年度の神戸セラボでの展望や「こうなりたい」という抱負を、それぞれお願いします。
田中:さっきこうちゃん(津山)も言ってたんですけど、この1年間で色んなスキルを磨いていきたいです。1年目は舞台の世界は初めてで、慣れないこともあったけど、2年目は色んなことに挑戦してレベルを上げたい。特に芝居のスキルを磨いていきたいです。
奥村:僕はもともとダンスや歌の経験がなかったんです。この1年、何年もダンスや歌をやってきた人たちと一緒に舞台に立って、刺激をもらうことで、自分のレベルが全然足りてないと実感しました。僕は将来、芝居だけじゃなくモデルや映像系の業界にも進みたいんですが、マルチな能力が絶対に必要だと思うし、「これが苦手」というものだけはなくせるように、1年頑張ろうと思います。
石原:スキルアップしていきたいし、色んな武器を持ってずっと挑戦していきたいです。抱負は、皆でもっと大きいところに行きたい。もちろんAiiA 2.5 Theater Kobeでやれてるのも嬉しいことなんですけど、皆こんなに個性があるので、まずはこの劇場を埋めてから、もっと上に行けるようなパフォーマンスができたらいいなと。去年『いろいろ ドルフェス2023』に出演させてもらって、個人としては今年ミュージカル『テニスの王子様』 4thシーズン Dream Live 2024~Memorial Match~に出演させていただいたんですけど、神戸セラボでも色々なイベントや舞台に呼ばれたり、大きな場所で活躍できるような実力をつけていきたいです。
細見:今の神戸セラボはけっこう歌もダンスも得意な人たちが引っ張ってるところがあって。チームで満遍なくできるんじゃなくて、例えば歌だけ、ダンスだけ、芝居だけとなった時にも通用するところまで、それぞれのレベルを持っていきたいです。全部中途半端で終わらせたくない。あと僕が1番長けてるといったら、ピアノや作曲になると思うんですけど、皆のことを1番知ってる僕だからこそ書ける曲で皆の良さを出して、また新たな顔を見せていきたいです。
津山:僕はお芝居が好きなのでずっと続けていきたいと思っています。今までは10人で舞台をやってきたけど、この1年は、1人1人が役者として、他の場所や舞台でも活躍できるくらいに成長したいです。
髙橋:僕もこうちゃんと似てて、皆がそれぞれ神戸セーラーボーイズを他の場所でも広めていけるようになりたいです。1人1人が成長して、他でも活躍して「この子神戸セーラーボーイズなんや」となって、この劇場を埋められるようにしたい。僕個人の抱負としては、多分今年中に声変わりが来ると思うので、そうなった時の歌やお芝居をどうするかを考えながら、頑張っていきたいです。
明石:今年の1年間で、また新しい自分を見せていきたいです。公演ごとに成長して、お客様に「またこれだけ成長してる」と楽しんでもらえるような役者になりたい。新しい1年を通して「やっぱり侑成がいたら安心するわ」という部分を、少しずつ出せていけたらいいなと思います。
崎元:僕は舞台に立つのはだんだん慣れてきましたが、パフォーマンス面ではまだまだだと思うので、この劇場の舞台に見合う人間になりたいです。最近は趣味でアコースティックギターも始めたので、それを特技にして、最終的に「ハーフギタリストミュージシャン・崎フランツ(SFの役名)です」と挨拶したいです。かなてぃ(細見)のピアノとのデュエットとかやりたいですよね。サブリーダーとしても、1年間で皆の素や良いところは引き出せたので、次は違う面を引き出したいです。僕はるきあくんがやっているグループをまとめる以外のところで貢献していけたらなと。1秒でも楽しく「神戸セラボでいれて良かった」という時間を作れるような人物になりたいと、サブリーダーは思っております。ここで名言作るわ。「1秒でも幸せに」パチッ(指パッチン)!
全員:(拍手)!
ーーではリーダー、最後よろしくお願いします。
中川:個人としては、役者としてスキルアップするのはもちろん、自分の存在価値を示せるような人間になりたいです。1年目はダンス、歌、芝居と自分のやりたいことができるワクワク感の中で活動してきて、リーダーという立場もあり、ハルくんたちに頼りながら皆で進んできました。ここからは僕を見てくださった方に「この人のこういうところが見てみたい」「この人と一緒に仕事したい」と思ってもらえるような、自分1人でも戦っていける役者になりたいです。チームとしては、この1年皆で経験したこともたくさんあるし、今2年目のメンバーでやり始めて、まだまだ見せられる皆の長所や個性があるので、舞台上で上手く掛け合わせていけるようにしたいですね。このメンバーだから起こせる化学反応を見せていきつつ、チームとしても評価されるようになりたいです。
取材・文=久保田瑛理 撮影=高村直希