こうなん災害時協働隊 震災記録の撮影も「無力さ感じた3・11」 MINATO株式会社 坂巻社長語る
港南区が昨年12月に開始した制度「こうなん災害時協働隊」は、災害時に可能な範囲で住民支援に協力すると表明した区内事業所を登録するもの。その中から、特色のある協力内容を登録した事業所を紹介する。上大岡西の保険代理店「MINATO株式会社」だ。
同社が登録したのは「物品提供」や「保険請求のお手伝い」などに加え、「震災記録の撮影」。被害状況を撮影し、まとめた上で要請があれば区にも提出するという。
「撮影は業務の一環です」と話すのは坂巻健一郎代表取締役社長。地震保険では、保険請求時に必ず被害状況を撮影する。社内に溜まっていく写真を、地域に還元する方法として協力内容に加えた。「どのような建物が壊れやすいか、どこが地盤が弱いかなどを記録することはとても重要」と意義を説明する。
根底には東日本大震災の際にボランティアに行った経験がある。「保険屋はお金を払うことはできるが、それ以外のことは何もできない。保険金を払うだけではわびしい。無力さを感じた」と坂巻社長。以降、AEDの使い方や、止血方法など災害時に役立つ情報をまとめた防災マニュアルを関係先などに配布し、地域の防災力向上に寄与しようとしてきた。「(顧客が住む)住宅地が早く復興することは、会社のメリットにもなる」と考えての行動だ。
制度発展のために今後必要なこととして「他の事業所とのつながり」を挙げた。「発災後に事業所同士で言い争いなどが起きれば最悪です。事前に関係を築き互いが何をできるか知っておく必要があります」とコミュニケーションを図る機会を望んでいるという。