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歌心りえ『SONGS & HEARTS』インタビュー――「歌は心」をモットーに歌い続ける歌心りえのシンデレラ・ストーリー

encore

シンデレラに、年齢制限はない。1990年代にLetit go(レティットゴー)、2000年代にはSeptemberで音楽シーンに新風を吹き込むも、やがて事務所ともレーベルとも離れ、フリーに。そこから約20年後、日韓共同開催による人気オーディション番組『トロット・ガールズ・ジャパン』の話が舞い込み、<!--StartFragment%20-->数日悩んで締め切り近くなって自分で応募<!--EndFragment%20-->するやファイナリスト入りを果たし、日本代表として『<!--StartFragment%20-->韓日歌王戦<!--EndFragment%20-->』に出演。その歌唱に韓国の視聴者から爆発的な反響が巻き起こり、「雪の華」(中島美嘉のカバー)の動画再生が<!--StartFragment%20-->1,000<!--EndFragment%20-->万回を超えるなど、大ブレイク。さらに日本でも『歌ウマ女王日韓決戦JAPAN ROUND』で凱旋ブレイクして、51歳にしてまさかのメジャー・デビュー。歌心りえのこの偉業を、シンデレラ・ストーリーと呼んでも決して過言ではないだろう。

──51歳でのソロ・メジャー・デビュー、本当におめでとうございます。

「ありがとうございます(笑)」

──まずは、現在の率直な気持ちを聞かせてください。

「自分の人生のシナリオの中で、まさかこんなことが起こるなんて、想像もしていませんでした。本当に奇跡的なことだと思っていますし、感謝しかないです。本当に嬉しいです」

──メジャー・デビューの決め手となった、一連のオーディション番組や歌番組には、どういう経緯で出演することになったのでしょうか?

「まず『トロット・ガールズ・ジャパン』は、知り合いから“こういうオーディションがあるけど、りえなら出来るんじゃない?”って話があったんです。“歌うのは歌謡曲だから”って。歌謡曲は好きですしジャンルに関しては問題ないですけど、“待ってください、私50ですよ”と(笑)。そしたら、年齢は関係ないということだったので、とりあえずそのサイトを見て、しばらく悩んでいて、いよいよ応募締切というタイミングで、改めて自問自答したんです。“やるとしたら、50歳でなんのために?”って。そこで、約30年くらい続けてきた歌を、どこかしら評価してもらえて、何かしら言葉をもらえるのであれば、それがきっと糧になって、今後の人生をよりよいものにしてくれるんじゃないかな?って思えたので、挑戦してみようと」

──なるほど。

「その決勝が終わって、“ああ終わった〜”と思っていたら、“韓国の番組に出演しますよ”という話になったんです。選抜メンバーの中に、私も入っているからと。それが『韓日歌王戦』です。韓国には、向こうの現役の歌い手さんが集まってバトルする『現役歌王』という番組があるんですけど、そのトップ7の人たちと、オーディションで勝ち上がってきた私たちが対決するというのが『韓日歌王戦』なんです」

──つながっているんですね。

「そうなんです。その『韓日歌王戦』の視聴率がとても高かったので、スピンオフ番組として『韓日トップテンショー』、さらに日本に舞台を移しましょうということで『歌ウマ女王日韓決戦JAPAN ROUND』という流れです」

──今、振り返ると、どのような経験でしたか?

「Septemberの頃に『冬のソナタ』の主題歌「<!--StartFragment%20-->冬のソナタ~最初から今まで~<!--EndFragment%20-->」や挿入歌「My Memory」をカバーさせてもらっていましたし、韓国映画『私の頭の中の消しゴム』の<!--StartFragment%20-->テーマ・ソングを日本語公式カバーソングとして<!--EndFragment%20-->「A momento to remember」も歌わせてもらっていたので、“韓国に縁があるな”とは感じていたんですけど、こういう未来が待っていたとは、ビックリです。当時は実際に韓国に行く機会もなかったのに、このタイミングで20年越しに実現して、“韓国にやっと行けた!”という感じでした」

──異例のビクターとエイベックス、2レーベルから違うアルバムを同時リリース、という形でのメジャー・デビューは、どのように実現したのでしょうか?

「エイベックスさんに関しては、ディレクターさんが私の主人と同級生だったこともあって、私がずっと“NHK紅白歌合戦に出演するのが夢だ”と言っていたことを知ってくださっていて、ありがたいことに“一緒に目指しましょう”と、お声かけいただいたんです。それと同じくらいのタイミングで、ビクターさんからも“CDをリリースしませんか?”というお話をいただきまして、“あら!? お話がふたつ来ちゃいましたけど”っていう(笑)。そこで、“ぜいたくなお話なんですけど、同時とは言わないまでも、それぞれでリリースさせていただくことは可能なのでしょうか?”とお聞きしたところ、2社さんで話し合いをしてくださって、同時リリースできることになりました」

──2枚同時リリースのアルバム、『SONGS』と『HEARTS』は、どのように選曲して2枚に振り分けたのですか?

「ビクター盤の『SONGS』は、ディレクターさんの意向で、韓国で動画を観られている方が慣れ親しんでいる楽曲が中心です。そこに「メロディー」、「木蓮の涙」、「たそがれマイ・ラブ」を加えさせていただきました。私も大好きで、皆さんも聴き馴染みがありそうな楽曲ばかりで、過去から現在までの歌心りえという感じです。エイベックス盤の『HEARTS』は、2000年代を中心に好きな曲をディレクターさんとピック・アップして、決めていきました。好きだけど歌ったことがない曲も多かったので、新鮮な気持ちと挑戦という気持ちで歌っています。だから、歌心りえのこれから、未来形というアルバムになっていると思います」

──『SONGS』には、りえさんのオリジナル曲も収録されていますね。

「そうなんです。「ふたりのバースデー」は韓国の方が曲を、日本人の作家さんが歌詞を書かれたのですが、私自身も作詞に関わらせていただきました。日韓の架け橋になる楽曲にしたいという想いで、作り上げた1曲です。「おかあさんのうた」は、私がずっと歌い続けてきた楽曲です。ディレクターさんがすごく気に入ってくださって、収録することができました」

──そして『HEARTS』のほうには、Letit goの「200倍の夢」のセルフカバーが収録されています。

「これは自分でも驚きました。“収録してくれるんですか!?”と(笑)。とても嬉しかったです。50歳なりにリフレッシュした「200倍の夢」になっています(笑)」

──2枚とも、原曲の素晴らしさ、メロディの美しさ、言葉の響きのきれいさが、ダイレクトに伝わってくるアルバムになっていて、これぞまさしく“歌心”だなと実感しました。

「ありがとうございます。『SONGS』に収録している楽曲は、動画も含めて、番組をたくさんの方が観てくださっているので、その時のステージをフラッシュ・バックさせながらレコーディングしました。でも、思い返すことはできても、マイクを前にして同じようなテンション感はなかなか出せなかったです。それでも、自分が味わったあの感動は伝えたかったので、とても難しかったです。それならその時の音源を使えばいいのか?といえば、それもまた違いますし…。なので、自分なりのベストを尽くしました」

──『HEARTS』に収録している楽曲のレコーディングにも、また別の難しさがあったりしたのですか?

「例えば、大塚愛さんの「プラネタリウム」は、昭和世代の私からすると“ここで言葉が切れるの?”ってなるんです。聴いている分には、とても気持ちいいんですけど、いざ自分で歌うとなると違和感があって…。でもそこでブレスしないと歌いきれないですし、言葉が羅列されていくので、自分の表現方法をどうしたらいいのかな?って。かつ、オリジナルの世界観は崩したくないですし。私は常に、自分で画が見えていないと伝わらないと考えているので、自分の今の世代感覚で歌うのか、ちょっと下げる感じで歌うのかとか、ディレクターさんと相談しながら、自分の中でイメージをいろいろ変えながら落とし込んでいきました」

──難しい作業ですね。

「『SONGS』の「恋人よ」も、メロディをリズムに乗せるのがとても難しくて、“五輪さんって、すごいことをやっていらっしゃるな”って、改めてわかって勉強になりました」

──一方で、お国訛りや方言が楽しくも感動的な「おかあさんのうた」は、完全にご自分の色という感じですか?

「そうです、そうです(笑)。母親にいつも言われていたようなことを、栃木の方言のまま自分で言っています(笑)」

──「ふたりのバースデー」は、お子さんへのラブレター的な?

「そうですね。作詞家さんが書いてくださったものに、自分のエピソードとして、娘の登下校のタイミングで私がいない時も多くて、いつも置き手紙を書いているので、そういうこととかを加えさせていただきました」──2枚のアルバムに、ご本人が望むことはありますか?

「日本には名曲がまだまだたくさんあるので、伝道師といったらおこがましいですけど、そういう立場にならせてもらえるのであれば、私なりに歌わせていただきたいと思っています。今回の2作品で、若い世代の方にも“ああ、こんないい曲あるの?”と思っていただけたり、それこそTikTokでリヴァイバルしたり、そういうふうになってくれたら嬉しいです。日本のみなならず韓国の方や、他の国の方にも、まだ聴いたことのない日本の素晴らしい楽曲が伝わっていってくれたら、さらに嬉しいです」

──『SONGS』、『HEARTS』に続くアルバムにも、期待できそうですね。

「ディレクターさ〜ん!(笑)。でも本当に、今年は日韓国交正常化60周年記念、そして昭和100年記念という節目の年でもあるので、素晴らしいタイミングでリリースさせていただいたと思っています。2枚揃って歌心りえだと思っているので、どちらのアルバムも聴いていただきたいですし、懐かしく思う世代…私と同世代の方とかは、聴いていただくと、ふと思い出が心の引き出しから溢れてくると思うんです。そうやって昔に帰っていただいても嬉しいですし、一緒に歌っていただけたりしたら最高です。私が心を込めて歌った曲が、誰かの心に寄り添えるものになってくれたらと願っています」

──そして6月中旬からは、その名も『Sing A Soul』と銘打たれたリリース・ツアーが開催されます。

「キャンペーンとか、単発のライブは経験があるんですが、ツアーというのは人生初なんです(笑)。はじめましての方にたくさんお会いできることを考えると、もう楽しみでしかないですし、元気に会えるように体調を整えて、1公演1公演を楽しみたいです。さっきも言いましたけど、好きな曲があったら、ぜひ皆さんにも一緒に歌ってもらいたいです」

──新たな夢や、目標などはありますか?

「親孝行も全然できていなかった私ですが、こういうことになって、82歳になる母が本当に喜んでいて、毎日のようにアルバムを聴いてくれているんです。そういう意味でも、夢の夢のまた夢ですけど、『紅白』に出演出来たら故郷の栃木への恩返しにもなるので、諦めずに目指し続けたいと思います」

(おわり)

取材・文/鈴木宏和

RELEASE INFORMATION

2025年4月2日(水)発売
VICL-66056/3,500円(税込)
Victor

歌心りえ『SONGS』

2025年4月2日(水)発売
AVCD-63705/3,500円(税込)
avex trax

歌心りえ『HEARTS』

LIVE INFORMATION

6月14日(土) 栃木県下野新聞 宇都宮文化会館
6月15日(日) 愛媛県八幡浜市文化会館ゆめみかん(愛媛県八幡浜市制施行20周年記念)
6月25日(水) 東京都<!--StartFragment%20-->せたがやイーグレットホール<!--EndFragment%20--> (バースデー&活動30周年記念)
7月12日(土) 茨城県神栖市文化センター
7月19日(土) 大阪府浪切ホール
7月21日(月・祝) 新潟県糸魚川市民会館
9月1日(月) カナモトホール(札幌市民ホール)
9月21日(日) 兵庫県たつの市赤とんぼ文化ホール

SONGS&HEARTS 発売記念ソロライブツアー『Sing A Soul』

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