<ワガママ許せる?許せない?>3歳イヤイヤ息子に「残さず食べろ」怒りスイッチ入る夫【まんが】
私はユイナ(32歳)。夫のケイト(35歳)と息子のリツ(3歳)と3人で暮らしています。私は昔から料理が好きでした。大学生で1人暮らしを始めたときも、アパートの狭いキッチンで毎日料理をしていたほどです。もともと母が料理好きだったので私も影響を受けたのでしょう。自分の子にもおいしい手料理をたくさん食べてほしいと思っていました。ところがリツは2歳を過ぎた頃から激しい好き嫌いをするようになり……。私は心底まいっています。
リツが好きそうな味付けを工夫して、栄養バランスだって考えて作っているのに……。私は悲しい気持ちになってしまいます。けれど私の悩みはリツのことだけじゃありません。リツが食べずに残そうとすると、それを見たケイトが怒鳴りだすのです。
ケイトは温厚な性格で、これまでは決して怒鳴ったりなんてしませんでした。なのにリツの好き嫌いに関してだけは何か別のスイッチが入ってしまうようなのです。リツを寝かしつけた後、私はテレビを見ているケイトに話しかけました。
ケイトが小さい頃は好き嫌いをするとひどく叱られていたそうです。私から見ると今の義母はさっぱりした印象の人で、誰かに怒るなんてことはありません。だからケイトが子どもの頃の話は私にはあまり想像できないのですが……。 料理することも食べることも好きな私にとって、無理やり食べさせようとしたり怒鳴ったりするやり方は理解できません。ケイトは私には「ごめん」と言いながらも、リツへの接し方をあらためるつもりがないようです。いったいどうするべきなのか、私は悩んでいます。
【夫の気持ち】幼い記憶「俺は苦しんだのに……」嫉妬と怒り
俺はケイト(35歳)。妻のユイナ(32歳)と息子のリツ(3歳)と3人で暮らしている。ユイナは穏やかな性格でとても料理上手だ。そんなところに俺は惹かれて結婚した。しかしリツは好き嫌いが激しい。俺からしてみれば、わがままを言っているとしか思えない。俺の母は料理が苦手で、残さず食べないとイラ立って怒鳴りつけてきた。自分の子どもを育てることになった今、自分の子どものころのことをどうしても思い出してしまう。
子どもの頃に叱られ続けた記憶が今も俺を苦しめている。気づくとリツに、俺は母と同じように怒鳴ってしまうのだ。叱られると、俺から逃げるようにユイナの後ろに隠れるリツ。そんな甘えるような仕草を見て、俺はいっそう腹立たしくなる。
リツへの腹立たしさには「俺は母親に甘えられなかったのに」という嫉妬も混ざっていた。自分の気持ちをコントロールできなければ、ユイナの心はどんどん離れていってしまう……。ある晩ついに、ユイナが「真剣な話がある」と切り出した。
自分でも気付いていた。俺は自分がされたことをリツに繰り返しているのだ、と。その対応が正しいものではないということも……。でもリツを見ているとどうしても自分の子どもの頃の姿を投影してしまう。ユイナのまっすぐなまなざしに、俺は思わずこんな言葉を口にしていた。「ユイナはどうしてリツのことを許せるんだ?」 リツの好き嫌いが始まるまでは、俺たちは幸せな家族だった。俺だって穏やかな家庭を築きたいと願っていたのに……。俺を苦しめた記憶は、ユイナやリツのことも苦しめてしまっていた。
【私の気持ち】感情的なしつけはNO!「頭では分かってる……」夫の反省
悩んだ私は少し前、同じ市内にある実家へリツを連れて遊びに行きました。リツの好き嫌いについて相談すると、母は温かく励ましてくれて……。
「あなたも子どもの頃は、よく分からない理由で食べたり食べなかったりしていたわよ? 元気なら大丈夫!」大らかな母の言葉に安心しました。それと同時に「ちゃんとケイトと話をしなくちゃ」と背中を押されたような気持ちになったのです。
「でもさ、あなたは本当にそうしてほしかったの?」私がそう問いかけると、ケイトは長く考え込んだのち、声を絞り出すように謝ってきたのです。その後、ケイトは自分の感情をコントロールする努力をしてくれるようになりました。
ある日、ずっとイヤがっていた野菜入りのハンバーグをパクっと食べたリツ。ここではしゃぎすぎてはよくない気がする……と喜びを隠しながらケイトの方を見ると、ケイトも驚いたような様子で目を合わせ、優しく笑ってくれました。リツもきっと成長にともなって食事を楽しんだり、嫌いなものを食べられるようになったりしていくのでしょう。 もちろん一生懸命作ったものを食べてくれないと、ぐったりしますしイラっとするときもあります。ただ私は親としてリツの成長を応援していきたいし、ケイトにも同じ気持ちを抱いていてほしいなと思います。