【家電批評公式】レコードプレーヤー予算別ベストバイ9選。オーディオのプロが高音質の人気商品を徹底比較【2025年】
『家電批評』特別編集のムック『アナログオーディオがまるごとわかる本』から、おすすめをご紹介! 雑誌『家電批評』で検証テストして選んだアナログ機器に関するベストバイが大集合。今回は、プロがえらんだ「レコードプレーヤー予算別ベストバイ9選」を紹介します!
家電批評が検証テストした最高のアナログ機器の選び方を紹介!
『家電批評』特別編集のムック『アナログオーディオがまるごとわかる本』は、これまで雑誌『家電批評』で検証テストしたアナログオーディオ機器の中から、実際に試してわかった、本当におすすめできる商品だけを紹介しています。
レコード人気の再熱にともないレコードプレーヤーも新モデルが各社から発売されています。
近年発売されている機種はBluetooth対応が主流になり、1万円台から購入できるものも増えていますが、せっかく買うならよい音でレコードを聴きたいですよね。
そこで今回は、音のプロが「U6万円」「6〜15万円」の2つのカテゴリ別におすすめの一台を探すべく9機種を聴き比べた、プロがえらんだ「レコードプレーヤー予算別ベストバイ9選」を紹介します!
レコードプレーヤーは多様化が進んでいる
レコードブームの再熱にはアナログレコード自体の良質さもさることながら、レコードプレーヤーの進化もブームを支えるひとつの要因となっています。
その中でも、一番の注目ポイントは「手軽さ」と「多様化」でしょう。
現在のブームが始まる前までは、リスニング向けのアナログレコード再生環境は「オーディオマニアの趣味」一辺倒で、システムを揃えるのに数百万円も必要な高級モデルが大半でした。
しかし、現在はフォノイコライザー内蔵タイプはもちろん、Bluetoothを搭載しているものやスピーカー内蔵タイプまで、さまざまなバリエーションが取り揃えられ、今ある自分の環境やライフスタイルに合わせた自由なシステムが構築できるようになっています。
特にBluetooth搭載モデルは、スピーカーはもちろんのことイヤホンやヘッドホンなど、スマホとの接続環境をそのまま利用できるため、手軽さに置いては圧倒的です。
音質面でも、ワイヤレス送信するためにいちどAD変換(アナログ音声をデジタル音声に変換するシステム)しているのにもかかわらず、音の特徴はしっかり残っていてアナログらしさも十分に楽しめたりします(もちろん有線接続のほうが有利です)。
サウンドバーガーなど復刻モデルも人気
オーディオテクニカ「サウンドバーガー AT-SB727」
実勢価格:23,980円
オーディオテクニカ「サウンドバーガー AT-SB727」は、オーディオテクニカの創立60周年記念限定モデルとして復刻したレコードプレーヤーです。完売していましたが、通常モデルが登場しました。
1万円台のレコードプレーヤーも
アイワ「aiwa audio RPB」
実勢価格:13,455円
1万円台でフォノイコライザーやスピーカーを搭載したモデルも増えています。
レコードプレーヤー選びのコツは?
まずレコードプレーヤー選びで注意したのは、再生方法です。
自分で盤に針を落とす「マニュアル」のものが多いですが、エントリー機の中には、ボタン操作でトーンアームが移動して針が落ち、レコードの片面の演奏が終わると針が上がる「フルオート」や「セミオート」式のものもあります。
手軽なのはこのフルオートとセミオートですが、自分で針を落とすレコード鑑賞の醍醐味を味わいたいならマニュアルをおすすめします。
次に重要なのが、稼働方式です。
稼働方式には、「ベルトドライブ」方式と「ダイレクトドライブ」方式があり、現在の主流はベルトドライブ方式です。
ベルトドライブ方式は静粛性ノイズの少なさ、ダイレクトドライブ方式は、システムがコンパクトにまとまるという利点があります。
レコードの音質を追い求めるにはどうすればいい?
レコードの溝の情報をいかに読み取るかが肝なので、カートリッジ(レコード針)を交換するだけで音は変化し、針圧も大きく変わってきます。
カートリッジ先のリード線やスピーカーをつなぐケーブルも音質アップに欠かせない要素です。
針はレコードの最重要ポイント
レコードプレーヤーのパーツを交換するのなら、最も音質が変わる針(カートリッジ)がおすすめです。
付属の線が必ずしも最適解ではない
付属のスピーカーケーブルは細いものが多く実力が発揮できるか疑問が残ります。見直してみるものアリでしょう。
レコードプレーヤーの検証項目
今回は、同じアンプとスピーカーを接続し、下記の8項目でレコードプレーヤーの音質をチェックしました。
検証項目1:低音
低音域の出力や豊かさ、音の歯切れのよさなどをチェック。
検証項目2:中音
主にボーカルの質感や細かなニュアンス、リアリティがあるかなどを確認。
検証項目3:高音
音がこもらず伸びやかに低音が出ているかどうかを確認。
検証項目4:S/N感
測定器で測る厳密な数値ではなく、体感的にノイズが多いか少ないかを評価。
検証項目5:ステレオ感
音が立体的に感じられ、ライブハウスのような臨場感があるかなどを確認。
検証項目6:音像感
楽器やボーカルの位置などを感じられるかに加え、音の広がりがあるかも評価。
検証項目7:情報量
ボーカルや楽器のディテールまでしっかり感じられるかをチェック。
検証項目8:操作性
ボタンの使い勝手やアームの自動高さ調節機能があるかなどを確認。
【U6万円部門】レコードプレーヤーのおすすめは?
【1位】ヤマハ「TT-S303」
TT-S303 イメージ
ヤマハ
TT-S303
実勢価格: 47,749円〜
総合評価: 3.44
低音: 4.00
中音: 3.50
高音: 4.00
S/N感: 3.00
ステレオ感: 3.50
音像感: 3.00
情報量: 3.50
操作性: 3.00
情感豊かにバランスのよい音を奏でる万人受けしやすい優等生
レコードプレーヤーU6万円部門のおすすめランキング1位でベストバイは、A評価のヤマハ(YAMAHA)「TT-S303」です。
「TT-S303」は、5万円台で購入できるヤマハのエントリーモデル。多くの機能を求めないのであれば、最初の一台としておすすめできる製品です。
エントリーモデルながらも、音質に対するこだわりが強く感じられます。
キャビネットには高密度MDF(木材を使用した繊維板)素材が使用され、高剛性を実現しています。インシュレーターには、防振性に優れた素材を内部に採用。
さらに、駆動方式にはベルトドライブ方式を採用し、モーターの振動もしっかりと抑制されています。
軽量かつ剛性に優れたストレートトーンアームも搭載されており、正確な音楽信号の読み取りをサポートします。
ストレートトーンアームは感度が高く、音の濁りを抑えるとされており、根強い人気があります。
実際に「TT-S303」でレコードを再生したところ、その音質は10万円を超えるプレーヤーにも匹敵するレベルです。
特に繊細な表現が得意で、楽曲に合わせて暗く物悲しい雰囲気を醸し出したり、ライブハウスのような狭い空間を再現したりと、情感豊かな音が楽しめました。
ピュアな音をしっかりと再現しており、U6万円以内で購入できるプレーヤーとしては、音質において群を抜いています。
また、グロス塗装が施された光沢のあるボディは高級感があり、「TT-S303」の魅力のひとつでしょう。
ボタンは2つだけのシンプルなデザインで、他の機器とも調和しやすく、再生環境を美しく整えることができる点もうれしいポイントです。
さらに、「TT-S303」はフォノイコライザーアンプを内蔵しているため、単体のフォノイコライザーやアンプ内蔵のものがなくてもレコードを楽しめます。
内蔵アンプはJRC(新日本無線)製の高品質なオペアンプ(電気信号を増幅する集積回路)を使用していますが、これを使わずにダイレクト出力することも可能です。
手持ちのアンプと組み合わせてレコード再生システムを自由に構築できるため、楽しみ方の幅も広がるでしょう。
幅: 450mm
奥行: 368mm
高さ: 136mm
重量: 4.8kg
駆動方式: ベルトドライブ
回転数: 33-1/3、45回転/分
型番: TT-S303(B)
オーディオライター ゴン川野 氏のコメント
「楽曲に対して正確な再生がされているようで、情感豊かな音が楽しめます。ボーカルのニュアンスも2位のデノン「DP-450USB」以上に再現されており、繊細な表現が得意です。」
DCモーター内蔵のベルトドライブ方式を採用
ピュアな音楽を楽しめる人気方式
ベルトドライブ方式はモーターの回転をゴムベルトを通じてプラッターに届けるため、余計な振動が吸収されてピュアな音を出しやすくなります。「TT-S303」に関わらず、多くのプレーヤーで採用される人気の方式です。
ストレートアーム採用でレコードの音を忠実に再現
ストレートトーンアームで透明かつ開放感のある音
MM型カートリッジは付属ですぐに楽しめる
トーンアームにこだわりを感じる
「TT-S303」はアルミ素材でスタティックバランス型のストレートトーンアームを採用。ストレートタイプのトーンアームは感度が高く、透明でオープンなサウンドを出せるのが魅力です。
ヤマハのフラッグシッププレーヤーでも採用されており、ストレートタイプへのこだわりを感じます。
光沢のある美しいボディで質感も申し分なし
質感良く輝き高級感あるボディ
空間に美しく調和するデザイン
「TT-S303」は全体に質感の高いグロス塗装が施されています。この光沢が価格以上の高級感を放っており、またシンプルなデザインであることから空間にもうまく溶け込みます。
他コンポーネントとも違和感なく組み合わせられるため、見た目にこだわる人も満足できるはずです。
オーディオライター ゴン川野 氏のコメント
「音の表現が良く、ボディも美しいのですが、ターンテーブルがすぐに止まらないのは不満でした。フェルトのマットの平面性もイマイチで、細かなところに高額プレーヤーとの差が見受けられました。」
ボタンや端子はシンプルな構成
フォノイコライザーも搭載している
ボタンが2つだけでとにかくシンプル
余計な端子がなくスッキリしている
ボディ上部にあるのは再生/停止ボタンと回転数の選択ボタンの2つだけ。各種端子は背面に隠れており、こちらも電源、フォノイコライザーアンプの切り替え、音声出力端子のみです。
必要最低限の構成で機能こそ少ないですが、その分、使いやすく見た目もスッキリしています。
5万円台ながらもプロがうなる音質
【2位】デノン「DP-450USB」
DP-450USB イメージ
デノン
DP-450USB
実勢価格: 51,480円〜
総合評価: 3.38
低音: 4.00
中音: 3.50
高音: 3.50
S/N感: 3.00
ステレオ感: 3.50
音像感: 3.00
情報量: 3.50
操作性: 3.00
僅差でヤマハ「TT-S303」に及ばずも解像度の高いサウンドを存分に楽しめる
レコードプレーヤーU6万円部門のおすすめランキング2位は、A評価のデノン(DENON)「DP-450USB」です。
「DP-450USB」は、手で針を落とすマニュアル方式を採用し、音にこだわったレコードプレーヤー。
実際に再生してみると、やはり3位以下とは頭ひとつ違う音像の安定感があり、ボーカルに芯を感じられます。
アナログらしい音を十分に堪能したいなら、最低限でもこのクラスのプレーヤーがほしいところです。
また、レコードの再生が終わると自動的にトーンアームをリフトアップし、ターンテーブルの回転を停止してくれるため、レコードやカートリッジを痛める心配がないのもうれしい配慮です。
レコードを楽しみながら寝入ってしまう人もこれなら安心。
ダストカバーをレコードジャケットのディスプレイスタンドとして使うことができ、インテリア性が高いのも魅力です。
幅: 414mm
奥行: 347mm
高さ: 132mm
重量: 5.6kg
駆動方式: ベルトドライブ
回転数: 33-1/3、45、78回転/分
型番: DP-450USB-BK
オーディオライター ゴン川野 氏のコメント
「ボーカルの音像が安定しており、ウォームでアナログらしい音色。アナログ入門は最低限このクラスから始めたい。そう思わせられる完成度でした。」
レトロではなく現代的なデザインが特徴
ダストカバーにもひと工夫されている
キャビネットは光沢があってスタイリッシュかつ現代的。
またレコードの再生中は、ダストカバーを付属のスタンドに設置可能です。レコードジャケットを立てかけることもでき、オシャレにレコードを楽しめます。
ワンボタンでUSBに録音できる
アナログレコードをデジタル化して楽しめる
「DP-450USB」はUSB録音に対応。USBメモリーを挿入してボタンを押せば、レコードの楽曲がMP3/WAV形式で保存されます。
編集ソフトも付属しており、自動でトラック分割も可能。デジタル配信されていない楽曲を自力でデジタル化してスマートフォンなどで楽しめます。
【3位】デノン「DP-200USB」
DP-200USB イメージ
デノン
DP-200USB
実勢価格: 21,528円〜
総合評価: 3.00
低音: 3.00
中音: 3.00
高音: 2.00
S/N感: 3.00
ステレオ感: 3.00
音像感: 3.00
情報量: 3.00
操作性: 4.00
ボーカルにやや不安があるが音の広がりや低音は申し分なし
レコードプレーヤーU6万円部門のおすすめランキング3位は、デノン「DP-200USB」です。
「DP-200USB」は、フルオートであることやUSBメモリーへの録音を押し出しているだけあって、音質よりも使いやすさを重視した機種かと思いきや音質は意外と悪くなく、音の広がりを感じられました。
ボーカルがやや不安定になることもあり、総合力では1位と2位の製品には劣るものの、価格も半額以下なのでお値打ち品です。
幅: 360mm
奥行: 358mm
高さ: 98mm
重量: 3.2kg
駆動方式: ベルトドライブ
回転数: 33-1/3、45回転/分
型番: DP-200USB-SP
オーディオライター ゴン川野 氏のコメント
「中低域の押し出しが強く、ボーカルがやや不安定になるパートも。しかし、低域の厚みが段違い。ボーカルがしっとりと落ち着いた感じになり、ベースの低音が深く沈んで左右に広がりも感じられました。」
【4位】オーディオテクニカ「AT-LP60X」
AT-LP60X イメージ
オーディオテクニカ
AT-LP60X
実勢価格: 14,168円〜
総合評価: 2.38
低音: 2.00
中音: 2.00
高音: 2.00
S/N感: 3.00
ステレオ感: 2.00
音像感: 2.00
情報量: 2.00
操作性: 4.00
リップノイズまでわかる解像度の高さがあった
レコードプレーヤーU6万円部門のおすすめランキング4位は、オーディオテクニカ(Audio-Technica)「AT-LP60X」です。
「AT-LP60X」は、1万円台とダントツで安価なプレーヤーですが、リップノイズまでわかる解像度の高さがあり、音色はウォームで聴きやすく、アナログらしい中低域の厚みと、なめらかな高音が楽しめます。
スタートボタンを押すだけで再生できるフルオート式なので初心者でも安心。安く、確実にレコードを楽しみたい人向けのモデルです。
幅: 359.5mm
奥行: 373.3mm
高さ: 97.5mm
重量: 2.6kg
駆動方式: ベルトドライブ
回転数: 33-1/3、45回転/分
型番: AT-LP60X DGM
オーディオライター ゴン川野 氏のコメント
「フルオートで針圧調整も不要のため初心者でも使いやすいのが魅力。ただし、レコードを載せない状態で、ターンテーブルだけを回転させる機能がないので掃除するときは不便です。」
【6〜15万円部門】レコードプレーヤーのおすすめは?
【1位】オーディオテクニカ「AT-LP7」
AT-LP7 イメージ
オーディオテクニカ
AT-LP7
実勢価格: 74,322円〜
総合評価: 3.81
低音: 4.50
中音: 4.00
高音: 4.00
S/N感: 3.50
ステレオ感: 4.00
音像感: 4.00
情報量: 3.50
操作性: 3.00
15万円以下では最安機ながらもサウンドの品質は最上級!
レコードプレーヤー6〜15万円部門のおすすめランキング1位でベストバイは、A評価のオーディオテクニカ「AT-LP7」です。最高の音質評価でベストバイに輝きました。
音質の決め手となったのは、付属のカートリッジです。この「AT-LP7」には、オーディオテクニカ製で接合楕円針を採用した「VM520EB」が付属しています。
丸針に比べて音の表現がピュアで、タイト(音やリズムが引き締まっている)かつクリアな音質が高評価です。
ボディは40㎜厚の高剛性MDFシャーシで構成されており、重厚感もあってモーターなどの振動が伝わりにくい設計です。
POM製プラッターとベルトドライブ方式により、回転が安定しています。音楽全体の骨格がしっかりと感じられ、スピート感も申し分ありません。
さらに、オーディオテクニカは多くの互換針を用意しているため、音質のグレードアップが容易なのも魅力です。
また、内蔵のフォノイコライザーもMM型とMC型の両方に対応しており、MC型カートリッジを気軽に楽しむことができます。もちろん、フォノ出力も可能なので、お好みのアンプと組み合わせることも可能です。
このように、グレードアップや他のアンプとの組み合わせが可能なプレーヤーは、飽きが来ず長く愛用できます。レコードの奥深さを存分に楽しみたい方におすすめの一台といえるでしょう。
幅: 450mm
奥行: 352mm
高さ: 157mm
重量: 8.3kg(ダストカバーを除く)
駆動方式: ベルトドライブ
回転数: 33-1/3、45回転/分
型番: AT-LP7
オーディオライター ゴン川野 氏のコメント
「ボーカルがなめらかで芯があり、明確な音像定位を感じます。低音はタイトでハイスピード。リアルな口元が再現され、ニュアンスも出て、歌のうまさをしっかり確認できました。全体の骨格がしっかりした音が出ています。」
高品質な楕円針がレコードの音を最大限に引き出す
付属カートリッジは高品質な楕円針
スピードセンサーで安定した回転を持続
情報量が多く高音質な再生
「AT-LP7」には、接合楕円針を搭載しているオーディオテクニカのカートリッジ「VM520EB」が付属しています。針を交換しなくてもハイレゾ音源にも匹敵するほどの情報量で高音質な音楽を楽しめます。
回転方式はベルトドライブ方式。スピードセンサーでプラッターの回転速度を検知するため、安定した回転が持続します。
高さ調節機能付きのユニバーサル式トーンアーム
オーディオテクニカ伝統のJ字型トーンアーム
レトロデザインのJ字型トーンアーム
トーンアームは、J字のスタティックバランス式を採用。これはオーディオテクニカの伝統で、60~70年代のデザインを踏襲しています。
高さ調整機構も付いているため対応するカートリッジも豊富です。付属カートリッジも優秀ですが、色々試して自由に楽しめるのがうれしいところです。
オーディオライター ゴン川野 氏のコメント
「アームの高さ調整機能があり、手動で盤面に針を落とす完全マニュアル機です。リフターを調節して針を落とす際の速度もGood。細部までこだわったセッティングで再生できる本格志向のレコードプレーヤーです。」
耐久性の高いボディに高音質フォノアンプを内蔵
重厚感があるしっかりしたシャーシ
MM/MC型の切り替えスイッチ搭載
安定した再生環境が作れる
40mm厚の高剛性MDF(木材を使用した繊維板)シャーシに、20mm厚のPOM(ポリオキシメチレン)製プラッターを採用。不要な振動も少なく、安定した再生が可能です。
フォノイコライザーを内蔵しており、出力はPHONOとLINEを選択可能。MM(VM)/MC型カートリッジの切り替えスイッチも用意されています。
【2位】JBL「TT350 Classic」
JBL TT350 Classic イメージ
JBL
JBL TT350 Classic
実勢価格: 109,700円〜
総合評価: 3.75
低音: 4.00
中音: 4.00
高音: 4.00
S/N感: 3.50
ステレオ感: 4.00
音像感: 4.00
情報量: 3.50
操作性: 3.00
音質評価はベストバイに肉薄。見た目を重視するならJBLもアリ!
レコードプレーヤー6〜15万円部門のおすすめランキング2位は、A評価のJBL(ジェービーエル)「TT350 Classic」です。
JBLといえばスピーカーの印象が強いですが、実はアンプやレコードプレーヤーも開発しています。
特に注力しているのが、昨年秋から展開を始めた「JBL Classic Components」シリーズ。
このシリーズは、JBLの往年のデザインを踏襲しており、シックなウッド部分と高級感のあるアルミ部分の組み合わせが特徴です。
インテグレーテッドアンプ「SA550」「SA750」、CDプレーヤー「CD350」、デジタルメディアプレーヤー「MP350」、そしてレコードプレーヤー「TT350 Classic」がこのシリーズに含まれています。
特に「TT350 Classic」は、デザインの美しさに目が行きがちですが、音質も高く評価されています。
識者のゴン川野さんは、「音色がホットで、ボーカルを魅力的に再生する」と評価しており、その点数もベストバイモデルのオーディオテクニカ「AT-LP7」とほとんど差はありませんでした。
カートリッジにはオーディオテクニカ製の「VM95E」が付属しており、針やカートリッジの交換も可能で、アップグレードすれば、ベストバイのオーディオテクニカ「AT-LP7」を超える音も十分期待できるでしょう。
操作面では、ボタンが前面に配置されているため、トーンアームなどを操作しながら押したい場合は、目線を移動する必要があり、やや面倒ですが、操作性に大きなクセはなく、全体的に満足できる仕上がりです。
音質、デザイン、操作性のバランスが取れた銘機といえます。
しかし、価格面ではベストバイモデルのオーディオテクニカ「AT-LP7」に比べて約5万円高く、フォノイコライザーが内蔵されていないため、フォノ入力のあるアンプが必要になります。
JBLは「JBL Classic Components」シリーズの「SA550」や「SA750」との組み合わせを狙っているはずですが、それぞれ20万円超え、25万円超えと高額です。
入門者には手が届きにくく、コストパフォーマンスを重視する人には少々厳しい選択かもしれません。
一方で、JBLの音とデザインに魅了され、これからコレクションを始めたい方には、ぜひ手に入れていただきたい一台です。
幅: 449mm
奥行: 355mm
高さ: 150mm
駆動方式: ダイレクトドライブ
回転数: 33-1/3、45回転/分
型番: TT350 CLASSIC
オーディオライター ゴン川野 氏のコメント
「ボーカルを魅力的に再生するのが特徴。安定感があり、音はしっかり聞かせてくれます。ボタンが前面にあるためトーンアームなどを調整しながら操作したい場合はやや不便です。」
「JBL Classic Components」シリーズのアナログプレーヤー
「JBL Classic Components」は、シックな外観で、JBLのスピーカーシステムにマッチするシリーズです。
「TT350 Classic」もこのシリーズのひとつで、ウォールナット無垢材で覆われたキャビネットにアルミニウムのフロントパネルが魅力。見た目重視の人におすすめです。
しっかりと芯がありながら安定感のあるサウンド
カートリッジ交換でさまざまな音を楽しめる
ダイレクトドライブを採用している
ベルトドライブ方式が主流の中、「TT350 Classic」はダイレクトドライブを採用。
ダイレクトドライブ方式はモーターの振動を受けやすいというデメリットこそありますが、回転が安定しやすいのが特徴です。
使用時にそれほど気になることはありませんでしたが、好みがわかれるところでしょう。
オーディオライター ゴン川野 氏のコメント
「全体的に厚みがあってホットな音色です。ボーカルは芯があってしっかり聴かせます。特に女性ボーカルはつややかな口元が見えるようでした。低音は出しゃばらず包み込むように聴こえます。」
アルミ製のS字型スタティックバランス式トーンアーム
ヘッドシェルが着脱可能なアルミ製
カートリッジ交換を手軽に楽しめる
スタティックバランス式のS字トーンアームはアルミ製で高級感を感じさせるデザインです。
付属のカートリッジはオーディオテクニカ製の「AT-VM95E」。スタンダードランクのカートリッジですが、接合楕円針で十分に情報量豊かな音を楽しめます。
もちろんカートリッジ交換もできるのでアップグレードも可能です。オーディオテクニカ製で交換針も豊富なためスタイラス(カートリッジの針先)だけ変えてしまうのもよいでしょう。
フォノイコライザーは非搭載
フォノイコライザー非搭載でシンプルな端子
高級感を感じさせるフロントパネル
追加出費に耐えられるか……
内蔵のフォノイコライザーがなく、プレーヤーとして徹底された作りになっています。
見た目も余計なボタンや端子がなくシンプル。アンプが必要なためJBL製の「SA550」と組み合わせたいところですが、こちらは20万円超え。なかなか金食い虫なプレーヤーとなっています。
「JBL Classic Components」シリーズで統一すれば感動の音楽体験!
【3位】Rega「Planar3 mk2」
Planar3 mk2 イメージ
Rega
Planar3 mk2
実勢価格: 108,204円〜
総合評価: 3.69
低音: 4.00
中音: 4.00
高音: 4.50
S/N感: 3.50
ステレオ感: 4.00
音像感: 4.00
情報量: 3.50
操作性: 2.00
針圧調整などはやや面倒だがボーカルの魅力をしっかり引き出す
レコードプレーヤー6〜15万円部門のおすすめランキング3位は、A評価のRega(レガ)「Planar3 mk2」です。
Regaは、50年以上の歴史を持つ英国のオーディオブランド。2016年に発売された「Planar3」は、そのRegaを代表するプレーヤーでしたが、これを最新技術でさらにブラッシュアップしたのが「Planar3 mk2」です。
具体的には、新規設計されたトーンアームにより、剛性や垂直方向の動きが改善。
また、上位モデルで採用されているベルトを搭載することで、耐久性や再生音の揺れを低減。
MDF(木材を使った繊維板)キャビネットには特殊アクリル材が使用され、軽量でありながら高い剛性を実現し、不要な振動を抑える設計となっています。
これらの改良により、音質は申し分ありません。ニュートラルな音色で解像度も高く、空間の奥行きまで感じられました。音質評価においては、ベストバイモデルのオーディオテクニカ「AT-LP7」と肩を並べるほどの高評価を受けています。
これほどの音質にもかかわらず、3位に留まっている理由は、操作性の悪さが原因です。
特に回転数を変えるにはプラッターを外し、プーリー(車輪のような回転体)のベルトのかけ位置を手動で変更しなければなりません。
ボタンひとつで回転数を変更できるモデルが主流であるため、これは残念な仕様でした。
幅: 447mm
奥行: 360mm
高さ: 117mm
重量: 6.0kg
駆動方式: ベルトドライブ
回転数: 33-1/3、45回転/分
型番: PLANAR 3 MK2 RED WITH ELYS2 50
オーディオライター ゴン川野 氏のコメント
「かすかなエコーも再現され、解像度は高いです。締まりのある低域で、スピード感もバッチリ。ボーカルの奥行き感もしっかり感じられました。」
再生するまでにやや手間がかかる
ストレートアームでカートリッジ交換が厳しい
針圧調整も手間がかかる
完全マニュアルで面倒くささを感じる
回転数の変更はベルトをかけ替えなければならず、針圧調整も面倒くさいです。
ストレート型のトーンアームで剛性は高いですが、ヘッドシェル一体型のため、汎用ヘッドシェルへの交換が難しく、カスタマイズの自由度は低いです。
【4位】テクニクス「SL-1500C」
SL-1500C イメージ
テクニクス
SL-1500C
実勢価格: 128,000円〜
総合評価: 3.31
低音: 3.00
中音: 3.50
高音: 3.50
S/N感: 3.50
ステレオ感: 3.50
音像感: 3.50
情報量: 3.00
操作性: 3.00
質感は最上級クラスでももう少し中低音に厚みが欲しい
レコードプレーヤー6〜15万円部門のおすすめランキング4位は、テクニクス(Technics)「SL-1500C」です。
シルバーを基調とした高級感のあるデザインで、アームの高さが調整可能。ボタンは左下に集約されており、操作しやすい設計です。
しかし、音質の評価はいまひとつでした。中低音が薄く、全体的にあっさりして物足りない印象を受けました。付属カートリッジの性能がイマイチな可能性もあるため、交換すれば改善するかもしれません。
幅: 453mm
奥行: 372mm
高さ: 169mm
重量: 9.9kg
駆動方式: ダイレクトドライブ
回転数: 33-1/3、45、78回転/分
型番: SL-1500C-W
オーディオライター ゴン川野 氏のコメント
「バランス的にはもう少し中低音に厚みが欲しかったです。ボーカルもあっさりしていて物足りなさを感じます。アームの高さ調整機能があるのは好ポイントでした。」
【5位】ELAC「Miracord 50」
Miracord 50 イメージ
ELAC
Miracord 50
実勢価格: 74,530円〜
総合評価: 3.25
低音: 3.50
中音: 3.50
高音: 3.50
S/N感: 3.50
ステレオ感: 3.50
音像感: 3.00
情報量: 3.00
操作性: 2.50
オーソドックスなボディでサウンドも全体的にあっさりとした印象
レコードプレーヤー6〜15万円部門のおすすめランキング5位は、ELAC(エラック)「Miracord 50」です。
約10万円の価格設定ながら、音質の評価がそこまで伸びず評価を落とす結果になりました。
エントリー機として開発されているためか、付属カートリッジがいまひとつで、特に低音が不足気味でした。
フォノイコライザーを内蔵しているなど、機能面ではオーソドックスで使いやすい設計なだけに、音質面での評価が残念でした。
幅: 420mm
奥行: 355mm
高さ: 125mm
重量: 4.6kg
駆動方式: ベルトドライブ
回転数: 33、45回転/分
型番: MIRACORD 50
オーディオライター ゴン川野 氏のコメント
「全体的にサラサラしたあっさりした音。ボーカルが淡々とした印象でやや寂しいです。アームリフターが上がるのがやや早い上に、回転がすぐに止まらないのも気になりました。」
予算別レコードプレーヤーのおすすめ まとめ
以上、『家電批評』特別編集のムック『アナログオーディオがまるごとわかる本』から、プロがえらんだ「レコードプレーヤー予算別ベストバイ9選」でした。
今回は「U6万円部門」「6〜15万円部門」の2つのクラス別に、おすすめランキングを紹介しました。それぞれのクラス別にベストバイを振り返っていきます。
【U6万円部門】レコードプレーヤーのおすすめ
U6万円部門のおすすめランキング1位でベストバイは、ヤマハ(YAMAHA)「TT-S303」でした。
「TT-S303」は、5万円台で購入できるヤマハのエントリーモデルですが、5万円台ながらもプロがうなる音質で、10万円を超えるプレーヤーにも匹敵するレベルです。
特に繊細な表現が得意で、低音から高音まで情感豊かな音が楽しめました。ピュアな音をしっかりと再現しており、U6万円以内で購入できるプレーヤーとしては、音質において群を抜いています。
さらに、フォノイコライザーアンプを内蔵しているため、単体のフォノイコライザーやアンプ内蔵のものがなくてもレコードを楽しめます。
多くの機能を求めないのであれば、最初の一台としておすすめできる製品です。
ヤマハ「TT-S303」
実勢価格:50,778円
【6〜15万円部門】レコードプレーヤーのおすすめ
6〜15万円部門のおすすめランキング1位でベストバイは、オーディオテクニカ「AT-LP7」でした。最高の音質評価でベストバイに輝きました。
音質の決め手となったのは、オーディオテクニカ製で接合楕円針を採用したカートリッジ「VM520EB」が付属していること。丸針に比べて音の表現がピュアで、タイト(音やリズムが引き締まっている)かつクリアな音質が高評価です。
さらに、オーディオテクニカは互換針の種類も豊富で、音質のグレードアップが容易なのも魅力です。
内蔵のフォノイコライザーもMM型とMC型の両方に対応しており、MC型カートリッジを気軽に楽しむことができます。もちろん、フォノ出力も可能なので、お好みのアンプと組み合わせることも可能です。
グレードアップや他のアンプとの組み合わせが可能で、音を追求しやすいプレーヤーです。飽きが来ず長く愛用できるため、レコードの奥深さを存分に楽しみたい方におすすめの一台といえるでしょう。
オーディオテクニカ「AT-LP7」
実勢価格:89,799円
今回検証したレコードプレーヤーも、他のカートリッジやアンプ・スピーカーと組み合わせれば音質が向上する可能性があります。
アンプやスピーカー、カートリッジなど色々なオーディオシステムの組み合わせを探るのもカスタマイズの醍醐味ではないでしょうか。
レコードプレーヤーが気になっている人は、本記事を参考に、お気に入りをみつけてみてください。
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