もじゃもじゃの顎ヒゲが生えた魚<ヒゲダイ> タイではなくイサキの仲間&味も良い?
「ヒゲのある魚」といえば何を思い浮かべますか?
ナマズやゴンズイ、ヒメジなど様々な魚が挙がると思いますが、「ヒゲダイ」という名前がパッと出てくる人は多くないでしょう。
筆者はダイビングを始めるまで、ヒゲダイという魚を知りませんでした。それもそのはず、食用としての利用が少ないことから漁獲量は少なく、また、釣りの対象にもなりづらい魚です。
実際、私は毎週のように市場に行っていますが、その姿をほとんど見たことがありません。
希少価値も高いヒゲダイ
ヒゲダイの最大の特徴は、名前の通り“ヒゲが生えているように見える”こと。ナマズやゴンズイなどと違って、数本の長いヒゲが生えているのではなく、もじゃもじゃの顎ヒゲが特徴的です。
写真ではわかりづらいですが、人間のヒゲとは違い、少し太いです。近くで見るとヒゲのようには見えません。
体色は黒っぽく、クロダイによく似た色合いをしています。
「ヒゲダイ」だけど、イサキの仲間?
「タイ」と名前がつきますが、ヒゲダイはイサキ科に分類されている魚です。
私は食べたことがないのですが、イサキの仲間だけあって、とても美味しい魚だそうです。
市場にも並ぶことがめったにない魚なので、市場で見かけたらぜひ購入して食べてみたいですね。
ヒゲダイとの出会い
普段は岩場の下に隠れて生活しています。イサキのように夜行性なのでしょうか。
ダイビングで観察したときには、あまり動かない姿が印象的でした。もちろん近寄りすぎたら逃げますが、撮影するために少し近づいても逃げません。
私が撮影した写真では、仲良く2匹が岩陰で休む姿が写っています。この写真を撮影したのは昨年の夏。産卵期と重なるため、「つがいの2匹かな」と考えながら撮影していました。
ヒゲダイは日本固有種。生息域は狭く、主に伊豆諸島や小笠原諸島、福島県から九州南岸の太平洋沿岸部、瀬戸内海や有明海など、主に日本の温暖な地域で見ることができます。生息域が狭いことから漁獲量も少なく、希少なのでしょう。
私がヒゲダイを撮影したのは日本海ですが、太平洋側でも観察することができますヒゲダイの観察を目標にダイビングをしてみるのも楽しいかもしれません。
また、市場で見かける機会も少ない魚です。もし市場で見かけたらぜひ購入してみてくださいね。
(サカナトライター:ポンた)
参考文献
井田齊、朝日田卓、松浦啓一、藍澤正宏 、岩見哲夫(2010)、小学館の図鑑NEO 魚、小学館
【京都大学白浜水族館だより】ヒゲダイとヒゲソリダイの学名由来「ヒゲダイ」-エコチル