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至福の一杯に出会う、山口の愛されラーメン店 山口市「手打ち中華そば 侍」

山口さん

今回訪れたのは、山口市「道の駅 仁保の郷」のすぐそばにある「手打ち中華そば 侍」。

【写真はこちら】至極のチャーシュー麺

店主の並々ならぬ情熱とこだわりが詰まった一杯は、訪れる客を魅了し続けています。

揺るがない「コシ」へのこだわり

店主の宮部さんは腰に不安を抱えているそうですが…

提供される麺の「コシ」は全く揺るぎません。この店を代表するメニューこそ、そのこだわりを最も深く堪能できる「チャーシュー麺」です。

チャーシュー麺 1,150円(中華そば850円+トッピングチャーシュー300円)

まず目を引くのは、器を埋め尽くすように盛り付けられた自家製チャーシュー。その製造過程にも、手間を惜しまない職人の技が光ります。豚肩ロースのブロックに串を刺し、30分から1時間という時間をかけて、じっくりと炭火で焼き上げるのです。

「普通のフライパンで焼くのとは、味も食感も、そして切り分けたときの見た目の美しさも全く違う」と宮部さんが語るように、この炭火焼きの工程が、チャーシューの味わいを格段に高める秘訣。香ばしい焼き色がついた後、特製の醤油ダレでさらに2時間じっくりと煮込みます。

こうして完成したチャーシューは、特製ダレの旨味がしっかりと染み込みながらも、炭火の香ばしさを纏った、至極の逸品です。

魂が宿る自家製「手打ち麺」

「手打ちの自家製麺」の麺生地を伸ばすために使われるのは、一本の「竹」。竹藪で自ら選び抜いた、重さや太さが体にフィットする「相棒」である竹を使い、力を均等に伝えながら丁寧に生地を伸ばしていきます。この竹による手打ちの工程が、麺に独特のもちもち感と強い弾力を生み出すのです。

スープと良く絡むように、麺は細めに仕上げられますが、そのコシの強さは一般的な細麺の常識を覆します。口に運べば、小麦のほのかな甘みとともに、強いもちもち感と弾力が感じられます。これこそが、長年にわたって使い込まれた竹から生まれる、自家製麺の魅力と言えるでしょう。

山口の恵みを生かしたこだわりスープ

麺とチャーシューを支えるスープにも、細やかなこだわりがつまっています。出汁のベースとなるのは、地元山口県産の「長州どり」。鶏ガラのみを使い、2羽分の長州どりを6時間から8時間かけてじっくりと煮込み、これを一日寝かせます。

提供する直前には、さらに「かつお節」を加えて魚介の旨味と芳醇な香りをプラスします。直前に加えることで、かつおの香りが立ち、スープを啜った時にその風味がふくよかに広がるのが特徴。長州どりから取った鶏油(チーユ)を加え、醤油ベースのスープを注げば、鶏の甘みと旨味、醤油の香ばしさ、そして鰹のキレが見事に調和した、深みのある味わいの完成です。

手打ちの細麺がスープをしっかり持ち上げ、炭火焼チャーシューの香ばしさが加わることで、一杯全体の完成度が極限まで高められています。この贅沢な「チャーシュー麺」は、訪れたならば必ず味わうべき、まさに至極の体験でした。券売機にはありませんが、中華そばにチャーシュートッピングを追加することで、チャーシュー麺として堪能できます。

裏メニュー的な人気を誇る「わがままチャーハン」

そして、「手打ち中華そば 侍」を語る上で欠かせないのが「わがままチャーハン」です。

わがままチャーハン 500円 ※多忙時5,000円

忙しい時は5,000円になることもあるという、ユニークな一品ですが、提供できる時には500円という価格で提供されることがあります。このチャーハンを注文するには、券売機ではなく店主に直接声をかけてみるのがポイントです!

香味油に、たっぷりの卵とごはんを加え、強力な火力で素早く炒め上げられるチャーハンは、パラパラとした食感が特徴。具材には、ラーメンにも使われている自家製チャーシューも入っています。

そして、このチャーハンの旨味の決め手となっているのが、「油そば用のタレ」。麺類に使う様々なタレの中から、チャーハンに最も合うものとして選ばれたこの甘めの醤油ベースの油そばのタレが、炒め物に深いコクと香ばしさを加えます。

油そばを提供する店だからこそできる、タレとご飯の一体感。甘辛いタレの味付けがご飯にしっかり絡み、醤油の香ばしさと塩味、そして卵のマイルドさが絶妙なバランスを生み出しています。濃厚でありながら、次々と食が進みます。

地域に根ざし愛され続ける名店

「手打ち中華そば 侍」は、10年以上の長きにわたりこの地で営業を続けています。その根底にあるのは、「常に存在し続けるラーメン屋でありたい」という宮部さんの強い思い。そのこだわり抜いた一杯は、地元の人々にとって「昼飯はここで食べよう」と自然に思わせる日常の一部となっています。

★今回の記事は2025年10月7日放送、yab山口朝日放送『You!どきっ』のコーナーを記事化したものです。

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