海渡る千羽鶴 節目の10年 肥沼博士を縁に日独友好
第二次世界大戦後のドイツで伝染病患者の治療に尽力し、多くの命を救った八王子市出身の医師・肥沼信次博士。命日(3月8日)には同国ヴリーツェン市で毎年、慰霊祭が催されている。市民団体「Dr.肥沼の偉業を後世に伝える会」(塚本回子代表)では慰霊祭の日に博士の墓前に供えてもらおうと、10年前から市民が折った千羽鶴を市役所を通じて現地へ送り続けている。今年も2月7日に学生らと市役所を訪れ、初宿和夫市長に約4000羽の千羽鶴を手渡した。
偉業浸透に貢献
送られる千羽鶴は、博士の母校である第三小学校、ヴリーツェン市内の学校と姉妹校提携を結んでいる八王子学園八王子中学校・高等学校、四谷中学校の児童と生徒、市内の介護施設の利用者らが心を込めて折ったもの。八王子学園は富士山をイメージしたものを制作した。メッセージも添えられ、「(両市の)友好と平和を願い折った。ヴリーツェンのことをもっと知りたい」「私も博士のように人を助ける仕事をしたい」など子どもたちの思いが日本語とドイツ語で綴られている。
初宿市長は「お預かりした千羽鶴を、しっかりと現地へお届けします」と笑顔で応じ、「10年にわたる皆様の活動が、市民が肥沼氏の偉業を深く理解することにつながっている」と同会に感謝を述べた。塚本代表は「この10年で肥沼博士の偉業を少しずつでも市民に浸透することができた」と手応えを語り、「活動に協力して頂いた皆様に感謝し、これからも心の交流を続けていきたい。若い人には、ぜひヴリーツェン市を訪れてもらえれば」と願っている。