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新年は「福を引き寄せる」氏神さまへ初詣!知っておきたい参拝のお作法

草の実堂

新年は「福を引き寄せる」氏神さまへ初詣!知っておきたい参拝のお作法

2020年〜2021年にかけての年末年始は、コロナ禍のため感染拡大を防ぐ対策として、人が密集する大晦日のカウントダウンや元旦の初詣は控えるようにと呼びかけられていました。

その影響もあり、毎年テレビで大混雑ぶりが取り上げられる有名な神社・寺院ではなく、自分の地元の氏神さまへ「氏神初詣」したり、元旦ではなく大晦日に「年末詣」したりと、雑踏を避けてゆっくりと参拝する人が年々増えているようです。

そもそも「元旦に行かなければならない」「大きな神社・寺院でないとご利益はない」などのルールはありません。

けれども、せっかく行くなら、人混みの中おしくらまんじゅうで汗をかきつつ、遠くからお賽銭を放り投げてちょこっと頭を下げる……そんな慌ただしい初詣ではなく、作法にのっとり心静かに願いごとを祈る丁寧な初詣をしてみませんか。

新年最初の今回は、初詣の起源である「氏神初詣」や、「初詣の作法」などをご紹介します。

画像:兵庫県西脇市の成田山法輪寺wiki c 松岡明芳

「初詣」が一般的に習慣化したのは明治中期だった

画像:「正月 かめいど初卯詣」歌川広重 public domain

初詣とは、新しい年になってから初めて神社・寺院に参拝する行事のことで、平安時代に行われていた「年籠り(としこもり・としごもり)」が起源だといわれています。

当時は、大晦日の夜から元旦の朝にかけて、家長が氏神神社(※)に籠って祈願する習慣でした。

「年籠り」は次第に簡略化され、大晦日の「除夜詣(じょやもうで)」と、元旦の「元日詣(がんじつもうで)」に分かれ、江戸時代に入ると庶民の間でも神社・寺院に詣でることが一般的な風習になりました。

「元旦詣」が全国的に広がったのは、鉄道会社が発展した明治に入ってからです。

明治18年に「川崎大師(金剛山金乗院平に初詣をする人も多い)」という記事で、初めて初詣という言葉が登場したのです。

※氏神神社:自らが居住する地域の氏神さまをお祀りする神社

画像:川崎大師(平間寺)wiki c Nesnad

まずは地元の氏神さまに初詣をする

初詣は、「有名で大きな神社でなければご利益がいただけない」ということはありません。

基本的には、「氏神さまや家の近くの神社にお参りをしてご挨拶をしてから」、有名な神社・寺院に詣でるのが良いそうです。

「家の近所の神社が氏神さま」というイメージがありますが、必ずしもそうとは限らないことも。

自分の氏神さまは、直接最寄りの神社に問い合わせをする、神社本庁のサイトの「各都道府県の神社庁一覧」から、自分の都道府県の神社庁を探して問い合わせする、などの方法で調べられます。

けれども「氏神さまでないとだめ」という決まりはないので、昔から何かと参拝している馴染み深い神社であればお参りするのもいいでしょう。

元旦から松の内の間は自宅にいたほうがいい

画像:民家に置かれたお正月の門松 wiki c katorisi

初詣というと、「三が日のうちに行かなければ!」という人もいますが、「◯日以内に行かなければならない」というルールはありません。

実は、1月1日の元旦から松の内(※)までは、歳神さまが家を訪問しにくる期間なのです。

年神様は、元旦に高い山から降りて来て人々の家を訪れ新年の幸せをもたらしてくれるので、その期間中は家にいてお迎えしたほうが「福を引き寄せる」ことができるといわれています。

急いで行かなくても、松の内の間か、遅くても1月中に行くのがいいでしょう。

※松の内:年神様の案内のため門松や松飾りを飾っておく期間で、関東では7日までだが15日とする地域もあり

初詣のときの参拝の作法

画像:初詣の巫女さん photo-ac 灘 伏見

初詣に行く日には決まりはありませんが、訪れる側が守りたい作法はあります。

せっかく訪れるなら適当に参拝するのではなく、真剣なお願いが神様に届くように、ていねいな作法を心がけたいものです。

地域や神社などによっても違いますが、一般的な作法を簡単にご紹介しましょう。

鳥居をくぐるときは一礼してご挨拶

画像:松尾大社の摂社である月読神社(撮影:桃配伝子)

鳥居は、「神さまが住んでいる神域と、我々人間が住む俗世界を区切る」ためにあります。

つまり、鳥居をくぐった先の境内は神域になるのです。

中央は「神さまの通り道」なので左右どちらかの端により、鳥居の手前で立ち止まり「お邪魔します」の気持ちを持って一礼をします。右側なら右足から、左側なら左足からくぐってください。

参拝を終えて帰るときも、鳥居をくぐったら振り返って本殿に向かい一礼します。

参道は真ん中を歩かない

画像:大神神社の参道(撮影:桃配伝子)

参道の真ん中は「正中(せいちゅう)」と呼ばれる神さまが通る道です。正中を避けて右端か左端を歩きましょう。

どこが参道かわからない場合は、とりあえず真ん中を歩かないようにしてください。

礼拝の方法

画像:京都市上京区一条通「大将軍八神社」の手水舎(撮影:桃配伝子)

本殿参拝の前に、手水舍にて柄杓を使い手と口をすすぎます。

柄杓を右手で持って水を汲み左手にかけて洗い、その後左手に持ち替えて水を汲み右手にかけて洗い、もう一度右手に持ち替えて水を汲んだら左の掌に水を溜めて口をすすぎます。柄杓に直接口を付けてはいけません。

最後に左手を水で流し、柄杓を立てるようにして持ち手部分を流すように洗います。

お賽銭は乱暴に投げ入れない

画像:一般的な賽銭箱 wik i c Ocdp

鈴がある際には先に鈴を鳴らし、神さまに賽銭箱にお賽銭を入れます。

テレビなどで、勢いよくお賽銭を投げ入れているシーンを見かけますが、あれはNGです。

音を立てないように、そっとお金を静かに賽銭箱に滑り込ませるようにして入れます。

お参りは「二礼二拍手一礼」

画像:参拝する女性 photo-ac minaa_key

礼拝方法は、地域や神社によっても異なることがありますが、基本的な「二礼二拍手一礼」を覚えておくといいでしょう。

1.拝殿に向かい姿勢を正して深いお辞儀を2回する
2.胸の高さで右手を少しずらし手を合わせたら、肩幅程度に開いて2回拍手をする
3.拍手後は、再び両手を胸の高さで合わせて心の中で祈る
4.最後に一礼をする

盛大に両手を広げて、バンバンと大きな音を立てて叩くのはNGです。

あれこれ欲張らず、願いごとは感謝と共に1つだけ

画像:太平洋に面した国安海岸の初日の出と鳥居 wiki c 掛川市ウェブサイト

願いごとをするときは、「彼女が欲しい、宝くじを当てたい、金儲けしたい」などと自分の欲望だけを列挙するのは、神さまに失礼になるそうです。

まず、自分の名前と住所を述べてから、前年の感謝や報告をします。

「昨年はありがとうございました」や「無事に新年を迎えられました」というように感謝を捧げてから、お願いしたいことを「心を込めて一つだけ真剣にお願い」しましょう。

有名な神社・寺院に訪れるのもいいのですが、馴染みのある氏神神社で新春の神域の空気を味わいながら作法にのっとった初詣をすると、一年の幕開けに相応しい清々しい気持ちになれるのでおすすめです。

参考:日本全国 一の宮 巡拝パーフェクトガイド 改訂版 招福探求巡拝の会

画像:手水舎で手を清める(撮影:桃配伝子)

文 / 桃配伝子 校正 / 草の実堂編集部

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