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特集は“戦後80年 日々のこと”。第16回「座・高円寺 ドキュメンタリーフェスティバル」が2月7日~11日、『座・高円寺2』で開催

さんたつ

2.I Shall Not Hate 07 - Tal Barda - copyright@Famille Abuelaish

映画・テレビの枠を超えたドキュメンタリーの祭典「座・高円寺 ドキュメンタリーフェスティバル」。第16回となる今回は「戦後80年 日々のこと」をテーマに、2025年2月7日(金)~11日(火・祝)、東京都杉並区の『座・高円寺2』で開催される。戦争の記憶が失われつつある今、ヒロシマ、ナガサキ、オキナワ、原発、在日コリアンの若者たちの記録を通し、“今”と“戦後80年”を地続きに捉え、見つめる機会となる。

それぞれの戦後と向き合う制作者たちがとらえた意欲作ぞろい

第16回目となる今年は、“戦後80年 日々のこと”をテーマに、今につながる“戦後80年”を見つめ直す作品を上映。また、ゲストがそれぞれの視点で選んだゲストセレクションでも、珠玉のドキュメンタリーが上映される。

広報担当の石田さんは、「今回のおすすめの1本は、ワールドプレミアで上映される映画監督・諏訪敦彦さんセレクションの『Appalachian Lenses(アパラチアンレンジズ)』です。1969年からアメリカ・ケンタッキー州で続いている若者向けのドキュメンタリー・ワークショップを撮影した作品で、なかなか知ることの できないディープなアメリカの姿を知ることができます。ワークショップの最中に大洪水に直面し、苦しみながらも希望を見つけようとする若者の姿に心打たれる1本です」と語ってくれた。

戦争、社会、障害、芸術など、さまざまなテーマを掲げる作品はすべて上映後、制作者・関係者らが登壇しトークを繰り広げる。制作者らと同じ空間で作品を共有することで、その魅力に深く触れられ、社会問題について考える契機となりそうだ。

注目のゲスト・セレクション&特集作品

ゲスト・セレクション『Appalachian Lenses』

アメリカ・ケンタッキー州の小さな町のドキュメンタリー・ワークショップでは若者たちが貧困、過疎化などの問題に向き合う。しかし上映会前日に大洪水が町を襲う。2月9日(日)、諏訪敦彦氏×加瀬澤充監督によるトークを開催。

『Appalachian Lenses』加瀬澤充監督/2024年/カラー85分/〈ワールドプレミア上映〉2月9日(日) 16:15~上映/諏訪敦彦セレクション (C)kasezawa。

ゲスト・セレクション『私は憎まない』

3人の愛娘をイスラエル軍による砲撃で殺されながらも、なお共存の可能性を信じ、平和と人間の尊厳を追求するガザ出身の医師イゼルディン・アブラエーシュ博士。決して復讐心や憎しみを持たない博士の赦(ゆる)しと和解の精神は世界中の人々に感動を与えてきた。しかし2023年10月7日以降、彼の信念は再び試されることになる。2月10日(月)、安田菜津紀氏によるトークを開催。

『私は憎まない』タル・バルダ監督/2024年/92分/カナダ・フランス/2月10日(月)19:00~上映/安田菜津紀セレクション (C)Famille Abuelaish。

ゲスト・セレクション『リッチランド』

第2次世界大戦下のアメリカ、マンハッタン計画のもとで生まれた町・リッチランドの知られざる歴史と現在を描いたドキュメンタリー。誕生と発展の歴史をひも解きながら、人々の何気ない日常の背景に、常に原爆が横たわっていた町の姿、そして科学の進歩がもたらした人類の業を、重層的に浮かび上がらせていく。2月9日(日)、金平茂紀氏によるトークを開催。

『リッチランド』アイリーン・ルスティック監督/2023年/93分/アメリカ/2月9日(日)19:00~上映/金平茂紀セレクション (C)2023 KOMSOMOL FILMS LLC。

特集上映『長崎の郵便配達』

「ローマの休日」のモチーフになったと言われるタウンゼンド大佐は、後にジャーナリストとなり、長崎で郵便配達の途中で被爆した谷口少年と出会った。大火傷を負いながらも生還し、生涯を核廃絶にかけた彼を取材し、タウンゼンドは書籍を出版。タウンゼンドの娘、イザベルが父の著書を頼りに2人の想いをひもといていく。2月9日(日)、川瀬美香監督によるトークを開催。

『長崎の郵便配達』川瀬美香監督/2023年/97分/2月9日(日)13:30~上映 (C)The Postman from Nagasaki Film Partners。

特集上映『オキナワより愛を込めて』

沖縄を撮り続ける写真家、石川真生が自身の初期作を語る自伝的ドキュメンタリー。1971年の11.10ゼネストを目撃したことをきっかけに写真家への道を進んだ石川は、日本に復帰したばかりの沖縄で、日記をつけるように写真を撮り続けた。作品とそこにおさめられた人々との物語が歴史や時代背景と共に語られていく。2月11日(火・祝)、砂入博史監督×玉城ティナ氏によるトークを開催。

『オキナワより愛を込めて』砂入博史監督/2023年/101分/日本・アメリカ/2月11日(火・祝)18:00~上映 early elephant film + 3E Ider (C) 2023。

開催概要

第16回「座・高円寺 ドキュメンタリーフェスティバル」

開催期間:2025年2月7日(金)~11日(火・祝)
会場:座・高円寺2(東京都杉並区高円寺北2-1-2 B2)
アクセス:JR中央線高円寺駅から徒歩5分
入場料:前売り一般1500円(当日1800円)、高校生以下1000円(前売り・当日ともに)

※全回日時指定・整理番号付き自由席・前売券の販売は上映の前日まで

【問い合わせ先】
「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」実行委員会☏03-5570-3551
公式HP  https://zkdf.net/

取材・文=前田真紀 ※画像は主催者提供

前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。

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