見附の「面白い」が見つかる発着点。「TERMINAL」でちょっと特別な日常を。
見附駅を出てすぐの「角屋旅館」の2階に、おしゃれで足を運びたくなるようなスポットが誕生しました。「TERMINAL」という名前のこの場所ではアーティストの作品展や食を楽しむPOPUPなど、帰り道にちょっと寄りたくなるようなイベントが開催されています。今回は発起人の木村さん、立ち上げから運営に携わっている橋本さん、高橋さん、いな田さん、R.MUTTさんにお話を聞いてきました。
木村 祐太 Yuta Kimura
魚沼市出身。9年前から見附に住みはじめる。NPO法人「doみつけ」の代表として、中高生の拠点づくりに取り組む。また、地場産業の織物やニットの残布を活用する新たな活動にも挑戦中。
Optical Inada 稲田眼鏡店
いなだ ひろ志 Hiroshi Inada
見附市出身。高校卒業後、都内の音楽系専門学校へ進学。後にアパレルショップでの出会いをキッカケに眼鏡職人の道へ。実家である「稲田眼鏡店」の3代目。
R.MUTT
見附市出身。高校卒業後アパレルショップでの勤務を経て、面白そうな種をさがして活動を行っている。現代アートをこよなく愛し、時間があれば展示会などに国内外問わず足しげく通っている。
株式会社 Vif
橋本 龍幸 TatsuyukiHashimoto
見附市出身。住宅や店舗の設計・施工、リフォームを行う「株式会社 Vif」を2019年に立ち上げる。「TERMINAL」の内装を手掛け、同所でインテリア雑貨の販売も行っている。
Liberty Furniture
高橋 拓也 Takuya Takahashi
長岡市出身。建築業に携わる傍ら、レジンと木材を使用した家具の制作をしている。「TERMINAL」内では時計やボード、テーブルなど高橋さんの作品を見ることができる。
見附駅前に、大人のための場所を。
――「TERMINAL」として活動をはじめたのは2024年なんですね。
木村さん:昨年の9月から本格的に活動をはじめました。今は不定期でPOPUPイベントを開催しています。
――この場所を作るきっかけはどんなものだったのでしょうか?
木村さん:もともと僕は見附駅前で高校生の拠点づくりをしているんですけど、あるとき大人が集まれる場所もほしいなって思ったんです。民間が運営する大人の居場所があればいいなと思っていたとき、ちょうど「角屋旅館」の2階が空いたので、思いきって作ることにしました。
――はじまりは木村さんからだったんですね。他の皆さんとは、どんなつながりがあったのでしょうか。
いなださん:最初は木村さんが僕のお店にお客さんとして来て知り合いました。話をしていくうちに仲良くなって、「秘密基地みたいな場所をつくりたいよね」 なんて話を2年前にしていたんです。そこから一緒に業者さんを探したり、物件を見たりしたんですよね。
R.MUTTさん:僕は以前から知り合いだった、いなださんからの紹介で木村さんと知り合いましたね。
木村さん:「Vif」の代表の橋本さんは僕から声をかけさせてもらいました。1回しか会ったことなかったんですけど、この場所を作るならどうしても建築のお仕事をされている方が必要で、口説きましたね(笑)。橋本さんの紹介で「Liberty Furniture」の高橋さんと知り合うことができたんです。
高橋さん:初めて会ったときに木村さんと2時間くらいずっと喋りましたね。そのときに、これは面白いと思ってこの活動に参加させてもらうことにしました。
――「TERMINAL」の活動に対して、みなさんはどんな思いを持っていたのでしょうか?
いなださん:駅前でやるって聞いたとき、すごくいいなって思ったんです。地方は車中心の生活だから駅に馴染みがない人もいると思うんですけど、私自身、駅は街の窓口っていう意識が強いんです。駅前がにぎやかになるなと、即決で乗っかりましたね。
R.MUTTさん:見附ってお店がないわけではないんですけど、つながりや活気がないって前から思っていて。木村さんからお話をもらったときは、この状況が変化して面白くなりそうって思いましたね。
高橋さん:僕は出身は見附ではないんですけど、見附の高校に通っていたのもあって、身近に感じていました。橋本さんが声をかけてくれたので、安心して乗っかることができましたね。
――このメンバーの中で、なにか役割って決まっているのでしょうか……?
木村さん:じつは決まったものはないんです。役割にとらわれるよりも、自分たちの好きなものを持ち寄って、それを掛け合わせてやっていけたら面白いかな、と思っているので。
――なるほど。
木村さん:見附に住みはじめて活動していく中で、僕らと同じ世代の人たちでも「こんなの欲しい」って言ってるだけだなって思ったんです。遊びの範囲でもいいから自分たちがやれることをやれる範囲ではじめたいと思ってこの活動をはじめました。それもあって「TERMINL」は何かが新しくはじまる場所っていうコンセプトにしているんです。
見附をもっと面白く。「TERMINAL」のこれから。
──「TERMINAL」っていう名前は?
木村さん:「Terminal」っていう言葉はそのまま調べると「終着点」という意味ですが、実はよく調べると「発着点」っていう意味もあるんです。終点の駅から始発の電車は出ますからね。たどり着いて、またどこかに向かうみたいな意味も込めてつけました。
――ところで、先日ここでPOPUPのイベントが開催されたと聞きました。
R.MUTTさん:友人とともに立ち上げた、クラフトレモンサワーを主に作っているプロジェクト「YOI YOI」のイベントを行いました。長岡の「みんなのハム」さんの生ハムと一緒にクラフトレモンサワーを楽しんでもらったんですよ。
木村さん:「YOI YOI」さんのつながりで、長岡のドーナツ屋さんと一緒にイベントができたりしたんです。今後もメンバーのつながりから、いろんなイベントを展開していけたらいいですね。
――イベントは平日に開催されることが多いんですね。
木村さん:見附駅は平日だいたい4,000人に使われているんです。学生はもちろん、社会人の人もいるので、夕暮れ時にふらっと寄り道してもらいたくて平日に開催しています。
――「TERMINAL」としてイベントをはじめられて、どんな思いを持っているのでしょうか。
R.MUTTさん:面白いと思ったものをとりあえずやってみよう、くらいで、何かをあんまり意識していないですね。
いなださん:僕もそう。でもこれは現時点の強みでもあると思うんですよ。イベントをはじめたときも、ガチガチに準備してはいなくて世間話の延長からはじまったんです。話の中で面白いと思ったものが具現化できるスペースって感じですね(笑)
――その温度感がちょうどいいんですね。今後の目標を教えてください。
いなださん:遠くから人を呼んだとして、駅の改札を通った後見た景色がその街の印象になると思うんです。今までは駅前が暗くて寂しかったんですよ。でも「TERMINAL」ができて駅前が明るくなったので、それはとてもいいことだなと。ここは自分自身がつながる場所でもあるし、いろんな出会いのきっかけになってもらえたらいいですね。
高橋さん:ここにいるメンバーのやりたいことができたらいいですよね。ここのコンセプトはすごくちょうどいいと思うんですよ。僕は作品もつくっているので、もっといろんな人に作品を知ってもらえる機会を「TERMINAL」で増やしていきたいですね。
橋本さん:見附っていまいち盛り上がらなくて、駅もあまり注目されていないなって思っていたんです。ここに住んでいる人も、あまり関心がないような気がしていて。でも、これからは「TERMINAL」が見附の人に関心を持ってもらうための場所になってほしいなと思います。
R.MUTTさん:ここをきっかけに、見附に来たくなるような、住みたくなるような街に発展していくための種まきをしていきたいですね。
木村さん:大きな目標かもしれないんですけど、将来的に見附駅前に街ができたらいいなって思っています。僕らのやっていることを面白いと思ってくれる人が同じように、この駅前で「好きなこと」をはじめてくれたらうれしいですね。そこを目指して、まずは面白いと思えることを無理なく届けていって、それに共感して「TERMINAL」に集まってくれる人の輪を広げていきたいですね。今後の見附駅にぜひ注目してください。
TERMINAL
見附市本所2-5-28 角屋旅館2階