海軍のごちそうメニュー「フーカデンビーフ」とは? 木更津市内の9店舗で復活した「海自」フーカデンビーフカレーを実食してみた!
海軍の代表的な洋風料理「フーカデンビーフ」をご存じですか?
2024年7月から、木更津市でフーカデンビーフを使った「木更津「海自」フーカデンビーフカレー」の提供が始まりました。2024年9月現在、市内9つの認証店で、各店工夫を凝らしたフーカデンビーフカレーを食べる事ができます。
今回、気になるフーカデンビーフカレーの味や、誕生の背景、木更津市と海軍の歴史などをご紹介します!
「フーカデンビーフ」復活と「フーカデンビーフカレー」誕生秘話
「フーカデンビーフ」。聞きなれない料理名ですが、誕生したのは旧海軍時代と歴史は深く、明治41年(1908年)に発刊された海軍の料理参考書「海軍割烹術参考書」に玉子をひき肉で包み蒸し焼きにした、現代で言うミートローフに近い料理と記載されています。
誕生以来、フーカデンビーフは明治から昭和まで、時代ごとにさまざまな調理法で海軍将兵の舌を楽しませてきましたが、近年はメニューからその姿を消していました。
第二次世界大戦前から海軍航空隊が所在し、現在も陸・海・空の自衛隊が所在する木更津市。市の担当者は、「木更津の町おこしや、自衛隊に興味を持ってくれるきっかけになるのでは」と、フーカデンビーフを復刻させることを考えました。
しかし、残っているフーカデンビーフの資料は料理の説明のみで写真やレシピなどはありません。
そこで市は、海上自衛隊と相談しながら令和のフーカデンビーフを作り上げました。
航海中に曜日感覚を失わないよう、海上自衛隊で毎週金曜日にカレーを食べるのは有名な話。カレーがメニューに取り入れられたのも明治時代で、健康効果を期待してイギリス式のカレーをメニューに導入したのだそう。海上自衛隊が創立された後、週末の土曜日にカレーを提供していましたが、週休2日制が導入されてからは金曜日がカレーの日になりました。
今回復刻したフーカデンビーフは1カ月に1回程度、海上自衛隊航空補給処内で提供されるカレーにトッピングして出され、隊員には「ハンバーグにくるまれたような卵が、特においしい」と好評なのだとか。
2024年7月から、フーカデンビーフをトッピングした「木更津「海自」フーカデンビーフカレー」を、木更津市周辺の認定店で食べられるようになりました。「木更津「海自」フーカデンビーフカレー」は自衛隊で出されるカレーそのものではなく、認証を受けた各店舗が、それぞれ個性を生かしたメニューにして提供しています。
フーカデンビーフカレーが食べられる木更津市の認証店9店を紹介
木更津「海自」フーカデンビーフカレーには以下の条件が設けられており、全てクリアしなければ名乗ることができません。
1)カレー「ライス」であること。カレールーのレシピは問わないが、可能な限り木更津産の材料を使用すること
2)フーカデンビーフを使用すること
3)木更津市産業・創業支援センター「らづ-Biz」にメニューの確認を受けていること
4)海上自衛隊航空補給処にメニューの確認を受けていること
では4つの条件をクリアした、市内9つの認定店をご紹介しましょう!
(1)Addition
「木更津のスパイス王子」が作るフーカデンビーフカレーは、鰹、鶏から出汁を取ったタマネギたっぷりのカレーと、牛100%のうずらフーカデンビーフ。幅広い世代が美味しく食べられるよう辛さを抑えている他、小麦粉ではなく米粉を使用しているので、小麦アレルギーの方も安心して食べられます。
Addition
住所/千葉県木更津市新宿1-18
営業時間/(月火水)午前11時~午後6時
(金土日)午前11時~午後6時・午後7時~午前12時
定休日/木曜日・不定休
駐車場/店舗前7台 第二駐車場あり
問い合わせ・予約/050-8883-6449
ホームページ/https://aboutme.style/addition
(2)Curryshop Classic
2019年にスタートし、2023年からキッチンカーの営業を始めたCurryshop Classic。数十種のスパイスと野菜・果物が溶け込んだオリジナル欧風カレーソースに、牛豚合挽肉にスパイスを配合したフーカデンビーフを添え、濃厚な味わいに仕上げました。
Curryshop Classic
Instagram/@curryshop_classic
Facebook/https://www.facebook.com/p/Curryshop-Classic-100075961661322/
木更津市を拠点に出店。出店場所やイベント出店などはインスタグラムやフェイスブックにて告知
(3)木更津ワシントンホテル レストラン「ボンサルーテ」
カレー粉で風味をつけたオリエンタルライスに、香味野菜多めのクラシカルな欧風調ビーフカレーの相性は抜群。フーカデンビーフをカットすると中から黄身が流れ出し、スパイシーなカレーがまろやかに! 木更津ワシントンホテル宿泊者以外の方も利用OKです。
ボンサルーテ
住所/千葉県木更津市大和1丁目2-1木更津ワシントンホテル内2F
ランチタイム営業時間/午前11時30分~午後2時30分(LO午後2時)
※フーカデンビーフカレーコースはランチのみ
※土日祝、ビュッフェ期間中は提供なし
定休日/なし(カフェは月曜定休)
駐車場/約100台 レストラン利用で2時間無料
問い合わせ・予約/0438-42-1116
ホームページ/https://kwhbonsalute.jp/
(4)たこ焼きしらんけど
大阪九条出身のスタッフが手掛けるたこ焼きが人気の「たこ焼きしらんけど」。ペースト状にした食材やトマトを使用した酸味のあるオリジナルカレーに、あめ色玉ねぎ入り合挽肉でうずらの卵を包んだフーカデンビーフを添えました。たこ焼きスープとたこ焼きソーストッピング付き!
※現在フーカデンビーフカレーは準備中。提供開始はインスタグラムにて告知します
たこ焼きしらんけど
住所/千葉県木更津市東中央2-10-17
営業時間/(水・木・金)午前11時30分~生地がなくなるまで
定休日/月曜、火曜、不定休
駐車場/なし
電話/0438-80-8476
Instagram/@Cpe5inPPamo
(5)Gather
「たこ焼きしらんけど」のキッチンカー部門「Gather」のフーカデンビーフは、あめ色に炒めた玉ねぎ入り合挽肉でうずらの卵を包んだもの。さまざまな食材をペースト状にしたカレーには、トマトを使用し酸味をプラス。フーカデンビーフとオリジナルカレー、サラダをワンプレートに盛り付け、それぞれ美味しい素材を混ぜて「味変」する楽しみ方も。
※現在フーカデンビーフカレーは準備中。提供開始はインスタグラムにて告知します
Gather
Instagram/@gather_kitchencar
出店場所やイベント出店などはインスタグラムにて告知
(6)舵輪
メニューの主役は地域の食材。千葉県産牛肉と野菜が溶け込んだ旨味をたっぷりと感じられるオリジナルカレーに、半熟卵を木更津の恵みポークと千葉県産牛の合挽き肉で包んだフーカデンビーフを添えました。フーカデンビーフにナイフを入れると卵がトロッと出てきて楽しい!
舵輪
住所/千葉県木更津市富士見3-5-14
営業時間/1階食堂カフェ 午前10時(日/祝のみ午前8時30分)~午後7時
※フーカデンビーフカレーは1階食堂カフェでの提供
定休日/なし
駐車場/あり。鳥居崎海浜公園駐車場
問い合わせ・予約/0438-38-3488
ホームページ/https://www.darin-kisarazu.com/
(7)コーヒーショップ&レストラン トルー文京店
フレンチ出身のシェフが腕を振るう、1975年創業の老舗喫茶店トルー。創業時より人気の「ハンブルク風ハンバーグステーキ」のパテに、ゆで卵を入れたフーカデンビーフは欧風カレーとの相性もバッチリ! ぜいたくに厚切りベーコンを添えました。サラダ、スープ、コーヒー付き。
コーヒーショップ&レストラン トルー文京店
住所/千葉県木更津市文京2-4-5
営業時間/午前10時~午後9時
※2024年9月現在営業時間を午後6時までに縮小中
定休日/月曜
駐車場/あり 20台
問い合わせ・予約/0438-23-7672
(8)HARBOR NICE DAY!
「HARBOR NICE DAY!」は鳥居崎海浜公園内にあるフードコートカフェ。フーカデンビーフには地元豚肉と牛タンの合挽き肉とラーメン屋仕込みの味玉を使用し、スパイシーなカレーにも地元豚肉を使用しています。とろーり玉子と肉の食感のコントラストを楽しんで。
HARBOR NICE DAY!
住所/千葉県木更津市富士見 3-5-9 A3 1F
営業時間/午前11時~午後9時30分(LO午後8時30分)
定休日/なし
駐車場/あり。鳥居崎海浜公園駐車場
問い合わせ・予約/0438-38-5015
ホームページ/https://kafka.co.jp/shop/harbor-nice-day
(9)Flamingo
千葉県内を拠点に活動するキッチンカー「Flamingo」。見て、食べて楽しいフーカデンビーフカレーにこだわり、カレーはワンプレートに2分割して盛りつけ。木更津海上自衛隊航空補給処のカレーをリスペクトしてレンコン・ポテトの素揚げを添えました。フーカデンビーフは食感の良いレンコン入り。
Flamingo
Instagram/@flamingo.2555
出店場所やイベント出店などはインスタグラムにて告知
いざ実食!フーカデンビーフカレー
フーカデンビーフカレーについて知れば知るほど、どんな味なのかが気になりますよね。そこで今回、認証第1号店「舵輪」のフーカデンビーフカレーを食べに行ってきました!
鳥居崎海浜公園にある「舵輪」は1階がペット同伴可のテラス付き食堂カフェ、2階が夕日と富士山が望めるレストラン。フーカデンビーフカレーは1階のみでの提供です。
おしゃれな店内で、念願のフーカデンビーフカレーをオーダー!
カレーの海に浮かぶライスのわきに、存在感抜群のフーカデンビーフがどどん!と乗っています。
船の形をした切り抜きにんじんや旗もかわいい。何年も食べていないお子様ランチを思い起こさせ、なんだかウキウキしてきました。
気になるフーカデンビーフの中身…、見たいですよね?
スプーンで割ると、中から卵の黄身がとろ~り!
玉子をひき肉で包んで蒸し焼きにしたのに、黄身を固めずに提供できるってすごい技術!
「中まできちんと火を通しつつ、加熱しすぎない温度管理がポイントで、玉子のトロトロ加減が一番のこだわりポイントです」と語るのは、舵輪代表の野口さん。
噛みしめるとがっつりした肉感で食べ応え抜群! それもそのはず、フーカデンビーフには木更津産・惠みポークに千葉県産牛肉の合いびき肉と、厳選した食材を使用しているのです。
カレーは一見シンプルですが、こちらにも玉ねぎ、にんじん、りんごなどのさまざまな野菜や果物、千葉県産牛肉がペースト状になってたっぷり入っています。
辛みはマイルドで後味は爽やか。聞けばクミンやカルダモンを多めに配合したオリジナルスパイスを使用しているのだそう。
「舵輪ではもともとカレーライスも提供していますが、フーカデンビーフカレーのために新たにカレーを開発しました。『海自カレー』と聞きイメージしたのが【海】や【船】。きっとこれらが好きであろうお子さんにも食べてもらいたいと辛さ控えめに作りました」と野口さん。
辛さが控えめな分カレーのうまみが存分に味わえ、大人も十分満足できる味わいに仕上がっています。カレーをシンプルにしたのはフーカデンビーフとカレー、それぞれの味を楽しんでほしいから。食べ進めるうちにフーカデンビーフの肉感と黄身のまろやかさ、カレーのさわやかな辛みが一体となり、味がどんどん進化していきました。
野口さんに、なぜ今回木更津「海自」フーカデンビーフカレーの認証を受けることにしたのかを尋ねました。
「舵輪は鳥居崎海浜公園という地域の施設内にあるお店です。公園は街のものでありシンボルでもあるので、その中で営業する私たちも地域貢献のために協力したいと考えたんです。木更津は大型商業施設などで注目されることが多くなりましたが、駅を中心とする市街地についてはあまり知られていません。駅周辺にも木更津らしい楽しいお店やスポットがあるんだよ、という事を味で発信していきたいですね。そのためには自分たちだけで満足してはいけないと思っています。『木更津「海自」フーカデンビーフカレーを、ここから波及させていく』という責任を感じています」。
「木更津「海自」フーカデンビーフカレー」に設けられた厳しい条件は、これを食べれば地域の食材を満喫できるという信頼の証でもあります。旅の目的は多々ありますが、その場でしか食べられない味と出会うのも立派な目的。今後、市ではフーカデンビーフカレーのスタンプラリーも企画しているのだとか。木更津で誕生した新しいご当地グルメを体験に、足を延ばしてみてはいかがでしょうか?