柔術大会優勝の「ガチで戦える俳優」が大暴れする超残虐アクション!Netflix『ハボック』独占配信中
血煙あがるトム・ハーディ最新作『ハボック』
『ザ・レイド』で一躍その名を轟かせ、同じくNetflixの『アポストル 復讐の掟』などで知られるギャレス・エヴァンス監督の手掛ける映画『ハボック』がNetflixで独占配信中。ピリピリと肌を突き刺すようなスリルが充満し、血の焼けるドス黒いニオイが漂ってきそうなクライム・サスペンスだ。
心に傷を負いながら、街全体を乗っ取ろうと脅かす裏社会と闘っている刑事ウォーカー。とある麻薬取引中に起こった残虐な殺戮を発端に、報復を企む犯罪組織、街を牛耳る有力者、さらには警察仲間など、ウォーカーはあちこちから狙われることに。
そんな中ウォーカーは、旧知の有力者の絶縁状態にある息子を救出しようと奮闘するが、その息子の関わった麻薬取引によって汚職と陰謀の深い闇が暴き出されると、自身の暗い過去とも向き合わざるを得なくなり……。
“ガチで戦える俳優”が汚職警官や犯罪組織と一悶着
トム・ハーディが演じるウォーカーは殺人課の刑事だが危険なニオイがぷんぷんする、どうにも公務員には見えない粗野な男。仕事漬けで家庭を顧みず妻子との関係は破綻しているようで、このへんは刑事サスペンスのお約束だ。しかしハーディが演じればそこにフィジカルな説得力が乗り、“ガチで戦える人”ならではのギラついた存在感でも釘付けにする。
ウォーカーと行動を共にする制服警官チャンを筆頭に、同僚の復讐に燃える麻薬捜査課のヴィンセント、市長の座を狙う不動産王ボーモント、一攫千金のデカいタタキを成功させた若い強盗団など、どこか影を湛えた人々ばかりが登場。スターキャストはハーディとウィテカーだけだが、いつ誰が死んでもおかしくない緊張感で手に汗を握らせる。
血と薬莢で床が埋め尽くされるオーバーキル・アクション
ウォーカーは、いわゆる正義の熱血警官とは正反対の存在で、かなりヤバい過去の過ちと厄介な駆け引き関係を断ち切ろうとしている。善悪の狭間で揺れ動くウォーカーだけでなく、同じ闇を共有する刑事たち、巨大な犯罪組織のゴタゴタに巻き込まれた不良キッズ、それぞれの線がつながり一つの点になっていく。後輩のチャンを見下したような態度を取るのは、過剰にクズい野郎を演じることで彼女を予期せぬ危険から遠ざけとしているように見えなくもない。
そんなウォーカーの関わる先々では関係の濃淡を問わずバンバン人が死んでいき、その描写のエグさはスプラッタホラー並み。エヴァンス監督らしい格闘アクションは封印か? と思いきや、アジア系マフィアが本格的に乗り出してくると、一気にすさまじい集団白兵戦へ。常に銃声が鳴り響き、血が噴き出し脳が飛び散り、そのゴア描写とスタントの凄まじさに口内はカラッカラになる。
本作は苛烈なアクションが続くあまり、誰が何の目的で動いているのか一瞬クラッと見失いそうになるほど。とはいえハーディ以外にもガチの格闘家キャストがいて、UFC的な見どころもアリ。物語が進むにつれてギャレス監督の嗜好が全開になり、悪人たちの追いかけっこの果てにギリギリの駆け引きがピークを迎えるクライマックス……と思いきや、さらにもうひとドンパチ挿れて、予想を超える悲劇的な展開で登場人物たちと同様に観客をグッタリさせてくれるのだった。
Netflix映画『ハボック』独占配信中