上越市「あおき味噌」社長の青木光達さんが黄綬褒章 喜びと意欲「伝統産業残したい」
社会や文化に貢献した人を国が顕彰する2025年春の褒章に、新潟県上越市三和区法花寺の「あおき味噌」社長、青木光達さん(64)が選ばれた。その道一筋に打ち込む人に贈られる黄綬褒章を受章し、「光栄な思い。県内のみそのおいしさを広めたい」と喜ぶ。
《画像:黄綬褒章を受章した青木さん》
青木さんは創業者の父の後を継ぎ、2代目社長を務める。家業を見て育つうちに発酵、醸造に興味を持ち、東北大学農学部で応用微生物学を専攻。大手しょうゆメーカー、キッコーマンの研究所で8年勤務した後、地元に戻り同社で30年以上みそ造りに携わっている。
研究者としての知見を生かし、品質向上やみそだけにとどまらない商品開発に取り組み、全国味噌鑑評会では昨年までに27回連続で入賞。このうち最高賞の農林水産大臣賞を8回受賞し、味、品質共に高い評価を得ている。
《画像:「伝統産業を残したい」と語る》
取引先などの細かなニーズに応え、衛生管理が難しい食塩濃度の低いみそ作りにも挑戦し、30種類100商品を取り扱う。「食の洋風化が進み消費が減る中、時代に合わせて形を変え、伝統産業を残していきたい」と思いを語る。
また県味噌醤油工業協同組合で副理事長や技術部会顧問を務め、技術指導など後進の育成にも力を入れ、2023年には卓越した技術を持つ「現代の名工」にも選ばれている。
5月12日に東京都で行われた伝達式、皇居での天皇陛下拝謁にも出席した。「喜びとともに身の引き締まる思い。消費者に喜んでもらえる商品を作り、業界全体を盛り上げていきたい」と意気込んでいる。
《画像:伝達式会場で記念撮影(青木さん提供)》
褒章は農業や商業、工業などの業務に精励し、他の模範となるような技術を持つ人をたたえる黄綬褒章など、分野別に6種類が定められている。本年度春の褒章は県内から4人が選ばれ、同市からは高坂防災の高坂光一代表取締役も黄綬褒章を受章した。