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世界が注目する味を、北海道から――「ふらのワイナリー」と「ドレーヌメゾン」が描く北海道産ワインの未来

Sitakke

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アルコール全般と地元・北海道をこよなく愛するライター・オサナイミカが、今こそ知ってもらいたい、北海道のワインのこれからを綴ります!

前編の記事では、富良野エリアのワイナリー4か所を回る“大人の富良野旅”の中から、自然と調和するワイン造りを行う「カムイ・メトッ・ヌプリ」と、兵庫から入植し地域文化に貢献するワイナリーを目指す「多田農園」を紹介しました。

後編では、長い歴史を持つ「ふらのワイナリー」と、新しい挑戦を続ける「ドレーヌメゾン」を訪ね、富良野の地で育まれるワインづくりの今と、次世代へつながる可能性をたどります。

先駆者だからこそ、次の時代を考える

翌日は、午前中からふらのワイナリーへ。シニアソムリエの高橋さんの後任となる谷口さんが、ご案内してくれました。なんだかちょっと、やりにくそう(笑)

ちょうど、収穫されたぶどうが運び込まれてきていたところだったので、甘い香りに包まれました!

『北海道の観光はオフシーズンですが、ワイナリーはココからがオンシーズン。直営圃場のほか、市内の契約農家さんからも収穫したぶどうが次々と運び込まれてきます。』ちなみに総面積は50ヘクタール!

ぶどうを実と枝に分ける“除梗破砕機”に通して、圧搾機でぶどうを搾っていきます。

特別に、搾りたてのミュラートゥルガウの果汁を頂きました。アルコールが入っていなくてもオイシイ!!というか、味がすごく濃厚で、今年のワインも良い出来になりそうな予感がしました^^

そして樽貯蔵庫では、訳アリのアシリフラヌイ ケルナー2023を、特別に頂くことに。『実は若干酵母が残っており、再発酵の危険性があるため、自主回収した商品なのです。ただ人体に害などは全くなく味はとても美味しいので、せっかくの機会なので味わってみて下さい。』

微妙にシュワッとしているの、お分かりになりますでしょうか?“ペティアン”と呼ばれる微発泡系に仕上がっていて、コルクだと飛んでしまうことがあるのです。
でも味自体はドライに仕上がっていて、個人的にはこれを購入したい(笑)
それはさておき、モノを造るって全てにおいて大変なことなんだなぁと、改めて実感したわけです。

醸造所を見学したのちに、少し移動して畑までやってきました。こちらには高橋氏の苗木づくりの技術を受け継いだ馬場さんという職員の方がいらっしゃいました

なんでも彼女はとてもセンスが良いそうで、高橋さんも安心なんだとか。というのもぶどうは台木に接ぎ木をする作業があるのですが、それには感覚的なものも必要らしく、一年目にしてその感覚の良さを発揮したそうで・・・『いえいえ、私なんてまだまだです』とおっしゃってはいましたが、今後のふらのワイナリーも安泰のようです^^

今北海道にはワイナリーやヴィンヤードが急増していて、2025年9月現在で73社、来年までに80社になるのではと、高橋氏。そのため苗木が圧倒的に足りていないそうです。
その苗木を増やすのも、高橋氏の仕事の一つだそうですよ。
富良野地区のワインはもちろんですが、北海道・日本全体のワインのことを考えて活動されているようです。


1891年創業のワイナリーが富良野へ

かわいいヤギたちがお出迎えしてくれる、中富良野町にある【ドメーヌレゾン】さん。

ボトルのエチケットにもヤギが描かれていています。こちらのワイナリーは2017年創業ですが、日本のワイン産地としても有名な山梨県勝沼にある、現存する日本最古のワイナリーとして知られる“まるき葡萄酒”さんが親会社となります。創業は1891年!水害や戦争などの困難にも巻き込まれ、今後長く続けていくうえで勝沼だけでなく、全国各地を視野に入れていこうという考えの元、2015年に中富良野町に農地を取得。

現在、赤2種・白8種、系10種類のぶどうを植えており、なかでもケルナーが一番の収穫量で、2022年は43トンだったそうです!

ちなみにドメーヌレゾンさんの醸造施設は、最大で15万本のワインが作れるほどの規模。今はぶどうの収穫量が追い付かず、まだ半分ちょっとの仕込み量ですが、将来的には様々なところでドメーヌレゾンさんのワインを見かけるようになるかもしれないですね。


ちなみにドメーヌレゾンさんのワインは、量だけではないのです。初めてこの場所で仕込んだ2019年の3銘柄のワインが、“さくらアワード”というコンクールでいきなり金賞・銅賞を獲得。さらに2024年にはソービニヨンブランが“日本ワインコンクール”の最上位である、グランドゴールド賞も受賞、そして2025年は貴腐ワインが金賞、シャルドネとケルナーが銅賞を獲得するなど、すっかりコンクールの常連ワイナリーとなりました。
写真の右側に写っているのは、製造部の野吾さん。手に持っているのは、ケルナー100%の貴腐ワイン。

自然環境が整った特別な気象条件でのみ収穫することができる貴腐ぶどうは、世界的にも限られた場所でしか収穫できません。ドメーヌレゾンさんの自社圃場はその条件が整っているそうなのですが、北海道で貴腐ワインが出来たのは24年振りなんだそうです!

貴重な貴腐ワインはさすがに試飲できませんでしたが、それ以外のワインはショップでほとんど試飲することが出来ますよ!(運転手が必要ですが・笑)

今回は、大人の富良野旅ということで、テラスでかわいいヤギたちを眺めながら4種類のワインを頂きました!ふらのワイナリーでも試飲しているので、日中からすでにほろ酔いです(笑)

富良野のワイン事情を学んだあとの集大成なディナーでは、8種類もの富良野産ワインを堪能。中にはすでに完売しているワインもあり、そしてなんと、ドメーヌレゾンの貴腐ケルナーもいただくことが出来ました。感無量でしたがすでにほろ酔い状態で、味を確認すべく正気を保つのが大変でした(笑)


そして最終日は、北海道大学内にあります、【北海道ワイン教育研究センター】へ
曾根センター長から、北海道のワインについて学んだ後に、最後のお楽しみが!

ブラインドテイスティング、しかも真っ黒なグラスで!!
人間の視覚からくる味覚って結構大事で、色が分からないと、白か赤かもわからなくなるんです。しかもワインにはロゼもある・・・

結果はなんと、どちらもオレンジでした・・・これはズルい(笑)
このテイスティングは、大人の富良野旅ならではの企画でしたが、北海道ワイン教育研究センターの【ワインテイスティング・ラボ】では、道産ワインの有料試飲を行っておりますので、ぜひ立ち寄ってみて下さいね。

2泊3日の大人の富良野旅、全部で20種類以上の富良野産ワインを飲んだ計算になるのかな(汗)
飲んで分かったのは、富良野産ワインのこれからが、ものすご~く楽しみってことです!!

ふらのワイナリー http://www.furanowine.jp/
ドメーヌレゾン https://domaine-raison.com/

※参考資料 ふらのワイン旅2024

★北海道ワイン教育研究センター【ワインテイスティング・ラボ】
★ふらの旅行

※掲載の内容は取材時(2025年9月)に基づきます。

連載「#ソロ飲みのススメ」
***
文・写真:オサナイミカ(一部、先方提供)
Edit:Sitakke編集部YASU子
***

札幌生まれ・札幌育ちの、アルコールをこよなく愛するアラフィフ、中学生の息子の母。 (株)リクルートが発行する情報誌生活情報サンロクマル(現Hot Pepper)の営業を経て、 2007年よりWEB情報サイトSapporo100milesの編集長として15年間、札幌や北海道の食と観光の情報を 【オサナイミカのつぶやき】を綴り続け、2022年11月からはSAPPORO YARDにて、【オサナイミカが行く!】をスタートしている。

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