潮干狩り場で採れる貝はほとんど養殖モノ 天然貝を採りたい時はどうすればいい?
潮干狩りの人気ターゲットであるアサリ。実はいまや天然物を獲るのはなかなかの難易度です。
潮干狩り場の貝は「養殖貝」?
春の陽気に水もぬるみ、いよいよ潮干狩りのハイシーズンになりました。各地の潮干狩り場も開場し、週末には「何キロ獲れた!」というニュースが聞こえてきます。
全国各地でアサリの不漁が伝えられる中、潮干狩り場の取れ高のニュースはとても景気が良く見えますが、これには理由があります。というのも多くの潮干狩り場では、アサリの養殖個体を散布しているからです。
多くの地域で、アサリは漁業権が指定された水産物です。そのためその地域を管轄する漁協は排他的に潮干狩り場の運営ができる一方で、漁業権水産物の増殖義務が課せられています。そのため養殖された稚貝もしくは成貝の散布が行われており、客は入漁料を支払う代わりにある程度の採れ高をゲットできるのです。
養殖と天然で採り方に違いは?
アサリに関して言えば、散布された養殖ものと天然ものでは生態に違いはありません。そのため採り方に違いが出ることもありません。
ただ、外見はちょっと異なることがあります。というのは散布された稚貝が成長したものについては、殻に段差ができていることが多いのです。
ただし、これによって味が変わるということはありません。
天然貝が欲しいときはどうしたら?
アサリに関してはこのように、養殖ものと天然もので実用上の優劣はなく、採り分けする必要は基本的にありません。それでもどうしても天然ものが食べたい、ということであればやり方はあります。
一つ目は、アサリの漁業権が指定されていない場所で採取することです。そのような場所ではアサリの増殖義務がないため散布も行われず、必然的に天然ものだけになります。ただし全国的にアサリの資源量は激減しており、そのような場所で満足いく量が採れるかどうかは未知数です。
二つ目は、アサリ以外のターゲットを狙うことです。シオフキガイやカガミガイ、マテガイなどは漁業権があるところもありますが、アサリやハマグリなどと比べると少なく、基本的には純天然ものです。ただしこれらの貝は採り方や砂抜きの方法がアサリと比べると複雑で難易度が高いです。
気をつけて欲しいのは、これらの方法はいずれも「漁業権」に関する正しい知識が必要となるということです。都道府県庁に確認すれば仔細に教えてもらうことができますが、手間に感じるのであれば入漁料を支払って潮干狩り場で採取するのがベストでしょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>