【超日周期】赤ちゃんの睡眠を理解するために重要な要素とは?【90分周期で9割の子が本当に眠ってくれる!】
睡眠は体内時計がコントロールしています
おやすみレッスンのポイント
・人の睡眠は1日周期の体内時計「概日(がいじつ)リズム」にコントロールされます
・赤ちゃんは1日に満たない体内時計「超日周期(ちょうにちしゅうき)」にコントロールされます
赤ちゃんの睡眠について学ぶ前に、まずはすべての生物の基本となる体内時計についてお話ししておきましょう。
どうしても睡眠がとれないときに、本当は寝なくても問題ないんじゃないか、そう考えたことはありませんか。実際わたしたちは、極度の睡眠不足でも、歩いたり、しゃべったり、仕事をしたり、さまざまな活動を行うことができます。
その秘密は、脳内の神経細胞のかたまり、「視交叉上核(しこうさじょうかく)」にあります。この神経細胞は体内時計を管理し、ほとんどすべての生物に備わっています。
体内時計は、実はたくさんの時計からできており、ひとつひとつがそれぞれ別の生理機能を担当しています。1年周期の時計もあれば、1か月、1日、あるいは独特の周期をもつ時計もあり、生物学的機能の大半をコントロールしています。
たとえば、性ホルモンの放出をつかさどる体内時計は1年周期ですが、女性の月経や排卵をつかさどる時計は1か月周期です。
こうした体内時計のなかで一番よく知られているのが、大人の睡眠と覚醒のサイクルをつかさどる1日周期の時計、「概日リズム」でしょう。
概日リズムは、朝日を浴びたら、特定のストレスホルモン(アドレナリン、バソプレシン、コルチゾールなど)がでるようにうながして目が覚めるようにはたらきかけ、あたりが暗くなると、今度はメラトニンという別のホルモンがでるようにうながして、目が覚めている状態をおわらせて眠る準備を手伝います。
仕事で徹夜してしまい、疲れているのになかなか寝つけず一睡もできないまま朝を迎えたという経験をしたことはないでしょうか。これらはすべて概日リズムによって起きているのです。
概日リズムは、昼間に活動的になるようプログラムされているため、疲れきっていても、このリズムに逆らうのはかんたんなことではありません。
朝ならば、なおさら大変です。目を覚ましているように、視交叉上核が強い信号を送りだすのですから。
食事の時間や日光など、社会的、環境的なきっかけも、日中の覚醒状態に大きく影響しますが、日がのぼっているあいだに目を覚ましていられるようにするのが、視交叉上核の仕事なのです。
こうした理由から、わたしたちは極度の睡眠不足になっても、日中、起きていられるのです。
さて、先にお話ししたように、体内時計には、概日リズムのような1日周期の時計のほかに、1年周期、1か月周期、1日に満たない周期の時計があります。
赤ちゃんの睡眠を理解するために重要な要素なのが、このなかで1日に満たない周期の「超日周期」という時計です。
概日リズムが未発達のあいだ、赤ちゃんはこのリズムにそって生活しています。
この超日周期が睡眠に深くかかわっていることを利用してNAPSメソッドはつくられています。
【出典】『90分周期で9割の子が本当に眠ってくれる!』著:ポリー・ムーア, 監修:成田 奈緒子