岩崎宏美 TBSでの歌唱が蘇る ② サウンド・イン"S"、レコード大賞など秘蔵映像たっぷり
岩崎宏美のTBS秘蔵映像が蘇る ① レコ大、全員集合、ベストテンなどすべてが初DVD化!にもどる
「サウンド・イン"S"」では、グレン・ミラーやポール・マッカートニーのカバーを披露
1975年に「ロマンス」でデビューして以来、第一線で活躍し続けている岩崎宏美。今年(2025年)デビュー50周年を迎えたことを記念して、TBSにおける歌唱シーンを集めたDVD6枚組ボックス『HIROMI IWASAKI 50th TBS Special Collection』が3月5日に発売になる。
その『DISC4』はスタンダードナンバーをメインに、ハイクオリティーな音楽番組『サウンド・イン"S"』からの映像を主に収録。グレン・ミラー・オーケストラ「タキシード ジャンクション」やポール・マッカートニー「マイ・ラヴ」が披露された1977年の回は2代目司会のいしだあゆみ時代。翌1978年に2度目の出演を果たし、バーブラ・ストライサンド「スター誕生の愛のテーマ」や ビリー・ジョエル「ストレンジャー」を歌った時の司会は伊東ゆかりと松崎しげるに替わっている。「ストレンジャー」は伊東との競演。この番組に招かれたのは岩崎の秀でた歌唱力が高く評価されていたからに他ならない。
1979年の出演時にはかすりの着物姿で「雨降りお月」や「城ヶ島の雨」を歌っている。これは前年に童謡・唱歌をカバーしたアルバム『ALBUM』を出していたからだろう。タイム・ファイブのコーラスをバックに歌われる和洋折衷の不思議な魅力が醸し出されている。同じ回には松崎しげるらと共に「私の青空」も。クリスマスソングのエバーグリーン「ホワイト・クリスマス」は1985年の『ロッテ 歌のアルバム』から。かようにスタンダードのカバーでも実力を見せつける岩崎がクリスマスアルバムを出していないのは意外に思える。
「ロマンス」から始まる圧巻のメドレー
後半では、結婚後に益田宏美名義で活動していた頃に歌われたオリジナルヒットの数々を。「ロマンス」に始まり、「万華鏡〜未来〜センチメンタル〜シンデレラ・ハネムーン〜聖母たちのララバイ」の圧巻のメドレーは、1993年から1994年にかけて放送されたスペシャル番組『あなたも歌わずにはいられない!青春時代の名曲70年代』より。
以降は2000年の『20世紀!名曲黄金時代スペシャル〜井上忠夫音楽葬〜』で歌われた「すみれ色の涙」や、2005年の『超豪華!!歌謡史決定版〜ザ・ヒットメーカー作詞家・阿久悠40周年記念特別企画』での「ロマンス」など、比較的近年の映像を収録。最後の「ロマンス」と「思秋期」は現在も続く特番『あなたが聴きたい歌の4時間スペシャル』の2017年放送分より。それぞれの時代の「ロマンス」を聴き比べられるのも嬉しい。
「祝80歳!服部克久卒寿メモリアルライブ」で歌われた「聖母たちのララバイ」
『DISC5』はBS-TBSで放送された番組からのセレクション。アーカイブも含めて質の高い音楽番組を制作しているチャンネルだけに見るべき映像が多い。「聖母たちのララバイ」と「シェルブールの雨傘」は2017年の『祝80歳!服部克久卒寿メモリアルライブ』における歌唱。2021年の「卒業写真」も前年に亡くなった服部克久を偲ぶ特別コンサートでの歌唱で、息子の服部隆之が指揮を務めている。「シェルブールの雨傘」をアレンジしている前田憲男しかり、彼らにとって岩崎は最も優れた表現者のひとりであったことだろう。
その後はごく最近の映像が連なる。2022年の『うた恋!音楽会』からは、一層円熟味を増した「聖母たちのララバイ」に、筒美京平トリビュートアルバムで岩崎良美と共に歌ったスリー・ディグリーズの「にがい涙」。「好きだなんて言えなかった」は一緒にアルバムを出した野口五郎とのデュエット曲で、そこにも収録された「エンドレス・ラブ」は10代の頃にNHK『レッツゴーヤング』でやはり野口とデュエットして以来の奇跡の共演となった。
さらには2023年の「シンデレラ・ハネムーン」に「女優」。作り手たちがみな鬼籍に入っているのは少し寂しいが、曲はずっと残る。由紀さおり「生きがい」は本人も大好きというだけあって見事なカバーだ。その由紀と一緒に歌う、大滝詠一の不朽の名曲「夢で逢えたら」でこの巻は幕を閉じる。
「輝く!日本レコード大賞」で歌われた名曲の数々
ラストの『DISC6』はTBSが長年育んできた『輝く!日本レコード大賞』の映像集である。1975年のデビュー曲「ロマンス」は、11月に放送されていたノミネート番組『速報!!日本レコード大賞』と大晦日の本番のステージ2回分を蔵出し。1977年の「思秋期」、1978年の「シンデレラ・ハネムーン」、さらに1979年の「万華鏡」、1980年の「銀河伝説」も同様に2パターンずつ。「シンデレラ・ハネムーン」での司会の黒柳徹子とのやりとりは、後に『ザ・ベストテン』に出演する前哨戦となった。
1981年に東京音楽祭に出場した際の「恋待草」を間に挟んで、同年は「すみれ色の涙」で出演。念願の最優秀歌唱賞を受賞したため、3パターンを収録。1982年の「聖母たちのララバイ」はレコード大賞の非対象楽曲であったため、例外的に『日本有線大賞』の映像が収録された。ノミネートは翌1983年の「家路」まで続くことになる。
そして、最後の最後に収められた「虹〜Singer〜」は、さだまさしが雪村いづみに寄せた曲のカバーで、服部隆之指揮の下、岩崎の抜群の歌唱力が発揮されている。まだまだ続いてゆくであろう歌手・岩崎宏美の未来に思いを馳せながら、今回のDVD6枚組ボックスを存分に満喫したい。
Information
HIROMI IWASAKI 50th TBS Special Collection
・発売日:2025年3月5日(水)
・仕様 :6枚組DVDボックスセット(三方背豪華BOX / 特製デジパック仕様 / 解説書付き)
・価格 :29,480円(消費税込み)
・DISC1「in 8時だョ!全員集合」(66分)
・DISC2「in ザ・ベストテン」(100分)*数々の名場面を久米宏&黒柳徹子とのトークも含め収録
・DISC3「in ロッテ歌のアルバム +(プラス)」(64分)
・DISC4「in サウンド・イン“S” +(プラス)」(71分)
・DISC5「in BS-TBS」(68分)
・DISC6「award 日本レコード大賞 +(プラス)」(75分)
合計444分