ものづくりの楽しさを、名古屋の大冷工業が四日市の中学に工具を寄贈
名古屋市東区の大冷工業株式会社が1月21日、四日市市の市立中学22校に技術室用の工具「電動やすり」を寄贈した。「企業版ふるさと納税」の制度を活用しての寄贈で、ものづくりの楽しさを知るきっかけにしてほしいと考えた。企業版ふるさと納税で物品が提供されたのは四日市市では初めてという。
この日、同市東阿倉川の山手中学校の技術室で贈呈式があった。大冷工業の大場章晴代表取締役社長、若林睦理四日市支店長、市側から森智広市長、廣瀬琢也教育長らが出席。大場社長から寄贈品の目録が森市長に渡され、大場社長には森市長から感謝状が贈られた。
大場社長は「四日市に支店を置かせていただいており、何かお役に立つことがないかと考えていたところ、企業版ふるさと納税が物品でも可能だと知り、ものづくりをイメージしてもらえるものをと考えました」などとあいさつ。森市長は「四日市市は海側のコンビナートから山側の半導体工場まで、ものづくりが盛んです。その原点を感じてもらえるようにとのご支援で、中学全校に寄贈いただくなど、大変貴重なものです」などとお礼を述べた。
感謝状を手にする大場章晴社長、目録を手にする森智広市長ら。右端、廣瀬琢也教育長が手にするのが「電動やすり」
今回寄贈されたのは、愛知県安城市に本社を置く電動工具などのメーカー、株式会社マキタの「防じんミニサンダ(電動やすり)」。片手で扱える大きさで、振動が少ないうえ、やすりをかけた時の粉などを防じん袋にためることもできる便利さだ。
今回、各中学に6台ずつ、計132台が寄贈された。これまで、技術の授業では紙やすりで手で磨くか、備え付けの重いベルト式の機械を使うかだったそうだが、この電動やすりなら持ち運びも便利で、授業などで活躍しそうだ。市によると1台1万5400円で、寄贈を金額に換算すると200余万円に相当するという。
贈呈式のあと、生徒6人が電動やすりを手にし、木工の表面を磨いたり、角を整えたりする作業を試してみた。作動の音も控えめで、女子生徒が手軽に扱えるようだった。大冷工業に今春の入社が内定している大学生の長坂七海さん(22)らが指導役で一緒に作業した。
大冷工業は、1954(昭和29)年設立で、空調衛生設備の設計施工などを業務としている。日本のものづくりを牽引する東海エリアの次代を担う人材を確保するために、中学生のころからものづくりの喜びや楽しさに触れてもらえるよう、技術科の授業の充実が必要と考え、今回の寄贈を企画したという。同社は三重、岐阜、滋賀の3県の工業高校などにも県を通して工具を寄贈しているという。