「ねんきん定期便」ちゃんとチェックしている?年金額が去年より“減っている理由”
毎年、誕生日月に送られてくる「ねんきん定期便」には、将来もらえる年金の見込み額が記載されています。よく見ると、去年よりも金額が減っているケースがあるようです。どうして減ってしまうのか、今後も減ることはあるのかなど、年金見込み額について詳しく解説します。
「ねんきん定期便」の記載内容
毎年誕生日月に送られてくる「ねんきん定期便」には、今までの年金の加入期間や、保険料の納付額、そして、これまでの加入実績に応じた年金額(50歳未満)、見込み額(50歳以上)などが記載されています。
年金定期便では、まず、未納期間がないかや、年金の加入期間が10年以上になりそうかを確認しましょう。
そして、自分が将来どのくらい年金がもらえるのか気になっている人も多いでしょう。年金の見込み額は、50歳未満の人と、50歳以上の人で、計算方法が異なります。
<50歳未満の人>
これまでの加入実績に応じた年金額が記載されています。こちらは、過去の加入実績に応じた年金見込額なので、今後納める予定の保険料は反映されていません。もらえる年金が少なくて驚く人も多いかと思いますが、今後きちんと保険料を納めれば、もらえる年金は増えていくはずなので安心してください。
<50歳以上の人>
今後も60歳まで同じように保険料を支払い続けた場合を加味して、将来もらえる年金額が計算されています。50代は、老後の生活資金を本格的に準備する年代なので、年金の見込み額を見ると、老後のマネープランをたてやすくなるでしょう。
年金見込み額が「減ってしまう」理由
特に50歳以上の方の場合、毎年「ねんきん定期便」を確認していると、年金の見込み額が去年より減ってしまうことがあります。なぜ減ってしまったのか、今後はどうなるのか、不安に感じる人もいるかもしれません。年金の見込み額が減ってしまう理由をチェックしていきます。
1.「加入状況」の変化
50歳以上の方の場合、年金の見込額は、60歳到達まで継続して加入し保険料を納めると仮定して計算しています。厚生年金保険に加入している場合、昨年に比べて標準報酬月額が下がったり、賞与の支給がなかった場合、見込み額が昨年より少なくなるケースがあります。
2.「年金給付水準」の変化
ねんきん定期便に表示している年金額の計算は、作成年月日の属する年度の年金給付水準が適用されます。年金給付水準は、年度ごとに異なります。給付水準の変化により、年金額が前年度より引き下げられ、かつ昨年から納付状況が変わらない場合は、年金額が昨年より少ないことがあります。
今後の年金額はどうなる?
特に50歳以上の方の場合、年金見込み額は、変動する可能性があります。去年より少なくなることもあれば、逆に多くなることもあるでしょう。
今後も変動する可能性があるということを頭に入れておき、年金の見込み額の変化に一喜一憂するのではなく、あくまで目安として、参考にする程度にしておきましょう。
さらに、年金だけをあてにするのではなく、自分自身でも将来の老後資金を準備していきましょう。
まとめ
年金の計算方法を把握しているという方は少ないでしょう。見込み額が減ってしまうと、焦るかもしれません。ねんきん定期便の見込み額は、その時の制度や根拠となる数字に基づき、正確に計算されていますが、年度ごとに多少の変動がある可能性があります。みなさんは、まず、ねんきん定期便の年金の記録を確認することを優先させましょう。そして、見込み額は変動しても焦らずに、参考程度に意識しておくとよいでしょう。
下中英恵/1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者