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学校の「土足制」が広がる?上履きをなくした理由とは

TBSラジオ

明日から4月。都内では来週前半に新学期が始まる小学校、中学校が多いそうですが、学校生活に欠かせない「上履き」にある異変が起きているようです。

上履きをなくした!土足で過ごす新しい学校生活

何が起きているのか?まずは、品川区立城南小学校の校長、三浦 公平さんに伺いました。

品川区立・城南小学校 校長 三浦 公平さん

「上履きを使わない」ということで、本校では基本的に運動靴で登校することになっていますので、子供たちは「外履き」のまま、学校の中に入って、教室まで行って、基本的には「外履き」で生活をしています。ですので下駄箱はもう全くないんですね。

当初 品川区としては、昇降口や下駄箱のスペース確保が、非常に課題であったと。また、コロナの流行時に感染症対策として、昇降口が「密になる」っていうことを解消したいっていうことから導入されたという風に聞いています。私もすぐに慣れました。やはり履き替えなくていいっていうのが非常にラクですね。

学校内を「土足」で採用しているそうですが、城南小学校は2年前の9月に上履きを廃止。体育館以外は原則 運動靴で過ごしているそうです。背景には、いくつかの理由があり、

スペースの問題…およそ800人分の下駄箱のスペースを有効活用したいと考えていた。
感染症対策…コロナ禍では、下駄箱での混雑を避ける必要があった。

ということで、上履き廃止。品川区ではじわじわと、公立小学校、中学校の間で「土足制」が広がっているようです。

ただ、雨の日は大変ではないのか聞いてみると、昇降口にはマットを敷いて汚れを落としたり、さらに教員や担当の児童が、こまめに拭き取り作業を行っているため、意外と汚れは気にならないそうです。また、こちらの小学校ではグラウンドを「人口芝」に変更。これによりそもそも土が教室に持ち込まれにくくなり、土足の導入がスムーズに進んだそうです。

神戸市の学校は昔から土足!外国文化と地形が影響

このような動きは品川だけでなく、港区でも進んでいて、区内19校のうち18校 が土足制を採用。土足の方が一般的になっているようですが、実は、昔から学校の「土足」が当たり前の文化を持つ地域もあります。それは兵庫県神戸市。詳しいお話を神戸市教育委員会の白井 雄飛さんに聞きました。

神戸市教育委員会 白井 雄飛さん

神戸市ではですね、「土足制」が基本の文化というところがあります。いくつか所説というかありまして、一つが、神戸が外国人文化・欧米文化に近かったことでですね、あまり違和感なく浸透していった。もう一つは、海からすぐ山側に切り立っていくような場所が大変多くなってますので、段差というか、そういう斜めになっている形の学校もたくさんあるということで、物理的に下駄箱をですね 設置できないということから、「だったら土足のまま行こう」というふうになったと。

私は学生時代は上履きがある学校に通ってましたので、単純に「学校、汚れやすくならないかな」っていうのを、聞いた瞬間、覚えたような記憶がありますね。

白井さんは、神戸市のおとなり 西宮市出身。西宮には土足制の文化はなかったため上履きだったが、神戸市では、なんと9割の小中学校が土足!2015年の調査ではありますが、土足が当たり前という、全国的にも珍しい状況のようです。

ただ、神戸市は、基本的に土のグラウンド。品川区と違って、芝ではないので、「雨の日は大変そう」と思うところですが、こちらも意外とそうでもないようで、普段の掃除でも十分対応できているとのことでした。

先生の負担を減らすために… 神戸で増える“上履き”の学校

そうした中で、神戸の学校のにある変化が起きているようです。というのも、長年当たり前だった土足文化の中で、最近、上履きを導入する学校が増えているそうなんです。

神戸市教育委員会 白井 雄飛さん

「油引き」というものをしておりまして、作業としてはワックスがけと同じようにですね、本当に「油」と呼んでるんですけども、モップにこれをつけてですね、それを教室、床に伸ばしていくという作業になるんですけれども。目的としては埃が、どうしても土を上げやすい環境なので、教室内に埃が立ちにくくしたり、木材を劣化防止するために、ということでやってる。

ただ、やっぱり今までそれを先生方にやっていただいているということで、最近は先生のする仕事が増えてきてて大変だっていう話がありますので。じゃあ「先生が本当はやらなくていい仕事ってあるんじゃないの?」みたいな見直しの中で言うと、この「油引き」もそういう風に当たってくる一つになります。90%を超えるような割合で土足制を採用してたんですけれども、それがちょっとだんだん割合が減ってきているっていうのが、最近の動きにはなってます。

神戸の学校では長年「油引き」というメンテナンスが行われてきました。ワックスとは違い、本物の油を床に染み込ませますが、作業は大変で、夏休みなどに先生たちが何日もかけて行っていたそうです。

でもこれを上履きにすれば床が汚れにくくなり、油引きが不要に。神戸市内で、土足をやめて「上履き」にした学校は、ここ数年でおよそ20校。先生の負担軽減ということで、長年の文化も、働き方改革の流れの中で見直されているようです。

(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)

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