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環境省での“歯がゆさ”が導いた環境経営支援への道。「小さなモデルづくりで社会に大きな変化を」<株式会社エスプールブルードットグリーン 八林公平さん>【東京都千代田区】

ローカリティ!

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株式会社エスプールブルードットグリーン(以下、エスプールブルードットグリーン)は、企業の環境経営をコンサルティングの力でサポートする会社です。環境経営とは、環境問題に取り組み、企業価値を高めていく経営とされています。

昨今、上場企業を中心にサステナビリティな取り組みに関する情報開示が問われています。しかし、環境や気候変動に関しては専門性が高く、CO2 排出量の算出なども必要なため企業自身が情報開示をすることは難しい分野です。そのため、情報開示のフレームワークを熟知しているエスプールブルードットグリーンへのニーズは高まり、2024年7月に「環境経営支援サービス」累計支援社数、500社突破を発表しました。

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ニーズが高まる業界で成長を続けるエスプールブルードットグリーンの取締役社長を務める、八林公平(やつばやし こうへい)さんは環境省の国立公園自然保護官(レンジャー)、本省の地球環境局、北海道下川町の職員を経て、20年にエスプールブルードットグリーンの取締役社長に就任しました。異例の経歴を持つ八林さんに、これまでのキャリアやエスプールブルードットグリーンのこれからの挑戦について伺いました。

環境省に入省、そして北海道下川町へ。行う小さなモデルづくりとは

株式会社エスプールブルードットグリーン、取締役社長・八林公平さん

八林さんは大学卒業後、「自然が好きで自然のそばで仕事をしたかった」と06年に環境省へ入省。レンジャーとして国立公園の管理やエコツーリズムの展開、本省ではカーボン・クレジット取引の制度設計などを行い、自然を守る仕事をしていたと言います。

「自分の好きなことでしたし、やりがいのある仕事でした。しかし、特に現場で仕事をする中で国の制度と地域のあり方に悩むことがありました」と八林さんは話します。全国統一的に制度を作るのが国の役割ですが、地域によっては合わないところもあります。国でやることが本当にダイナミックなのかと、疑問に思うようになったと言います。 

「国は市区町村の集まりだからこそ、一つ一つの自治体で主体的な動きが出てこなければ、国としての動きにならないと思います。そう思うと、地域目線で小さなモデルを作っていきたいと思うようになりました」と八林さんは話します。 

小さなモデルを作るため、環境省の職員から縁もゆかりもない北海道下川町の職員に転職をした八林さん。下川町では、森林資源を生かした産業やエネルギーづくりをテーマに地域活性化に取り組みます。

「下川町で取り組んだことで最も印象的なのは、『一の橋バイオビレッジ』構想です。一の橋は下川町の市街地から10キロほど離れたところに位置し、当時の人口で約100人の集落です。北海道は冬の気温が低く、雪も降ることから熱エネルギーのコストが高いことが課題でした。人口減少やエネルギーコストの課題を解決するうえで、進めたのが「一の橋バイオビレッジ構想」でした。集落に高断熱・高気密な性能で長屋のような集住化住宅やコミュニティカフェ、しいたけの栽培施設を建設し、集住化と木質バイオマスによる熱エネルギーの自給を行いました」と八林さんは当時の取り組みについて話します。 

八林さんが地域住民や自治体職員と取り組んだこの事業により移住者が増加。それまで人口減少に歯止めがかからなかった状態から脱却ができたといいます。そのような成果を残したことにより、下川町に全国各地から視察や講演の依頼が届くようになり、地域活性化の一つのモデルとなりました。

「安心で質の高いサービスを」。支援社数、500社突破の環境経営支援サービスを提供

八林さんは18年に下川町を退職、自身で一般社団法人を設立。その後、これまで培ってきたカーボンクレジットのノウハウや知識、実績を評価され、20年にエスプールブルードットグリーンの取締役社長へと就任しました。

20年秋に政府は、50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。これにより、企業の環境経営への意識は高まり、環境や気候変動に関する情報開示の動きが本格化しました。エスプールブルードットグリーンは豊富な環境経営の知識と安心で質の高いサービスを提供することにより、上場企業を中心とした会社からの信頼を獲得し、24年7月に「環境経営援サービス」累計支援社数、500社突破を発表しました。

八林さんにエスプールブルードットグリーンの強みを伺うと「まず、親会社が東証プライムに上場している株式会社エスプールで基盤がしっかりとしているため、安心感があるところです。そして、我々はチームでクライアントの課題に向き合っており、各人それぞれの特長を束ね、サービスの質を担保しています」と話します。

環境経営支援のノウハウを生かし、企業と消費者をつなぐ動きも

50年までに温室効果ガス排出ゼロの実現に向け、企業が進める気候変動への対策やビジネス展開に対して環境経営支援のパイオニアとして事業を行うエスプールブルードットグリーンですが、八林さんは政府が宣言を出したとしても企業行動が変わらなければ、社会全体として変わらないと言います。

「だからこそ、私たちは企業理念である『地球の青と緑を未来に繋ぐため、世界の企業の事業構造を変革する』の実現のため事業構造の変革まで行っていきたいです。私たちがやっている環境や気候変動に対する情報開示の支援は手段にすぎないです。私たちが行える手段はたくさんあると思うので、これからも挑戦を続けたいです」と八林さんは話します。

その挑戦の一つとして、環境経営の支援を通して企業と消費者をつなぐ動きも仕掛けています。エスプールブルードットグリーンは24年4月、Jリーグと気候アクションパートナー契約を締結したことを発表しました。Jリーグはさらに魅力的になっていくために、パートナー企業とともに人々の気候変動対策への興味喚起と行動変容を目指しており、エスプールブルードットグリーンは再生可能エネルギーやカーボン・オフセットなどの取組みに対する助言支援を行っています。Jリーグへの支援を通して消費者の環境に対するアクションを広げていこうとしています。

企業や消費者の小さな行動一つ一つが社会への大きな動きになっていく。エスプールブルードットグリーンと八林さんの挑戦はこれからも続きます。

※写真はすべてエスプールブルードットグリーン、提供

聞き手:中野宏一、執筆:國府谷純輝

國府谷純輝

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